モビリティ変革は水空合体ドローン活用、物流DXにも
KDDIがサポートするコネクティッドカーは、日本のほか、北米、中国、欧州など、世界83カ国・7地域へ広がっている。各国・地域における回線調達や、通信機接続支援、運用設計、法規制調査などのコンサルティングを行い、現地の通信事業者とも緊密に連携することで、ワールドワイドな通信プラットフォームを構築しているのだ。
「急速に拡大するコネクティッドカーの安全・安心な走行や、便利で快適なカーライフを支援するため、5拠点のグローバルオペレーションセンターで24時間365日運用・監視し、万全な体制を整えています」と相澤氏は語る。
ビジネス事業本部
モビリティビジネス本部副本部長
相澤忠之氏
今後も、生成AIの実装で実現する自動運転技術の進歩や、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の浸透など、コネクティッドカーはますます進化を遂げていく。KDDIグループはそれらの最新テクノロジーを開発する先進企業と緊密に連携しながら、モビリティの発展に貢献していく方針だという。目指すのは、AIと通信が溶け込むモビリティ社会を支える存在だ。
モビリティという概念の範囲は、車に限ったものではない。KDDIはコネクティッドカーや自動運転だけでなく、ドローンや水空合体ドローン、物流DX(倉庫内の運搬装置の自動化など)、ロボティクスと、あらゆる「動くもの」を進化させることで、社会課題の解決や新体験の創出を目指している(図2参照)。
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いずれも、「WAKONX」のアセットを通じて車や運搬装置などに搭載されたIoTからデータを収集し、外部データとの組み合わせなどによって、適切なサービスをリアルタイムに提供するのが基本だ。
「交通インフラや車の稼働データをリアルタイムに連携して事故や渋滞の発生を抑制するほか、電力の需給バランスに応じてEVの充放電を制御し、再生可能エネルギーの効率的な消費を実現するなど、社会課題の解決につながるソリューションの実現を目指しています」(相澤氏)
建物のメンテナンスや倉庫内作業のロボット化、貨物の混載・共同配送による物流の効率化など、KDDIが視野に入れるモビリティ変革の領域は広範囲にわたる。「既存領域の変革だけでなく、自動運転タクシーやエアモビリティ(空飛ぶ車)など、新しい価値の創造にも積極的に貢献していきたい」と相澤氏は抱負を語った。