シンガポールのライバルはスイスと香港

 富裕層の割合だけではなく、超富裕層(金融資産30億円以上)の割合でも、シンガポールは世界第5位です。日本人に占める超富裕層の割合は、10万人に約10.1人とシンガポールの4割程度で、主要国で16番目です。

現在のシンガポールの繁栄の象徴であるマリーナ・ベイ・サンズ(撮影:和田佳久)

 超富裕層は、経済のグローバル化が進行する中、ビジネスに対する規制環境や税制を踏まえて、自分のライフプランに合った形で、本拠地を国境に関係なく選択することが当たり前になってきています。

 超富裕層の割合でシンガポールを上回っている国の内、ノルウェーとクウェートは膨大な天然資源を保有しているという特殊事情があるため、超富裕層が本拠地を選択する時にシンガポールのライバルとなっている国としては、スイスと香港があげられます。

 ただ、スイスは超富裕層を集める上で絶対的な魅力だった金融資産の秘匿性が、米国政府に自国内の口座情報を公開するなど、近年薄れつつあります。

 もちろん、資産管理の拠点として非常に長い歴史を誇っており、金融サービスについての人材も豊富であるため、短期間で多くの超富裕層が流出することは考えにくいですが、最近では欧州の富裕層の中にも、本拠地をスイスからシンガポールに切り替える動きが広まってきています。

 また、香港も、中国政府の影響力が高まりつつあることと、不動産価格のとてつもない高騰や劣悪な生活環境により、一部の超富裕層にはシンガポールに本拠地を移す動きが出てきています。

 低い税率やビジネスに対する規制の緩和はもちろん、清潔な街並みや大気、世界有数の優れた治安、さらには英語・中国語を幼少期から学べる教育環境など、生活に関するあらゆる面での魅力を高めてきているシンガポールは、富裕層だけでなく超富裕層の比率でも世界トップとなる日も近そうです。

 次回は、シンガポールに富裕層・超富裕層が集まる理由について、より詳細に解説します。

(本連載は毎週水曜更新、次回は5月22日の予定です)

TOP