創立100周年を迎えた目白研心中学校・高等学校(東京・新宿区)
近畿では、灘のようなごく一部の進学校を除けば、東大よりも京大への進学志向が強い Photo:PIXTA

ベスト3を占めた兵庫県の3校

『本当に子どもの力を伸ばす学校 中高一貫校・高校 大学合格力ランキング』(ダイヤモンド・セレクト2023年8月号)では、全国の進学校の現状を探るべく、さまざまなランキングを作成した。今回は、卒業生概数に比して、国公立大(国立82校、公立96校*)の合格者をどのくらい出したのかを示す「国公立大合格率」ランキングをご紹介したい。

 難関私立大がそろう首都圏や近畿圏の一部を除き、日本全国のほとんどの進学校は、地元にある国公立大への進学を最優先で考えている。その実態を示すのが、図1・図2で示した「国公立大合格率」ランキングである。1位と2位に私立中高一貫校が並んだものの、全体的に見ると公立進学校の占める割合が圧倒的に多かった。

 今回、ベスト3はいずれも92%台後半という驚異的な合格率だった。この合格率からすると、国公立大を受験することが当たり前と考えて良さそうだ。偶然の一致なのだろうが、いずれも兵庫県の有名進学校である。

 1位甲陽学院(兵庫・西宮市)と2位(神戸市東灘区)は、阪神間を代表する男子中高一貫校で、ライバル校である。ただ、現在の進学先を見ると、以前取り上げた「東大合格率ランキング」でも2位となった灘に比べ、甲陽学院は京阪神の国立難関大志向が強い。「東京大:京都大・大阪大・神戸大」の合格者数で比較すると、灘が「86人:63人」なのに対して、甲陽学院は「36人:79人」とその違いがはっきりしている。

 同率2位には県立姫路西(姫路市)が顔を出している。播州エリアでは今も昔も公立トップ校ではあるが、国際理学科を設置しスーパーサイエンスハイスクール(SSH)にも指定されている。

 4位から9位には、北海道から鹿児島に及ぶ公立のトップ校が並んでいる。4位佐賀西や5位山口、7位熊本、9位甲南(鹿児島)はいずれも県立のトップ校であり、九州大に目が向かう。同率5位は「堀川の奇跡」と呼ばれた探究科を擁する京都市立堀川である。こちらは圧倒的に京大志向が強い。

 10位に初めて私立中高一貫共学校が出てくるが、ここまでは90%前後と極めて高い合格率を示している。やはり国公立大を受けることが当たり前の進学校となっている。

*2023年に私立から公立化した旭川市立大は含まず