「地元か全国か」で二分される進学校

 ここからは、図2に掲載した11位から20位の学校についても見ていこう。

 16位に同率で関西の中高一貫男子校が並んでいる。仏教校の東大寺学園(奈良市)とカトリック校の大阪星光学院(大阪市天王寺区)で、奈良と大阪の最難関男子校である。他に私立中高一貫校としては、共学校の白陵(兵庫・高砂市)が19位に入っている。こちらは面倒見がいいというか、以前から受験指導に熱心な学校である。

 これら私立3校について、「東大:京大・阪大・神大」の合格者数で比較すると、東大寺学園が「18人:83人」、大阪星光学院が「16人:82人」、白陵も「16人:47人」で、東大合格者数は同水準だが、京阪神国立難関大の合格実績は東大の3~5倍程度あることが分かる。

 公立で注目したいのが北海道の高校だ。8位に旭川東が入っていたが、北海道の進学校は道内の大学を目指す傾向が顕著である。その点、札幌市内にある13位札幌北と15位札幌南は、東大など道外の難関国立大にも多くの合格者を出している。以前は札幌南が優位だったものの、この2校は北海道を代表する進学校としてしのぎを削るようになった。とはいえ、北海道大への進学が基本である点は道内の他の進学校同様で、この2校の順位の差も、北大合格者数が反映していると考えて良い。

 上位20校のうち5校を兵庫県が占めた。神戸市内の公立トップ校である14位長田(長田区)も京阪神の難関国立大志向が強い。やはり「東大:京大・阪大・神大」の合格者数で比較すると、先述の姫路西が「5人:69人」、長田は「4人:90人」と、圧倒的な地元志向である。山陰からは12位出雲が唯一上位に入った。山口県からはもう1校、宇部が11位と健闘している。

 興味深いのは富山県で、旧制一中の富山が20位なのに対して、東大合格者数などで勝る富山中部は145位とだいぶ差が付いた。他の県でも見られるが、地元志向と全国志向の違いが国公立大合格率の差で明確に表れている。東京志向が強い富山中部の場合は、東京の難関私立大に進学する傾向も強いため、このように大きく差が開いた。