2022年1月、世界のサイバーセキュリティ業界が注目する大きな動きがあった。いずれも業界で大きな存在感を発揮してきたMcAfee(マカフィー)の法人部門であるMcAfee Enterprise(マカフィー・エンタープライズ)と、FireEye Security(ファイア・アイ・セキュリティ)の2社が統合。新たに発表した「Trellix」(トレリックス)のブランドで、次世代型セキュリティソリューションの提供に注力していく。サイバー攻撃の手口が年々高度化、複雑化する中、Trellixは企業のセキュリティ対策をどのように支援していくのか。

サイバーセキュリティのトッププレーヤー同士が統合

 McAfeeとFireEyeは、どちらもサイバーセキュリティ業界におけるトップクラスのプレーヤーである。1987年に創業し、パソコンやサーバー用のウイルス対策ソフトなどで30年以上の歴史と実績を誇るMcAfeeは、研究・開発者を250人以上も抱え、特許数は1550以上と高い技術力を持つ。一方のFireEyeは、2004年創業と歴史こそ浅いが、標的型攻撃に特化した独自の防御ソリューションに定評がある。攻撃者の素性や手法を徹底的に分析し、新たな攻撃のパターンまで予測しながら防御するソリューションは、同社ならではのものだ。

 このように、それぞれの強みを持つ両社だが、22年1月、米国の大手プライベートエクイティ企業であるSymphony Technology Group(シンフォニー・テクノロジー・グループ)のグループ会社として、McAfeeの法人部門であるMcAfee EnterpriseとFireEyeが統合し、Trellixが誕生した。

 年々高度化、複雑化する企業へのサイバー攻撃に対し、今や企業・団体のセキュリティ対策強化が必須である中、より効率的で実効性が高く、企業の負荷軽減につながるようなセキュリティソリューションが今後さらに必要になる。これまで培ってきた強みを融合させることで、そういったソリューションの提供の実現を目指す2社の統合は意義がある。