業務のグローバル化が進む中、以前にも増して注目されているのが、出張管理を戦略的にマネジメントし、コストダウンを図るビジネストラベルマネジメント(BTM)。日本旅行・アメリカン エキスプレスでは、最新テクノロジーを駆使し、最適なBTMプログラムをグローバルレベルで提供している。

竹村章美 代表取締役社長

 経済の復調を背景に、日本企業のグローバル化が進展し、海外出張が日常的な業務になってきている。それに伴い、業務渡航を積極的にマネジメントしようという企業が増えているという。中には、買収した海外企業が導入していたビジネストラベルマネジメント(BTM)を、日本の本社でも導入を検討するという事例もあるようだ。

 BTM導入のメリットは数多くあり、業種によってニーズは異なると、竹村章美・日本旅行・アメリカン エキスプレス社長は言う。「医薬系企業や銀行などの金融系企業は、出張規程などのコンプライアンス順守を重視し、海外に市場が拡大している製造業はグローバル規模でのコストダウンを、商社など世界各地に社員が散らばっている企業は切実な危機管理のニーズがあります。業種によってBTMに対する考え方はさまざまですが、当社はそれぞれのニーズに合わせて包括的なサービスを提供しています」。

データの集約で
利便性や効率性を上げる

EXPERT CARE
リアルタイムで出張者を追跡

海外滞在中の各出張者の旅程情報確認だけでなく、双方向コミュニケーションアプリやGPSによる現在地把握によって緊急時の臨機応変な対応を可能にする

 同社のBTMは、予約データをはじめとする多様な出張データを分析し、企業や出張者にとってより効果的な出張プログラムを策定・実行していくマネジメントサイクルの提供だ。その核となるのが、アメリカン・エキスプレス・グローバル・ビジネス・トラベルの独自開発システム「デジタル・トラベル・レコード(DTR)」である。出張者情報や出張行程情報に加え、分析に必要な定量・定性データを蓄積し、多彩な切り口やツールでアウトプットするもので、イメージとしてはビッグデータの活用に近い。

 このDTRによって実現できることは、大きく三つある。

 まず、購買力の最大化だ。統一フォーマットでグローバルな出張情報が集約化され、出張傾向やベンチマークとの比較分析ができるため、航空会社やホテルなどとの割引交渉が有利にできるようになる。

Tripcase
最新の旅程が自動的に反映

フライト・ホテル情報をモバイルアプリで簡単にチェックできる

「各国で利用しているコンピュータ予約システムが異なっていても、DTRによってデータを“串刺し”にすることができます。それを基に、情報を一元管理して、各国でバラバラだった出張規程を統一したり、スケールメリットによる最適な料金設定交渉が可能になるのです」

 二つ目は、グローバルレベルで出張者のフライトやホテルを含む全旅程がリアルタイムに把握できること。危機管理ツールEXPERT CAREを導入すれば、緊急時の双方向コミュニケーションやスマートフォンのGPS機能を利用した所在地把握など、サポートが必要な出張者の抽出も短時間でできる。

 三つ目は、出張者の渡航先での利便性が格段に向上すること。旅程管理ツールTripcaseは、出張中の全ての旅程データがモバイル端末で確認できるアプリで、旅程やフライト時間の変更情報がいち早く自動的に送られてくる。