第三者の仲介を必要とせずに、仮想通貨(暗号資産)の取引ができるDEX(分散型取引所)は、数多くの種類が存在するが、その多くは現物取引に特化している。
一方で、今回取り上げる「dYdX(ディーワイディーエックス)」は、仮想通貨のパーペチュアル取引(決済期限がない先物取引)に特化した、ユニークなDEXだ。
この記事では、DEXの1つであるdYdXについて、その特徴や使い方、利用する際の注意点などを紹介していく。
- dYdXは、44種類もの仮想通貨を用いて、パーペチュアル取引ができるDEX
- パーペチュアル取引は、決済期限がない先物取引である
- イーサリアムなどさまざまな仮想通貨を証拠金にすることができる
- イーサリアムブロックチェーンからコスモスのチェーンに移行している
- 2024年1月に大手DEXのUniswapを取引高で上回る
- 日本の仮想通貨取引所と違い、dYdXは最大20倍までレバレッジをかけられる
- 2021年8月から、ガバナンストークンとして「DYDX」を発行している
dYdXを利用する際には、ガス代(ネットワーク手数料)の支払い手段として、イーサリアムが必須だ。
イーサリアムを取り扱う仮想通貨取引所は数多くあるが、その中でもDMM Bitcoinを使えば、購入したイーサリアムを出金する際の手数料を抑えることができる。
dYdXを使う際のイーサリアムの調達先としてぴったりなので、もし口座をまだお持ちでないなら、この機会にDMM Bitcoin(PR)の公式サイトを覗いてみるとよいだろう。
dYdXとは?
名称 | dYdX |
サービスの概要 | パーペチュアル取引を扱うDEX |
取引での取り扱い通貨 | 44種類(2024年4月時点) ETH、BTC、SOL、FIL、NEAR、 LINK、AVAX、MATIC、ATOM、UNI、 OP、ARB、ADA、ETC、WLD、 DOGE、COMP、DOT、LDO、APE、 XRP、AABE、APT、BCH、BLUR、 SUI、LTC、SEI、MKR、TRX、 BNB、CRV、TIA、PEPE、XLM、 WOO、FET、DYM、STRK、ORDI、 JTO、JUP、EOS、SHIB |
ガバナンストークン | DYDX(DYDX) |
基盤のブロックチェーン | コスモスブロックチェーン(v4) ※v3はイーサリアムブロックチェーン(廃止予定) |
対応しているウォレット | MetaMask Coinbase Wallet WalletConnect 他 |
dYdXは、クロスマージン(口座内の資産のすべてを証拠金として利用すること)で、44種類もの仮想通貨のパーペチュアル取引ができるDEXである。
パーペチュアル取引とは、通常の先物取引と違って、無期限でポジションを保有し続けられる先物取引のことだ。
DEXは日本語に対応していないところが多いのだが、dYdXは9種類の対応言語の中に日本語が含まれており、英語が不得手な方でも利用しやすくなっている。
なお、dYdXはパーペチュアル取引に特化しており、現物取引のサービスはない。
dYdXの特徴
DEXの1つであるdYdXには、主に次のような特徴がある。
- 使い勝手が中央集権的な仮想通貨取引所(CEX)に近い
- 仮想通貨ウォレットを繋ぐだけで、だれでも利用できる
- 最大20倍のレバレッジをかけられる
- 取引量でユニスワップを上回る
使い勝手が中央集権的な仮想通貨取引所(CEX)に近い
UniswapをはじめとしたDEXの多くは、取引のシステムにAMM(Automated Market Maker、自動マーケットメイカー)を採用している。
AMM方式を採用するDEXでは、流動性プールを仲介してユーザー同士で取引できるようになっており、取引の価格はプログラムによって自動的に算出される。
プログラムが算出する価格でスピーディに取引できる一方、指値注文や逆指値注文のような予約注文を使えないというデメリットもある。
それに対して、dYdXは、DEXで一般的なAMM方式ではなく、オーダーブック方式を取引のシステムに採用している。
オーダーブック方式では、AMM方式のように取引に用いる通貨を流動性プールに一旦貯めておくのではなく、オーダーブックを介して注文ごとに売り手と買い手をマッチングさせて、取引をおこなう。
マッチングをするまで時間を要したり、場合によってはマッチングが思うように成立しなかったりするのが難点だが、予約注文を使って、より有利な価格でのマッチングを狙うことができ、取引にかかる手数料も割安だ。
オーダーブック方式は、企業が運営している中央集権的な仮想通貨取引所(Centralized Exchange、以下CEX)で採用されることが多いため、dYdXのUIやユーザビリティは、他のDEXよりもCEXに近い。
さらに、前述のとおり、dYdXは日本語に対応しているため、その点も含めて日本人投資家でもなじみやすいものとなっている。
仮想通貨ウォレットをつなぐだけで、だれでも利用できる
CEXは、利用の前に信用面の情報を問われる。例えば、日本企業が手がける仮想通貨取引所であれば、少なくとも「成年年齢以上、満75歳未満の日本居住者」という条件を満たしていないと利用できないように、法で定められている。
それでは、DEXの1つであるdYdXはどうかというと、年齢や国籍、居住地などに関係なく、だれでも仮想通貨ウォレット(以下、ウォレット)をつなぐだけで利用できる、トラストレスなサービスになっている。
最大20倍のレバレッジをかけられる
日本の仮想通貨取引所が手がけるレバレッジ取引のサービスでは、金融商品取引法に基づき、かけられるレバレッジ倍率が最大で2倍までと定められている。
それに対して、dYdXのパーペチュアル取引では、最大20倍*までレバレッジをかけることが可能だ。*通貨ペアによっては最大10倍のものもある
そのため、日本の仮想通貨取引所のレバレッジ取引と比べると、より幅広い投資戦略を立てることができる。
取引量でユニスワップを上回る
分散型取引所(DEX)のdYdXは、2024年1月にこれまで取引量で1位をキープしていたユニスワップを上回っている。
dYdXは現在、従来のイーサリアムブロックチェーンから、コスモスブロックチェーンへの移行を果たしており、dYdX v4がリリースされている。
イーサリアムブロックチェーンを離れたのは、取引コストの削減を目的としたものであった。取引コストは削減できても、イーサリアムの方がコスモスエコシステムよりも利用量が大幅に大きいことから、取引量に対する懸念が大きくなっていた。
しかし、ユニスワップを上回ったのはコスモスブロックチェーンへの移行をした後の出来事であったため、市場には良い反応が見られた結果であると言えるだろう。
dYdXの使い方
それではここで、dYdXの基本的な使い方を紹介しておこう。
- 証拠金となる通貨を調達する
- ウォレットを用意する
- dYdXとウォレットを接続する
- dYdXにイーサリアムを入金する
- 通貨ペアを選んで、売りまたは買いの注文を入れる
証拠金となる通貨を調達する
まずは、dYdXで証拠金となる通貨の準備をしておこう。
イーサリアムが手数料として必要なのはdYdX v3の方であるがv3は廃止される予定である。今後はすべてv4の方に移行する見通しだ。
しかし、証拠金となる通貨を入手する場合は、まず国内取引所での口座を保有しておくことが条件だ。
中でもDMM Bitcoinは充実のサポートと安心のセキュリティを提供しているので、dYdXでの利用を目的とした通貨の調達先にぴったりだ。
dYdXに興味がある方は、この機会にDMM Bitcoinことも合わせてチェックしてみてほしい。
提供する取引の種類 | 現物取引(販売所・BitMatch注文) レバレッジ取引(販売所・BitMatch注文) |
取り扱う仮想通貨 | 38種類 BTC、ETH、XRP、LINK、MKR、 AVAX、CHZ、TRX、ZPG、LTC、 BCH、XLM、ETC、ENJ、FLR、NIDT、 SAND、ALGO、AXS、OMG、APE、 FCR、HBAR、OAS、SHIB、 BAT、MONA、MATIC、ADA*、DOT*、 IOST*、XTZ*、XEM*、QTUM*、XYM*、 SOL*、ATOM*、DOGE* *レバレッジ取引のみの取り扱い |
最小取引数量 (ビットコインの場合) |
現物取引(販売所):0.0001 BTC 現物取引(BitMatch注文):0.01 BTC レバレッジ取引(販売所):0.01 BTC レバレッジ取引(BitMatch注文):0.1 BTC |
取引手数料 (ビットコインの場合) |
現物取引(販売所):無料、スプレッドあり 現物取引(BitMatch注文):0.001 BTCあたり24円 レバレッジ取引(販売所):無料、スプレッドあり レバレッジ取引(BitMatch注文):0.01 BTCあたり24円 |
仮想通貨の送金手数料 | 無料* *BTC、ETH、XRP以外の入出金には非対応 |
その他のサービス | IEO |
公式サイト | DMM Bitcoinの公式サイト |
DMM Bitcoinは、DMM.comグループに属する株式会社DMM Bitcoinが運営している仮想通貨取引所だ。
もともとは株式会社テコテック傘下の「東京ビットコイン取引所(TBX)」だったが、DMM.comグループに譲渡され、2018年1月からDMM Bitcoinとして運営が開始された。
まだDMM Bitcoinを使ったことないという方は、ぜひこのタイミングにDMM Bitcoinの公式サイトをチェックしてみてほしい。
ウォレットを用意する
dYdXのようなDEXは、ウォレットを接続することで利用できるようになっている。
そこで、イーサリアムを調達したら、次は以下に示すdYdXの対応ウォレットから、いずれか1つを用意しよう。
- MetaMask
- Trust
- Coinbase Wallet
- imToken
- TokenPocket
- BitKeep
- Rainbow
- Coin98
- Huobi Wallet
- WalletConnect 他
なお、どれを選んだらよいか迷った場合は、もっともポピュラーで汎用性もあるMetaMaskを用意するとよいだろう。
MetaMaskは、Google ChromeなどのWebブラウザの拡張機能として、無料で使うことができるウォレットだ。
入手方法などを詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひ参考にしてみてほしい。
ウォレットを用意できたら、そのウォレットのアドレス宛にイーサリアムなどの通貨を送金しておこう。
dYdXとウォレットを接続する
続いて、用意できたウォレットとdYdXと接続しよう。
dYdXのサイトにアクセスして、トップページにある「取引」のボタンをクリックすると、取引をおこなうためのページに遷移する。
続いて、遷移先のページで「ウォレットへ接続」をクリックしよう。
すると、次のように、ウォレットの選択肢が表示されるので、自身が利用しているウォレットを選択すると、ウォレットが利用者本人のものであることを確認するための署名などを求められる。
それらに応じれば、dYdXとウォレットの接続は完了だ。
dYdXに通貨を入金する
ウォレットを接続したら、保有しているイーサリアムを取引の証拠金とするために、ウォレットからdYdXに移し替えよう。
画面左のメニューの中にある「入金」ボタンをクリックすると、入金用の操作画面が表示され、通貨と数量を指定して、入金をおこなうことができる。
なお、dYdXではイーサリアム以外にもさまざまな通貨を証拠金として用いることができるのだが、ステーブルコインのUSDC以外を入金する際は、イーサリアムを含めてどの通貨もUSDCへ自動的にスワップ(交換)される。
通貨ペアを選んで、売りまたは買いの注文を入れる
証拠金となるイーサリアムなどの通貨をdYdXに入金したら、取引を始める準備は完了だ。
マーケットの中から取引したい通貨ペアを選び、実際にパーペチュアル取引をやってみよう。
成行注文をおこなう場合は、基本的に売買の方向と取引の数量を指定して、注文を出せばよい。
レバレッジ倍率については、証拠金と入力した数量を元にして、自動的に算出される。
また、前述のとおり、dYdXではオーダーブック方式が採用されているので、オーダーブックを参考にしながら指値・逆指値注文などの予約注文を入れることも可能だ。
以上、dYdXの基本的な使い方を紹介した。
dYdXはDEXの1つであるため、ウォレットを接続するだけで、だれでも利用することができる。
興味がある方は、ガス代の支払い手段や取引の証拠金となるイーサリアムと、MetaMaskなどのウォレットを用意して、実際にdYdXに触れてみてはいかがだろうか。
使いやすいくて安心のセキュリティに定評があるDMM Bitcoinが、調達先として適している。
口座開設はネットから無料で申し込めるので、まだ口座をお持ちでないなら、この機会にDMM Bitcoinの利用を検討してみてはいかがだろうか。
仮想通貨DYDXの価格動向
ここで、dYdXがガバナンストークンとして発行している「DYDX」の過去の値動きを確認していこう。
DYDXは2021年8月にローンチされ、2021年9月上旬にBinanceなどの海外取引所への上場を果たした。
次に示しているのは、市場上場を果たした2021年9月上旬から本記事執筆時点(2024年4月)までの、DYDX/USD(米ドル)チャートだ。
DYDXは海外市場に上場したのち、約2週間は堅調に値上がりしていたが、2021年9月末をピークに一転して下落基調となった。
その後は2021年12月に上場時の価格を下回り、2022年5月を過ぎると値動きそのものが乏しくなっていった。
このようにDYDXで低迷が続いているのは、マクロ経済の影響を強く受けたためと見られている。
2021年は徐々に新型コロナの感染が終息していき、各国の経済が正常な姿を取り戻そうとする中で、人員や資源の供給不足などの要因から、世界中でインフレが発生した。
また、ロシア・ウクライナ間の戦争の影響で資源の供給が滞ったことも、インフレに寄与したようだ。
各国政府はインフレを抑えるために、金融引き締め政策を取るようになり、政策による景気悪化懸念から、DYDXのみならず仮想通貨市場全体が冷え込んでいくことになった。
2023年1月からの価格動向に絞ってみると、2023年前半から2024年現在にかけて上昇傾向にあることがわかる。
2023年の前半はアメリカの利上げサイクル終了示唆から、市場全体での上昇となりdYdXも連動した形だ。
また、2023年後半からは2024年1月に承認されたビットコインの現物ETFの影響で、仮想通貨市場全体での上昇に連動している。
2024年1月にはDEXの取引量で1位になったことも、dYdXの価格上昇に追い風となった形であると言えるだろう。
2024年3月を起点に下落傾向にあるが、まだ高値圏で推移していると判断できる。
dYdXの注意点
最後に、dYdXを利用する際に注意すべきポイントを3つ、紹介しておく。
- 日本の法律が適用されていない
- レバレッジによってリスクを取り過ぎないように要注意
- 含み損が膨らみ過ぎるとゼロカットが執行される
日本の法律が適用されていない
日本企業が国内で運営している仮想通貨取引所は、いずれも資金決済法に基づく事業者登録をおこない、法に従ってサービスを提供している。
もちろん、利用者保護の仕組みも法に従って必ず用意されており、仮想通貨取引所で万が一トラブルが発生したり、廃業したりしたとしても、原則としてはユーザーの資産は適切に保全されるようになっている。
それに対して、dYdXのようなDEXは、日本の現行法では法の適用外となっており、当然ながら法に基づいた利用者保護の仕組みもない。
したがって、もしも利用中にトラブルが起きても法的に守ってもらえない可能性が高く、dYdXを利用するなら、そうした潜在的なリスクがあることをよく把握しておかなければならない。
レバレッジによってリスクを取り過ぎないように要注意
前述のとおり、dYdXのパーペチュアル取引では、最大で20倍のレバレッジをかけられる。
レバレッジをかければかけるほど資金効率が上がり、原資に対してより大きなリターンを狙うことができるのが、それは損失についても同様のことが言える。
大きなレバレッジをかけるほど大きな損失を被るリスクも上がっていくので、ギャンブルまがいの取引にならないように、適切にレバレッジや資金の管理をしていく必要があるだろう。
含み損が膨らみ過ぎるとゼロカットが執行される
日本の仮想通貨取引所が提供するレバレッジ取引の場合、含み損が膨らんで証拠金維持率が一定値を下回ると、損失がそれ以上膨らまないようにロスカットが強制執行され、最低限の資金は守られる。
一方、dYdXでは、最低限の資金を維持するための仕組みは用意されておらず、含み損が証拠金を超えたときに“ゼロカット”が執行され、口座の残高が0になるようになっている。
清算によって証拠金をオーバーしてしまった損失は、dYdX側で用意されている保険基金の負担となり、投資家に追加の証拠金の支払いが求められることはない。
そのため、借金を負うことはないのだが、それでもゼロカットがあることを鑑みて、dYdXで過度なリスクの取り方をするのは避けた方がよいだろう。
dYdXのまとめ
今回は、DEXの1つであるdYdXを紹介した。
- dYdXは、仮想通貨のパーペチュアル取引ができるDEXである
- パーペチュアル取引は、通常の先物取引と違って決済期限がない
- dYdXのパーペチュアル取引では、最大20倍のレバレッジをかけられる
- イーサリアムをはじめとして、さまざまな仮想通貨を取引の証拠金にすることができる
- イーサリアムブロックチェーンからコスモスのチェーンに移行している
- 2024年1月に大手DEXのUniswapを取引高で上回る
- 日本の法律が適用されていないサービスであり、利用すること自体に潜在的なリスクを伴う
dYdXは、パーペチュアル取引ができるDEXであり、レバレッジは最大で20倍までかけることができる。
日本の法律が適用されないため、利用の際は細心の注意を払う必要があるが、豊富な通貨を用いたパーペチュアル取引にチャレンジしてみたい方は、dYdXに触れてみてはいかがだろうか。
なお、dYdXを利用する際には、証拠金となる通貨が必要となる。
もしも、国内の仮想通貨取引所の口座をまだお持ちでないなら、仮想通貨の出金手数料がかからないDMM Bitcoinの公式サイトをチェックしてみてほしい。