DEX(分散型取引所)は近年、仮想通貨(暗号資産)やDApps(分散型アプリ)を扱う上で欠かせないものになりつつあり、さまざまなブロックチェーン上で数百種類ものDEXが稼働している。
今回はそんな数多あるDEXの中から、多彩なプロダクトを持つSushiSwap(スシスワップ)を取り上げる。
SushiSwapの特徴、機能、利用方法などを紹介していくので、DEXに興味を持っている方はぜひ、最後まで目を通して自身の参考にしてみてほしい。
- SushiSwapの特徴と、それを成り立たせている仕組み
- SushiSwapで提供されているプロダクト
- 利用するために必要なものと、利用可能な状態にする手順
- SushiSwapでのスワップの方法
- SushiSwapの置かれている現状と今後の見通し
SushiSwapは、複数のブロックチェーンを基盤にしており、利用の際は各ブロックチェーンの基軸通貨が必要になる。
例えば、イーサリアムチェーン上で利用する場合は、ネットワーク手数料の支払いやスワップのためにイーサリアムが必須だ。
もし、SushiSwapの利用のためにイーサリアムを調達するなら、仮想通貨の出金手数料がかからないDMM Bitcoinが適している。
SushiSwapに興味がある方は、この機会にDMM Bitcoin(PR)のことも合わせてチェックしておくとよいだろう。
SushiSwap(スシスワップ)とは?
名称 | SushiSwap(スシスワップ) |
基盤のブロックチェーン | イーサリアム、Arbitrum、Arbitrum Nova、Polygon、 Gnosis、Fantom、Moonriver、Harmony、 Avalanche、Optimism、Moonbeam、Fuse、 BSC、Kava、Metis、Telos EVM |
基軸通貨(ティッカーシンボル) | SUSHIトークン(SUSHI) |
対応しているウォレット | MetaMask、WalletConnect、Coinbase Wallet、Fortmatic、 Portis、Binance Wallet、Clover、GameStop |
SushiSwap(スシスワップ)は、イーサリアムチェーンやPolygonチェーンなど、複数のブロックチェーン上で稼働しているDEX(分散型取引所)である。
2020年8月に匿名の開発者、Chef Nomi(シェフ・ノミ)氏と0xMaki氏が、同じくDEXの1つであるUniswap(ユニスワップ)をコピーして、SushiSwapをローンチした。
ローンチ当初は、オリジナルであるUniswapよりも高いインセンティブを提供してユーザーを奪う、「ヴァンパイア攻撃」をおこなったことで賛否両論を巻き起こした。
しかし、Uniswapとは異なる方向性でアップデートが進められ、SushiSwap独自のプロダクトを多数提供するようになったため、現在は主要なDEXの1つとして多くの投資家に認識されている。
DeFi(分散型金融)のデータアグリゲーター(データを収集・整理し、そのデータを配信する業者もしくはサービス)であるDeFi Puluseによると、本記事執筆時点(2022年9月上旬)でSushiSwapは、DeFiのTVL(預かり資産)ランキングで10位にランクインしており、その需要の高さがうかがえる。
SushiSwap(スシスワップ)の特徴/仕組み
まずは、SushiSwapがどういった特徴と仕組みを持つDEXなのかを押さえておこう。
- 第三者の仲介を必要とせずユーザー同士で取引ができる
- プロダクトの種類が豊富
- コミュニティの決定がプロダクトに反映されている
第三者の仲介を必要とせずユーザー同士で取引ができる
企業が運営・管理している通常の仮想通貨取引所と違い、DEX(分散型取引所)であるSushiSwapでは、中央集権的な管理者が存在せず、ブロックチェーン技術の1つである「スマートコントラクト」を使って、ユーザー同士で仮想通貨・トークンのスワップ(交換)ができる。
スマートコントラクトとは、あらかじめ設定されたプログラムに従って、条件が満たされたときに自動的に取引が執行される仕組みのことだ。
スマートコントラクトによって仲介者を排したことで、SushiSwapでは常にトラストレス(信用を必要としない)な取引が可能で、人件費などの経費を抑えられることから、通常の仮想通貨取引所と比べてより低コストでの取引を実現している。
プロダクトの種類が豊富
コピー元であるUniswapは現状、スワップに特化したプラットフォームとなっている。
一方で、SushiSwapはUniswapとはまったく異なる方向性で開発がおこなわれ、現在はスワップだけでなく、レンディングやステーキングなども利用することができる。
主なプロダクトの名称とその概要は、以下のとおりだ。
- Onsen:比較的新しいトークンを対象としたイールドファーミング
- Sushi Bar:SUSHIトークンのステーキングサービス
- Kashi:レンディングサービス
- MISO:新興プロジェクトがトークンを発行・資金調達できるプラットフォーム
- Shoyu:NFTのプラットフォーム
コミュニティの決定がプロダクトに反映されている
SushiSwapでは、ガバナンストークンである「SUSHIトークン」を用いた投票の内容が、プロダクトに反映されている。
提案と投票は、Snapshotという投票用のプラットフォームの中でおこなわれており、SUSHIトークンを保有していれば、だれでも参加が可能だ。
ちなみに現状は、コミュニティだけでなく中央集権的なコアチームも存在するが、SushiSwapは将来的に中央集権的な組織を排して、DAO(分散型自律組織)に移行することを目指している。
SushiSwap(スシスワップ)の機能/サービス
前述のとおり、SushiSwapにはスワップ以外にもさまざまなプロダクトがあるが、ここではその中から「スワップ」「Onsen」「Kashi」について紹介していく。
スワップ
SushiSwapでは、さまざまな仮想通貨やトークンを、ユーザー同士でスワップ(交換)することができる。
取り扱われている仮想通貨・トークンの数は、DeFi Pluseの分析データによると、本記事執筆時点で447種類に上る。
そして、DEXであるSushiSwapでは、管理者が存在する通常の仮想通貨取引所と違い、スワップに使う仮想通貨を、ユーザー同士で持ち寄らなければならない。
そのため、スワップ用の仮想通貨を預け入れた(流動性を提供した)ユーザーに対して、見返りとして「SLPトークン」が与えられる仕組みが設けられている。
さらに、SLPトークンを預け入れることにより、ユーザーはSushiSwapの独自トークンであるSUSHIトークンを獲得できる。
ちなみに、DEXに流動性を提供して報酬を得る仕組みのことを「イールドファーミング」と呼ぶ。
Onsen
Onsenは、比較的新しいトークンを対象にしたイールドファーミングのプロトコルである。
通常の流動性プールは、自分で預け入れる仮想通貨を選ぶことができるが、Onsenの場合、あらかじめ比較的新しいトークンのみがリストアップされている。
ユーザーはリストにあるトークンを預け入れることで、報酬としてSUSHIトークンを獲得することができ、中には想定APR(年換算利回り)が100%を超えるものもある。
Kashi
Kashiは、ユーザー同士で仮想通貨・トークンの貸し借りができるプロトコルだ。
ユーザー同士といっても、1対1でやり取りをするのではなく、スワップと同じようにプールを介して貸し借りをおこなう。
借り手となる場合は、自身が保有している仮想通貨を担保とすることにより、希望する仮想通貨をプールから借りることができる。
一方で、貸し手は自身の保有する仮想通貨をプールに預け入れることによって、利息を得られる。
SushiSwap(スシスワップ)の始め方
続いて、SushiSwapを利用可能な状態にする方法を紹介しておこう。
なお、SushiSwapは複数のブロックチェーン上で稼働しているが、ここではイーサリアムチェーン上のものを使用する場合の流れを紹介する。
- 国内の仮想通貨取引所でイーサリアムを購入する
- SushiSwapに対応したウォレットを用意する
- SushiSwapとウォレットを接続する
国内の仮想通貨取引所でイーサリアムを購入する
イーサリアムチェーン上のSushiSwapを利用する場合は、ネットワーク手数料(ガス代)の支払い手段としてイーサリアムが必要になる。
イーサリアムはスワップの元手にもなるので、まずは国内の仮想通貨取引所を使ってイーサリアムを購入しよう。
なお、イーサリアムはメジャーな通貨であるため、大半の仮想通貨取引所で取り扱われているが、DEXなどでの実用目的で購入する場合は、DMM Bitcoinの利用をおすすめする。
仮想通貨を出金する際に、手数料が必要なところも多いが、DMM Bitcoinならすべての取り扱い通貨を手数料無料で出金することができる。
まだ口座をお持ちでない方は、この機会にDMM Bitcoin公式サイトをチェックしておくとよいだろう。
また、DMM Bitcoinの詳しい特徴は以下の記事で解説しているので、そちらも参考にしてみてほしい。
SushiSwapに対応したウォレットを用意する
SushiSwapは、仮想通貨のウォレットを接続することで、スワップなどの取引ができるようになる。
そこで続いては、SushiSwapに対応したウォレットを用意しよう。
SushiSwapは以下のように複数のウォレットに対応しているが、どれを使えばよいか迷ったら、イーサリアムチェーン上のアプリケーション以外でも使えて汎用性がある「MetaMask(メタマスク)」を選ぶことをおすすめする。
- MetaMask
- WalletConnect
- Coinbase Wallet
- Fortmatic
- Portis
- Binance Wallet
- Clover
- GameStop
ここで、SushiSwapやMetaMaskのリスクについて触れておきたい。SushiSwapやMetaMaskはいずれも海外サービスであり、日本の法律の管轄外にあるものだ。利用者保護の面などでリスクがあり、なにかトラブルが発生しても、基本的に自力で解決しなければならない。SushiSwapは日本語表記に対応している部分があるが、MetaMaskは日本語表記に未対応で、英語が堪能でないとサービスの詳細を正確に理解できないなどのリスクもある。そういった点を認識して、SushiSwapやMetaMaskを利用しても大丈夫と判断できてから、利用に踏み切るとよいだろう。
また、ウォレットを用意できたら、そのウォレットのアドレス宛にイーサリアムを送金しておこう。
SushiSwapとウォレットを接続する
ウォレットを用意したら、最後にSushiSwapとウォレットを接続しよう。
SushiSwapにアクセスして、画面右上にある「ウォレットに接続」をクリックすると、次のようなウォレットの選択肢が表示される。
その中から自分が使用しているウォレットを選ぶと、今度はウォレットが起動して接続の許可を求められるので、それに応じれば接続が完了する。
なお、SushiSwapは複数のブロックチェーンに対応しているので、イーサリアムチェーン上で使用する場合は、それを自分で選択しなければならない。
現状がどのブロックチェーン上で稼働しているのかは、ウォレット接続後にアドレス横に表示されるアイコンで確認できる。
もし、イーサリアムチェーン以外になっていればアイコンをクリックして、ブロックチェーンの選択肢の中からイーサリアムチェーンを選ぼう。
以上、イーサリアムチェーン上のSushiSwapを利用可能な状態にする手順を紹介した。
このように、SushiSwapは企業が運営する通常の仮想通貨取引所と違って、口座を開設する必要がなく、ウォレットをつなぐだけで簡単に利用できる。
興味がある方は、DMM Bitcoinなどの仮想通貨取引所でイーサリアムを調達するところから、チャレンジしてみてはどうだろうか。
SushiSwap(スシスワップ)の使い方
前述のとおり、SushiSwapにはさまざまなプロダクトがあるが、その中からもっとも基本的な機能であるスワップ(交換)のやり方を紹介しておこう。
- 成行注文と指値注文のどちらかを選択する
- 各種設定をおこなう
- スワップしたい通貨と数量を入力して取引を実行する
成行注文と指値注文のどちらかを選択する
SushiSwapのスワップでは、成行注文と指値注文を利用することができる。
どちらを利用するかを決めて、スワップ画面の左上にある選択肢をクリックしよう。
指値注文を選択した場合は、現在の価格よりも安く、お目当ての仮想通貨をスワップできるメリットがある一方、指定した価格以下にならなければ、約定しないというデメリットもある。
各種設定をおこなう
SushiSwapでは、許容スリッページや取引の制限時間などを自分で設定することができる。
スワップ画面右上の歯車のアイコンをクリックして、必要があればそれらの設定をしておこう。
スワップしたい通貨と数量を入力して取引を実行する
設定が済んだら、スワップしたい通貨とその数量を設定しよう。
画面上部でスワップに出す仮想通貨、下部でスワップによって入手したい仮想通貨を選択できる。
数量については、どちらか一方を入力すると、もう一方は自動的に算出され、スワップで入手できる数量は、手数料分が差し引かれた状態で表示される。
ちなみに、上は成行のスワップの画面を表示しているが、指値注文の場合は、ここからさらに注文が約定する価格を指定しておく必要がある。
スワップを実行しようとすると、ウォレットが立ち上がり、ネットワーク手数料を含む取引内容の確認を求められるので、それを確認して、承認すればスワップが完了する。
SUSHIトークンの価格動向
SushiSwapは、ガバナンストークンである「SUSHIトークン」を発行しているのだが、ここではその価格動向を紹介していく。
ローンチ(2020年8月末)から2021年末までの価格動向
以下のチャートは、SUSHIトークンがローンチされた2020年8月末から2021年末までの、SUSHI/USDチャートである。
2020年末以降、仮想通貨市場全体が活況だった影響から、SUSHIトークンにも資金が流れ込み、2020年末から2021年3月にかけて大幅に価格が高騰している。
しかし、2021年3月がピークとなり、その後は5月中旬に一時復調してみせるも、長期的な視点で見れば下落基調のまま2021年を終えることとなった。
2022年の価格動向
続いて、2022年に入ってから本記事執筆時点(2022年9月上旬)までの価格動向を押さえておこう。
2022年はご覧のとおり、2021年からの下落基調がそのまま続き、5月以降は下落の勢いこそ落ち着いたものの、復調の様子もないまま低迷が続いている。
本記事執筆時点で、年初来の下落率は-80%を超える。
なお、この下落の主たる要因は、終わりの見えないウクライナ情勢や、インフレ抑制のため、各国が金融引き締め政策をおこなった影響から、仮想通貨市場全体が冷え込んだことにある。
SushiSwapに直接的な要因がないため、再び仮想通貨市場に活気が戻らなければ、復調も難しいだろう。
SushiSwap(スシスワップ)の将来性/今後の見通し
最後に、SushiSwapの今後について考察してみよう。
- ロードマップ「Sushi 2.0」の元で開発が進められている
- 新プロジェクトリーダーの報酬体系についての議論が長引いている
- DEXに何らかの法規制がかけられる可能性がある
ロードマップ「Sushi 2.0」の元で開発が進められている
SushiSwapでは2022年5月に、新しいロードマップである「Sushi 2.0」が公開された。
それによると、今後は新しいAMM(自動マーケットメイカー)である「Trident」の正式リリースや、マルチチェーンの拡張などが予定されている。
SushiSwapは、すでに多くの投資家から支持を得ているが、アップデートよって利便性が向上していけば、より多くのユーザーを呼び込める可能性があるだろう。
新プロジェクトリーダーの報酬体系についての議論が長引いている
2021年9月にSushiSwapでは、共同創設者の1人である0xMaki氏がプラットフォームの運営から退いた。
その後、SushiSwapのコミュニティは、新しいロードマップである「Sushi2.0」を立ち上げ、それに基づいてリーダーシップと組織構造の再構築にも取り組んでいる。
その一環として、2022年7月末に新しいプロジェクトリーダー(Head Chef)の信任投票がおこなわれ、スタートアップの企業経験を持つジョナサン・ハワード氏がプロジェクトリーダーの座についた。
ただ、次はプロジェクトリーダーの報酬体系が議論の的になっており、組織の立て直しは難航しているようだ。
組織構造に関する議論や対立が続くと、肝心のプロジェクトの進行にも悪影響を及ぼすことになりかねない。
DEXに何らかの法規制がかけられる可能性がある
SushiSwapを含むDEXは現状、ほとんどの国で法整備がなされていない。
しかし昨今、DEXやDeFi(分散型金融)に対して法規制をかけるべきという声が、各国政府や主要な金融機関から聞こえるようになってきている。
そのすべてはとても紹介しきれないが、例えば米連邦準備制度理事会(FRB)のラエル・ブレイナード副議長は、2022年7月におこなわれたカンファレンスにおいて、まだ市場規模が比較的小さい今こそ、仮想通貨の金融システムにおいて、健全な規制のための基盤を確立すべきだという見解を示した。
まだ具体的な規制の形は見えてはいないが、今後もしも何らかの規制が実施されると、DEXならではのアドバンテージが薄れて、需要に悪影響を及ぼすことも考えられる。
SushiSwap(スシスワップ)のまとめ
今回は、DEXの1つであるSushiSwapの特徴や機能、利用方法などを解説した。
- SushiSwapは、イーサリアムチェーンなどで稼働しているDEX(分散型取引所)
- Uniswapをコピーしてつくられたが、本家とはまったく異なる機能を持つ
- スワップだけでなく、レンディングサービスやNFTのプラットフォームなどプロダクトが多彩
- 利用の際には、基盤となっているブロックチェーンの基軸通貨が必須
- SushiSwap利用のためにイーサリアムを購入するなら、DMM Bitcoin(PR)おすすめ
SushiSwapは、2020年8月にUniswapのコピーとして誕生した。
ローンチ当初はミーム(web上で流行しているネタ)的な存在だと思われていたが、本家とはまったく異なる方向性でアップデートが繰り返されたことで、現在は主要なDEXの1つに数えられている。
英語でしか利用できないDEXも多い中、SushiSwapは日本語表記に対応している部分があり、日本人にもなじみやすい。海外サービスであることなどのリスクを踏まえて、利用してもよいと判断できるなら、実際にSushiSwapに触れてみてはいかがだろうか。
なお、SushiSwap利用のためにイーサリアムを調達するなら、仮想通貨の出金手数料がかからないDMM Bitcoinを使うとよいだろう。
まだ口座をお持ちでない方は、この機会にDMM Bitcoin(PR)こともぜひチェックしてみてほしい。