2023年は、Microsoft社が出資するOpenAI社が手がけたAIチャットボット「ChatGPT」が世に出たことを1つの契機とし、仮想通貨市場でAI関連銘柄が人気を集めている。
ここで取り上げるAGIXトークン(以下、AGIX)は、数あるAI関連銘柄のなかでは比較的長い歴史を持ち、かつ時価総額ランキングで上位に位置している。
この記事ではそんなAGIXについて、主な特徴やこれまでの価格動向などを解説していく。
- AGIXは、AIマーケットプレイス「SingularityNET」のユーティリティトークン
- SingularityNETでの決済に使用できる他、ステーキング報酬にも用いられている
- AI関連銘柄に絞ると、時価総額が2番目に高い
- 2023年からAI関連銘柄に注目が集まるなか、AGIXも価格が高騰している
- AGIXはFET、OCEANと統合の見通し
AIマーケットプレイス「SingularityNET」のユーティリティトークンであるAGIXは、残念ながら今のところ国内取引所での取り扱いがない。
そのため購入の際は、国内取引所でいったんビットコインやイーサリアムを用意し、それを元手に海外取引所もしくはDEX(分散型取引所)で取引することになる。
なお、元手となる仮想通貨の調達先する場合、充実したサポートに定評があるコインチェックなら安心して仮想通貨を購入できる。
AGIXへの投資を検討している方は、ぜひコインチェック公式サイトをチェックしてみてほしい。
仮想通貨AGIX(SingularityNET)とは?概要を解説!
名称 | AGIXトークン |
ティッカーシンボル・通貨単位 | AGIX |
基盤のブロックチェーン | イーサリアムチェーン カルダノチェーン |
価格* | ¥98.87/AGIX |
時価総額* | ¥119,765,276,404 |
時価総額ランキング* | 2626位 |
国内取引所での取り扱い | なし |
AGIX(AGIXトークン)は、イーサリアムチェーンおよびカルダノ(Cardano)チェーンを基盤としたAIマーケットプレイス「SingularityNET」のユーティリティトークンであり、SingularityNETで決済通貨とされている他、ステーキング報酬などにも用いられている。
2018年1月にローンチされており、AI関連銘柄のなかでは古参に当たる。
また、AI関連銘柄に絞って人気の指標となる時価総額を比べると、その金額はインデックス作成プロトコル「The Graph」のユーティリティトークン「GRT」に次いで大きく、需要や投資対象としての人気の高さがうかがえる。
なお、現在はFETとOCEANとの統合が進められており、AGIXは各取引所で上場廃止となる予定だ。
仮想通貨AGIX(SingularityNET)の特徴
AIマーケットプレイスの「SingularityNET」、およびそのユーティリティトークンの「AGIX」には、次のような特徴がある。
- 多種多様なAIのサービスを購入できる
- 独自のAGIシステムがオープンソースで提供されている
- エコシステム内にさまざまなプロジェクト・プロダクトがある
- AGIXのステーキングやブリッジが可能
- AI業界で名高いチームが開発を行っている
多種多様なAIのサービスを購入できる
AIマーケットプレイスのSingularityNETにおいて、ユーザーはユーティリティトークンのAGIXを使いながら、多種多様なAIのサービスを購入することができる。
本記事執筆時点でSingularityでは、76種類ものAIのサービスが出品されている。
購入の際には、あらかじめ無料のデモによって、どういったサービスなのかをチェックすることが可能だ。
またSingularityNETは、開発者側から見れば、自身が開発したサービスを出品してマネタイズできる場であり、「AIパブリッシャー」を用いて、サービスの使用状況の分析や財務管理もできるようになっている。
独自のAGIシステムがオープンソースで提供されている
SingularityNETでは開発者向けに、独自のAGI(Artificial General Intelligence、汎用人工知能)のアーキテクチャ「OpenCog Hyperon」が、オープンソースで用意されている。
アーキテクチャは、コンピュータやIT分野の専門用語の1つで、システムの概念構造や基本的骨組みのことを指す。
また「OpenCog」は、人工知能フレームワークの構築を目指す、SingularityNETとは別のプロジェクトでつくられたオープンソースのアーキチェクチャである。
その概念を継承しつつ、SingularityNETで再設計されたものが「OpenCog Hyperon」で、オリジナルよりもブロックチェーンとの親和性が向上している。
エコシステム内にさまざまなプロジェクト・プロダクトがある
SingularityNETはAIマーケットプレイスの名称であるのと同時に、エコシステムの名称にもなっている。
エコシステム内のプロジェクトおよびプロダクトのカテゴリーは、DeFi(分散型金融)やゲーム、アートやエンタメ、バイオテクノロジーなど多岐に渡る。
例えばそのなかの1つである「SingularityDAO」は、AIを活用した仮想通貨のポートフォリオ管理ツール「DynaSets(ダイナセット)」を手がけている。
AGIXのステーキングやブリッジが可能
AGIXは、AIマーケットプレイスでの決済に使用できるだけでなく、専用のポータルを用いたステーキングも可能だ。
ポータルでAGIXを最低30日間ステーキングすると、ネットワークに貢献した報酬として、AGIXを獲得することができる。
またAGIXには、イーサリアムチェーンを基盤としたトークンと、カルダノチェーンを基盤としたトークンの2種類がある。
ブリッジ用のポータルを使えば2種類のAGIXを1対1で交換できるほか、エコシステム内のプロジェクトの1つ「NuNet」のユーティリティトークンである「NTXトークン(NTX)」と、AGIXを交換することも可能だ。
AI業界で名高いメンバーが開発を行っている
ブロックチェーンのプロジェクトは、開発者の名前が外部に明かされないケースも多い。
一方で、SingularityNETの場合は以下のように、開発チームの主要メンバーの顔と名前が公に発表されている。
創設者の1人であるデビッド・ハンソン博士は、2016年に公開されたAI搭載のヒューマノイドロボット「ソフィア」の生みの親として知られている。
また、同じく創設者の1人であり、SingularityNETのCEOとチーフサイエンティストを務めているベン・ゲルツェル博士は、AGI(汎用人工知能)開発の権威である。
他にも高い実績を持つメンバーが揃っており、SingularityNETとAGIXは、ユーザーや投資家から一定の信頼を獲得している。
仮想通貨AGIX(SingularityNET)の価格動向
ここで、AGIXのこれまでの価格動向を確認しておこう。
次のチャートは、2021年6月1日から本記事執筆時点までの値動きを示した、AGIX/米ドルチャートだ。
2021年の仮想通貨市場は、コロナ禍における金融緩和政策に起因していわゆる金余り相場(過剰流動性相場とも呼ばれる)となっており、AGIXも例に漏れず、価格が大きく値上がりしていた。
しかし2021年の年末になると、世界各国でインフレの進行が顕著となり、それを食い止めるため、各国の金融政策が緩和から引き締め(主に金利の引き上げ)に転じた。
するとリスク資産である仮想通貨市場からは資金が流出していき、AGIXのみならず大半の仮想通貨が暴落の憂き目に遭うこととなった。
ひとしきり資金を吐き出して値下がりしたのち、2022年中頃から値動きそのものが乏しくなっていたが、AGIXは2023年に入って再び高騰している。
この高騰のきっかけとなったのは、AIチャットボット「ChatGPT」の開発元であるOpenAI社に対して、Microsoft社が1.3兆円もの追加出資を検討しているというニュースが、2023年1月10日に報道されたことだ。
そのニュースを受けて、AI業界への期待感から、投資家がAI関連の仮想通貨を物色するようになり、AGIXにも白羽の矢が立った形だ。
2023年前半の高騰後はすぐに反発しているが、2023年後半から2024年現在にかけては再び上昇傾向にある。以下は、2024年1月から7月現在までの価格動向だ。
直近価格動向を見ると、大きな上昇トレンドを形成していることが分かる。
2024年からはビットコイン現物ETF承認の影響や、AI関連銘柄での買いが集中したことで、大きく価格を伸ばした。
なお、AGIXはOCEAN、FETとの統合されることから、今後は単体での取引ができなくなる見通しだ。
仮想通貨AGIX(SingularityNET)の将来性
AI関連銘柄の1つであるAGIXは2023年に入って大きく値上がりしているが、今後どのようになっていくのか、その将来性をここで考察してみよう。
- トークンが統合される
- ロードマップに沿って開発が進められている
- AI業界全体の盛り上がりに下支えされている
- 経済動向にも値動きが左右される
トークンが統合される
AGIXは今後トークンの統合により、単体では取引ができなくなる見通しだ。
アーティフィシャル・スーパーインテリジェンス・アライアンス(ASI)トークンへの統合の第一段階が2024年7月1日に始まっている。
この統合により、AGIXトークン、フェッチ・エーアイのFETトークン、オーシャンプロトコルのOCEANトークンがFETトークンに統合される。結果、AGIXとOCEANトークンは取引所から徐々に上場廃止となる予定だ。
しかし、すべての仮想通貨取引所がこの統合に対応しているわけではない。
コインベースはASI統合をサポートしないことを決定し、そのためユーザーのトークンを自動的に変換する仕組みを導入していない。
コインベースアセットによると、現時点ではコインベース上でFETとOCEANの取引が続けられるとのこと。
AGIXを扱う各取引所での対応状況に注目する必要がある。
ロードマップに沿って開発が進められている
SingularityNFTは、以下のようなロードマップが公開されており、それに沿って開発が進められている。
特に注目すべきは、カルダノチェーンでのプロダクトが拡充されていく点だ。
SingularityNFTはイーサリアムチェーンを基盤としていたが、現在はカルダノチェーンへの移植作業が進められており、同チェーンへのプラットフォームの移植やステーキング機能の実装などが行われた。
カルダノチェーンは、高速・低コストで利用できる汎用プラットフォームとして知られており、移植によって利便性が向上すれば、おのずとAGIXの価格にもポジティブな影響をもたらす可能性がある。
AI業界全体の盛り上がりに下支えされている
先ほど紹介したようにAGIXは2023年~2024年に入って急騰しているが、この値上がりは、AI関連銘柄全体に注目が集まっていることが要因として大きい。
2022年に画像生成AIのMidjourneyやAIチャットボットのChatGPTなどのいわゆる“生成AI”が相次いでリリースされると、株式市場や仮想通貨市場で、AI関連銘柄に強い関心が寄せられた。
また、AIの普及の動きはこれからさらに活発になると見られており、その盛り上がりが今しばらく、AGIXをはじめとしたAI関連銘柄の需要を下支えしてくれるかもしれない。
経済動向にも値動きが左右される
AGIXの価格は、AI業界の動向だけでなく、世界の経済動向にも大きく左右される。
2021年後半から2022年末にかけては、世界各国が金融引き締め政策に舵を切ったことにより、AGIXは長い下落トレンドを形成することとなった。
ただ、政策の甲斐もあってインフレの勢いは徐々に減衰しており、金利先物市場予想によると例えばアメリカの政策金利は、年後半に利下げに転じるのではないかと予想されている。
すでにそうした予想を市場に盛り込む動きが見られているが、より現実味を帯びてくれば、AGIXを含む仮想通貨市場はさらに活気を増していく可能性もある。
仮想通貨AGIX(SingularityNET)の注意点やリスク
さて、AGIXに興味を持ち、実際にこれから投資するのであれば、次のようなリスクや注意すべき点があることを覚えておいてほしい。
- AI関連銘柄で詐欺や盗難行為が横行している
- 国内取引所での取り扱いがない
- 競合するプロジェクトとの相対的な位置関係の変化に要注目
AI関連銘柄で詐欺や盗難行為が横行している
AGIXを含めてAI関連銘柄は、2023年に入り投資対象として高い注目を寄せられているが、一方でそれに便乗した詐欺や盗難行為も増えてきている。
例えばTwitterで「SingularityNFT」と検索すると、次のようにおびただしい数のアカウントがヒットするのだが、もちろん公式マーク(青いチェックマーク)がついているもの以外はすべて偽物だ。
偽物のアカウントの一部にはスパムサイトのリンクが添付されており、そのサイトに不用意にアクセスしたりウォレットを接続したりすれば、情報や資産を盗まれることになるだろう。
こうした現状があることから、AGIXを保有し、SingularityNETのプロダクトに触れたりステーキングをしたりする場合は、詐欺や盗難の被害に遭うことのないように細心の注意を払う必要がある。
国内取引所での取り扱いがない
AGIXは今のところ国内取引所での取り扱いがなく、入手するには海外取引所、もしくはDEX(分散型取引所)を利用しなければならない。
しかし海外取引所とDEXは、いずれも日本の法律で認可されたサービスではなく、国内取引所のように法に基づいた消費者保護の仕組みが適切に用意されているとは限らない。
万が一のトラブルの際には、預け入れた資産が返ってこなくなることも十分に考えられるので、利用するのであれば、そうした潜在的リスクがあることを事前によく理解しておこう。
競合するプロジェクトとの相対的な位置関係の変化に要注目
仮想通貨のデータアグリゲーターであるCoinMarketCapによると、AI&ビッグデータ(AIの成長に用いる大量のデータのこと)関連の仮想通貨は、本記事執筆時点で160種類存在する。
今後さらに増えると思われるが、SingularityNETおよびAGIXは、そうした数多くの競合と市場シェアを奪い合っている。
そのためAGIXに投資にするのであれば、他の主要なAI関連銘柄について把握し、それらとの相対的な位置関係の変化にも注目してみてほしい。
仮想通貨AGIX(SingularityNET)の購入方法
前述のとおりAGIXは残念ながら、今のところ国内取引所での取り扱いがない。
したがってここでは、国内取引所と海外取引所、もしくはDEXの併用によるAGIXの購入方法を確認していこう。
- 国内取引所で口座を開設する
- 国内取引所で元手となる仮想通貨を調達する
- 海外取引所またはDEXでAGIXを購入する
国内取引所で口座を開設する
海外取引所やDEX(分散型取引所)は日本円での取引に対応しておらず、基本的には仮想通貨を元手に取引をすることになる。
そこでまずは、元手となる仮想通貨を調達するために、国内取引所の口座を用意しよう。
今回は、国内有名取引所のCoincheckの例を用いて解説してく。
Coincheckでの口座開設手順は以下に示すとおりで、オンライン口座開設が完了する。
- メールアドレスを登録する
- 各種重要事項を確認する
- 電話番号認証をおこなう
- 個人情報を入力する
- 本人確認書類を提出する
まだ仮想通貨取引所の口座をお持ちでないなら、この機会にCoincheck公式サイトをチェックしてみるとよいだろう。
国内取引所で元手となる仮想通貨を調達する
口座を用意したら、次は元手となる仮想通貨を調達しよう。
先ほど述べたようにAGIXは、イーサリアムチェーンを基盤としたトークンと、カルダノチェーンを基盤としたトークンの2種類がある。
いずれはカルダノチェーンに移植されるが、現状のSingularityNETのプロダクトはいずれもイーサリアムチェーンを基盤としているため、ここではイーサリアムベースのトークンを購入する前提で話を進めていく。
もしもカルダノチェーンのトークンに替えたい場合は、SingularityNETに用意されているブリッジ用のポータルを使用すればよいだろう。
さて、海外取引所でAGIXの取引をする場合、元手としては差し当たって、ビットコインやイーサリアムなどのメジャーな通貨を用意すれば問題はない。
しかし、DEXを利用してイーサリアムベースのAGIXを取引するなら、スワップ(交換)とネットワーク手数料の支払いに使えるイーサリアムを用意する必要がある。
海外取引所またはDEXでAGIXを購入する
元手となる仮想通貨を用意したら、それを用いて海外取引所またはDEXで、AGIXを購入しよう。
本記事執筆時点(2024年7月5日)でAGIXの取り扱いがある海外取引所およびDEXは、以下のようなものがある。
海外取引所:Binance、Bybit、KuCoin 他
DEX:Uniswap 他
海外取引所では、国内取引所と違ってステーブルコインでの取引が主流だ。
そのため多くの場合は、ビットコインやイーサリアムで直接AGIXを購入することはできず、一旦テザー(USDT)などのステーブルコインに換金する必要が生じるだろう。
なお、AGIXは上場により取引所での上場が徐々に廃止される見通しとなっているので注意してほしい。
以上、国内取引所と海外取引所、もしくはDEXを併用して、AGIXを購入する方法を紹介した。
約30社ある国内取引所のなかでCoincheckなら、強固なセキュリティのもと、安心して取引を行うことが可能だ。
AGIXへの投資に関心がある方は、ぜひこの機会にCoincheckの利用を検討してみてはいかがだろうか。
仮想通貨AGIX(SingularityNET)に関するよくある質問
最後に、AGIXに関してよくある質問を紹介しておこう。
- 仮想通貨AGIXはどこで購入することができますか?
-
AGIXは国内取引所での取り扱いがなく、購入の際は海外取引所、もしくはDEXを使用する必要がある。
AGIXを取り扱っていて、なおかつ日本人の利用を受け付けている海外取引所は、例えばBinanceやGate.ioがある。
またDEXでは、求めるトークンの種類によって、利用すべきプラットフォームが変わってくる。
もしもイーサリアムベースのAGIXを取引したい場合は、同じくイーサリアムベースのDEX(Uniswapなど)を、カルダノベースのAGIXを取引するなら、同じくカルダノベースのDEX(SungaeSwapなど)を利用することになる。
仮想通貨AGIX(SingularityNET)の特徴や購入方法まとめ
今回は、SingularityNETのユーティリティトークンAGIXについて、その特徴や過去の価格動向などを紹介した。
- AGIXは、AIマーケットプレイス「SingularityNET」のユーティリティトークン
- SingularityNETでは、AGIXを使ってAIのサービスを購入することができる
- SingularityNET内の専用ポータルで、AGIXのステーキングとブリッジができる
- 2023年からAGIXの価格が堅調に値上がりしている
- トークン統合により、今後はAGIX単体での取引ができなくなる見通し
Coincheckを使えば、AGIXの取引の元手となるイーサリアムやビットコインを調達することが可能だ。
サービスの詳細が気になるなら、ぜひこれを機にCoincheck公式サイトをのぞいてみるとよいだろう。