ビットコインやイーサリアムなどの多くのブロックチェーンは、それぞれ独自の仕組みで成り立っていて、相互運用性を有していない。
そのため従来は、例えばビットコインをイーサリアムに換えようとすると、それぞれのブロックチェーンは中央集権的な管理者を必要としない分散型の存在であるにもかかわらず、わざわざ割高なコストを支払い、中央集権的な仮想通貨(暗号資産)取引所を利用しなければならなかった。
そうした難点を解決するために登場したのが、今回取り上げる「コスモス(Cosmos)」である。コスモスは異なるブロックチェーン同士を仲介して、それらに相互運用性をもたらすことができる。
この記事では、そんなコスモスとその基軸通貨である「ATOM」の基本的な特徴や、ATOMのこれまでの値動き、今後の見通しなどを解説していく。
- コスモスは、「Internet of Blockchains(ブロックチェーンのインターネット)」の構築を目指すプロジェクト
- 相互運用性を持たないブロックチェーン同士をつなぐことができる
- コスモスのネットワークの中に、ATOMを基軸通貨とするブロックチェーン「Cosmos Hub」がある
- ATOMは、ネットワーク手数料の支払いやステーキング報酬などに用いられている
コスモスの基軸通貨であるATOMは、直近1ヶ月で約130%もの上昇を見せており盛り上がりが期待されている。
ATOMは、時価総額ランキングで39位*につけているメジャーな通貨なのだが、国内ではGMOコインでの取り扱っている。*2024年12月3日時点、CoinMarketCap調べ
ATOMに投資してみたい方は、この機会にGMOコイン公式サイトもチェックしておこう。
仮想通貨コスモス(ATOM)とは?
名称 | ATOM |
ティッカーシンボル・通貨単位 | ATOM |
価格* | ¥1,465.46 |
時価総額* | ¥570,239,022,993.27 |
時価総額ランキング* | 39位 |
取り扱いのある仮想通貨取引所 | GMOコイン |
コスモス(Cosmos)とは、「Internet of Blockchains(ブロックチェーンのインターネット)」の構築を目指すプロジェクトの名称である。
コスモスのネットワークを構築するブロックチェーンの1つ「Cosmos Hub(コスモスハブ)」の基軸通貨が「ATOM(アトム)」であり、Cosmos Hubでの手数料の支払いやステーキング報酬などに用いられている。
ATOMの時価総額は¥570,239,022,993.27、時価総額ランキングは39位*であり、メジャーな通貨の1つに数えられている。*2024年12月3日時点、CoinMarketCap調べ
国内市場を見てみるとATOMを取り扱っている仮想通貨取引所は、本記事執筆時点(2024年12月)でGMOコインがある。
仮想通貨コスモス(ATOM)の特徴
ブロックチェーンプロジェクトのコスモスと仮想通貨ATOMには、主に次のような特徴がある。
- 相互運用性を持たないブロックチェーン同士をつなぐことができる
- SDKを使って独自のブロックチェーンをつくることができる
- コンセンサスアルゴリズムに「DPoS」を採用している
相互運用性を持たないブロックチェーン同士をつなぐことができる
ビットコインやイーサリアムをはじめとして多くのブロックチェーンは、他のブロックチェーンとの相互運用性を有していない。
しかしコスモスのネットワークでは、「Hub」と「Peg Zone」というブロックチェーンを経由することによって、あらゆるブロックチェーンを接続できるようになっている。
この仕組みによって、異なるブロックチェーン同士でも仮想通貨を送金したり、様々な取引をしたりすることができる。
SDKを使って独自のブロックチェーンをつくることができる
コスモスのネットワークを構築するブロックチェーン「Hub」は、ATOMを基軸通貨とする「Cosmos Hub」と、それ以外のHubに分けられる。
またコスモスでは、SDK(パッケージ化されたソフトウェア開発キット)を使うことで、容易に新しいHubと、そのHubで用いる独自トークンを発行することができる。
もちろん新しくつくられたHubは、、Cosmos Hubや他の既存のHubとの相互運用性を持ち、Peg Zoneで接続することで外部のブロックチェーンと相互運用することも可能だ。
コンセンサスアルゴリズムに「DPoS」を採用している
コスモスでは、コンセンサスアルゴリズム(取引の情報をブロックに記録する際に必要となる、合意形成の仕組み)に、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)から派生したデリゲート・プルーフ・オブ・ステーク(DPoS)が採用されている。
派生元のPoSは、対象の仮想通貨を多く保有するほど、取引を承認する権利が割り当てられやすくなる仕組みであり、取引の承認作業をおこなうと、その対価として報酬を得られる。
そのためPoSでは、多くの仮想通貨を保有するネットワーク参加者に、権利と富が集中しやすいという難点があった。
一方でDPoSが採用されているコスモスでは、取引の承認する権利を、投票によって他者に委任することも可能であり、取引の承認者はATOMの保有量だけでなく、他のATOM保有者から委任された票も勘案して選出される。
また、権利の委任相手が取引の承認者に選ばれた場合、委任した者にもステーキング報酬が分配される。
このようにDPoSでは、PoSよりも権利と富が分散されやすく、分散されることが取引の処理スピードの向上にもつながっている。
仮想通貨コスモス(ATOM)の価格動向
ここで、ATOMのこれまでの価格動向を、ATOM/USD(米ドル)チャートで確認しておこう。
過去4年間の価格動向
まずは2019年11月から本記事執筆時点(2024年12月)までの4年分の値動きを、振り返ってみよう。
チャートを一見してわかるとおり、ATOMは2021年に入って値動きが活発になり、高騰した。
この高騰は、マクロ経済の動向に影響を受けて起きたものと見られている。
2020年に新型コロナの感染が拡大するなか、各国政府は経済活動の下支えのために金融緩和政策を取るようになり、それによって生まれた余剰資金が仮想通貨市場に金余り相場(過剰流動性相場)をもたらした。
そうした経緯から、ATOMに限らずビットコインやイーサリアムなどの他の銘柄も、ほぼ同時期に価格が高騰している。
ただ、好調な状態は長続きせず、2022年に入ると、上昇分を巻き戻すほど大きく価格が下落している。
この下落もやはり、マクロ経済の動向から影響を受けたものであるという見方が強い。
新型コロナの感染が終息して、世界中の経済活動が活発化すると、人員や資源の供給不足などの要因で高インフレが発生してしまい、インフレを抑えるために各国政府は金融引き締め政策を取るように舵を切った。
すると、金融引き締め政策による景気後退を懸念して、ATOMのみならず仮想通貨市場全体が冷え込んでしまった。
直近の価格動向
次に2024年1月からの直近値動きも押さえておこう。
直近の値動きを見ると、上昇トレンドを形成していたことがわかる。ビットコイン現物ETF承認期待から仮想通貨市場全体が上昇傾向にあり、ATOMも連動した形だ。
ATOM単体での目立ったポジティブニュースは見られないが、時価総額の高さから期待が集まった事による上昇と言えるだろう。
しかし、2024年1月11日にビットコインの現物ETFは本承認に至ったが、3月まで上昇をしたのち、現在まで下降トレンドを形成している。
2024年12月現在は安値から反発をしている。
2024年11月には、仮想通貨に友好的な姿勢を示すドナルド・トランプ氏が大統領選で勝利したことで仮想通貨市場全体が上昇した。
また、直近では仮想通貨規制に積極的であったSECのゲンスラー委員長が2025年1月に退任を発表し、規制緩和が期待されるなど仮想通貨全体にポジティブなニュースが続いている。
ATOMも例外ではなく、11月上旬には3ドルほどだった価格は現在9.8ドルまで上昇している。
仮想通貨コスモス(ATOM)を購入できる取引所
本記事執筆時点(2024年12月)で、ATOMの取り扱いがある国内の仮想通貨取引所は、GMOコインだ。
ここではGMOコインについて、基本情報や特徴を紹介していく。
GMOコイン
提供する取引の種類 | 現物取引(販売所・取引所) レバレッジ取引(販売所・取引所) |
取り扱う仮想通貨 | 26種類 BTC、ETH、BCH、LTC、XRP、 XEM、XLM、BAT、OMG、XTZ、 QTUM、ENJ、DOT、ATOM、XYM、 MONA、ADA、MKR、DAI、LINK、 FCR、DOGE、SOL、CHZ、ASTR、 FIL、SAND |
最小取引数量 (ATOMの場合) |
現物取引(販売所):0.05 ATOM 現物取引(取引所):0.01 ATOM レバレッジ取引(販売所):取り扱いなし レバレッジ取引(取引所):取り扱いなし |
取引手数料 (ATOMの場合) |
現物取引(販売所):無料、スプレッドあり 現物取引(取引所):Maker -0.03%、Taker 0.09% レバレッジ取引(販売所):取り扱いなし レバレッジ取引(取引所):取り扱いなし |
仮想通貨の送金手数料 | 無料 |
その他のサービス | つみたて暗号資産 貸暗号資産 ステーキング IEO API |
公式サイト | GMOコイン公式サイト |
関連記事 | GMOコインの評判・口コミ |
GMOコインは、国内最多クラスとなる26種類もの仮想通貨を取り扱っている仮想通貨取引所だ。
2021年7月14日に、現物取引(販売所・取引所)のサービスで、ATOMの取り扱いもスタートしている。
またGMOコインでは、ATOMのステーキングサービスもある。GMOコイン経由でデリゲートサービスに自身の権利を委任して、委任先のデリゲートサービスが取引の承認者に選ばれれば、ステーキング報酬の分配を受けられる。
報酬は毎月変動するのだが、GMOコインのサイトでは年率6.5~7.2%という、魅力的な利回りが示されている。
なお、ステーキングサービスを利用する際に特段の申し込みなどは不要であり、ただGMOコインのウォレットにATOMを保有しているだけで、ステーキング報酬の分配を受けることが可能だ。
仮想通貨コスモス(ATOM)の購入方法
それでは現状、国内唯一の上場先であるGMOコインでATOMを購入する方法を、ここで確認しておこう。
- GMOコインで口座を開設する
- 購入資金を口座に入金する
- 取引の形式(販売所または取引所)を決める
- 数量などを決めて注文を入れる
GMOコインで口座を開設する
まずはGMOコイン公式サイトにアクセスして、口座開設を申し込もう。
GMOコインでの口座開設の手順は以下のとおりで、本人確認手続きの際に、スマホで本人確認書類と自身の顔写真を撮影する「かんたん本人確認」を選んだ場合は、最短10分で口座開設が完了する。
- アカウントの登録
- ユーザー情報の登録
- 本人確認(「画像アップロード」または「かんたん本人確認」)
なお、口座開設手続きの流れについては、以下の記事の中でより詳しく解説しているので、GMOコインに興味がある方はぜひ参考にしてみるとよいだろう。
購入資金を口座に入金する
口座をつくることができたら、次はその口座にATOMを購入するための資金を入金しよう。
GMOコインの入金方法は、インターネットバンキングを用いて金額が即座に反映される「即時入金」と、銀行窓口やATMなどから振り込む「振込入金」の2種類がある。
この2つのうち「即時入金」は、手数料が一切かからないのでおすすめなのだが、利用できる金融機関が下記のとおり限られているので、その点は注意しておいてほしい。
GMOあおぞらネット銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行、PayPay銀行、ゆうちょ銀行、みずほ銀行*、三井住友銀行*、三菱UFJ銀行(旧三菱東京UFJ銀行)*、りそな銀行*、埼玉りそな銀行*
*Pay-easyでの取引
取引の形式(販売所または取引所)を決める
GMOコインの現物取引での取引形式は、GMOコインとユーザーの間で取引をする「販売所」と、ユーザー同士で取引できる「取引所」の2種類があり、それらの大まかな特徴は以下のとおりだ。
販売所 | 取引所 | |
---|---|---|
概要 | 仮想通貨取引所とユーザーの間で取引 | 仮想通貨取引所のユーザー同士で取引 |
メリット | 仕組みがシンプルで、約定力も高い | 販売所よりも取引コストを抑えられる |
デメリット | 取引コスト(スプレッド)が割高である | 必ずしも注文が成立するとは限らない |
取引コストを抑えたい場合は「取引所」、コストが割高になっても、GMOコインが提示する価格で手軽に取引したい方は「販売所」を選ぶとよいだろう。
数量などを決めて注文を入れる
取引の形式を決めたら、いよいよATOMを実際に購入してみよう。
「取引所」では、成行注文ができるのはもちろんのこと、板(オーダーブック)に表示される気配値を見ながら、購入したい価格レートを指定する指値・逆指値注文も可能だ。
それに対して「販売所」の仕組みはよりシンプルであり、日本円で購入金額、もしくはATOMの購入数量を指定して、注文(成行注文)を出すだけだ。
以上、GMOコインを使って、ATOMを購入する方法を紹介した。
繰り返しになるが、本記事執筆時点でATOMの取り扱いがある仮想通貨取引所は、国内ではGMOコインだけだ。
そのためATOMに興味がある方は、この機会にGMOコインの利用を検討してみてはいかがだろうか。
また、初めて仮想通貨に投資をするという方は「仮想通貨投資の始め方」の記事も併せて確認しておきたい。
仮想通貨コスモス(ATOM)の今後の見通し・将来性
最後に、コスモスおよびATOMの将来性について、考察してみよう。
- SDKを活用したブロックチェーンやプロジェクトが着実に増えている
- マクロ経済の動向次第で、ATOMの復調にも期待できる
- 相互運用性の実現を目的とした、類似プロジェクトとの関係性は要チェック
SDKを活用したブロックチェーンやプロジェクトが着実に増えている
SDKで独自のブロックチェーン(Hub)を開発できるコスモスのネットワークでは、30以上ものブロックチェーンがあり、それらのブロックチェーン上で240種類を超えるDApps(分散型アプリ)が稼働中だ。
また、新しいブロックチェーンやDAppsの開発は、日夜進められている。
コスモスのエコシステムが今後も着実に拡大していけば、基軸通貨となっているATOMの実需も増して、それが価格にも良い影響を及ぼすかもしれない。
マクロ経済の動向次第で、ATOMの復調にも期待できる
先ほど価格動向の解説で述べたとおり、近年の仮想通貨市場はマクロ経済の影響を強く受けている。
ATOMの昨今の下落基調にも、各国政府が行っている金融引き締め政策(利上げ)が、強く影響している。
しかし、金融引き締め政策は永遠に続くものではなく、インフレに対して政策の効果が表れれば、そのペースが減速、さらにいずれは終了していくことだろう。
そのようにマクロ経済の転換点が訪れるか、もしくは転換の兆しが見え始めれば、ATOMを含む仮想通貨市場も、復調に向かっていく可能性が十分にある。
相互運用性の実現を目的とした、類似プロジェクトとの関係性は要チェック
コスモスは、異なるブロックチェーン同士での相互運用性の確立を目的としたプロジェクトなのだが、コスモス以外にもポルカドットやチェーンリンクなど、同様の目的を持つブロックチェーンのプロジェクトがいくつか存在する。
ATOMに投資するのであれば、そうした競合のプロジェクトがある中で、コスモスの需要がどのように変化していくのかも注視しておくべきだろう。
仮想通貨コスモス(ATOM)の予想まとめ
今回は、仮想通貨ATOMについて、その特徴や今後の見通しなどを解説した。
- コスモスは、相互運用性を持たないブロックチェーン同士をつなぐことができるプロジェクト
- コスモスのネットワークを構成するブロックチェーンの1つ「Cosmos Hub」は、ATOMを基軸通貨としている
- Cosmos HubでATOMは、ネットワーク手数料の支払いなどに用いられている
- ATOMを取り扱う国内の仮想通貨取引所は、本記事執筆時点でGMOコインがある
コスモスは、異なるブロックチェーン同士に相互運用性をもたらすプロジェクトである。
また、相互運用性を持つ独自のブロックチェーンをつくることもでき、今後のエコシステム拡大に期待が寄せられている。
この記事を通してコスモスに興味を持った方は、その基軸通貨であるATOMに実際に触れてみてはいかがだろうか。
なお、ATOMの取り扱いがある仮想通貨取引所はGMOコインなので、コスモス・ATOMに興味があるなら、この機会にGMOコインのことも合わせてチェックしておこう。