仮想通貨(暗号資産)業界では近年、保有することで、応援したいプロスポーツチームなどとより密接に関わることができる仮想通貨「ファントークン」が、欧米のプロスポーツチームを中心にトレンドの1つとなっている。
今回取り上げる「FCRコイン」もそのファントークンの1種だ。Jリーグ所属のプロサッカークラブ・FC琉球が、発行・管理している。
この記事では、そんなFCRコインの特徴や、これまでの価格動向、今後の見通しなどを解説していく。
- FCRコインは、Jリーグ所属のプロサッカークラブ・FC琉球のファントークン
- FC琉球のコミュニティサイトで、好きな選手への投げ銭などに使うことができる
- FCRトークンの「トークンパートナー」になると、各種ギフトがもらえる
- 2023年12月にDMM Bitcoinへ上場
FCRコイン2023年12月にDMM Bitcoinで上場される通貨だ。
DMM Bitcoinでは、国内最多クラスとなる28種類(現物)もの仮想通貨がラインナップされており、サービスの種類も充実している。
気になる方はぜひこの機会に、DMM Bitcoin公式サイトにアクセスして、サービス詳細を自分の目で確かめてみるとよいだろう。
仮想通貨FCRコインとは?
名称 | FCRコイン、FC RYUKYU COIN |
ティッカーシンボル・通貨単位 | FCR |
ローンチ時期 | 2021年8月 |
価格* | 0.253円/FCR |
時価総額 | 不明 |
時価総額ランキング | 不明 |
取り扱いのある仮想通貨取引所 |
DMM Bitcoin GMOコイン |
FCRコイン(FC RYUKYU COIN)は、日本のJリーグに所属するプロサッカークラブ「FC琉球」の運営企業、琉球フットボールクラブ株式会社(以下、FC琉球)が、発行・管理している仮想通貨だ。
同じくFC琉球が運営するコミュニティサイト「FC RYUKYU SOCIO」で、好きな選手への投げ銭や、決済手段などに用いられている。
発行上限は10億FCRで、2021年8月のローンチ時点でそのすべてが発行済みである。
また、2023年12月には、国内大取引所DMM BitcoinでFCRコインが上場されることが決まっている。
仮想通貨FCRコインの特徴
FCRコインには、主に次のような特徴がある。
- FC琉球のファントークンである
- FC琉球のコミュニティサイトで、さまざまな用途に使うことができる
- トークンパートナーになることで、さまざまな還元を受けられる
FC琉球のファントークンである
ファントークンとは、プロスポーツチームなどが独自に発行する仮想通貨の総称のこと。プロスポーツチームとファンをつなぐ新しいスタイルとして、欧米を中心に近年のトレンドの1つになっている。
FCRコインもそんなファントークンの1種だ。J2リーグ(2023年シーズンからはJ3リーグ)に所属するプロサッカークラブのFC琉球と、そのファン・サポーターをつなぐ手段として発行された。
また、FCRコインの場合は、FC琉球の資金調達手段としての役割も大きい。
J2リーグ(2023年はJ3リーグ)に所属するFC琉球は、J1リーグなどのクラブと違って大手スポンサーを持たないため、資金繰りに苦慮していた。
しかし、FCRコインを発行・販売したことにより、それが新たな資金調達手段となって、資金問題の解消につながっている。
そんなFCRコインは、GMOコインのIEO(仮想通貨取引所が仲介しておこなう、仮想通貨のプレセールのこと)で販売され、それによってFC琉球は約10億円の資金調達に成功した。
FC琉球のコミュニティサイトで、さまざまな用途に使うことができる
FCRコインを購入したファンやサポーターは、自身の資金を投じて、FC琉球を支援したことになる。
そして、FC琉球のコミュニティサイト「FC RYUKYU SOCIO」において、FCRコインを好きな選手に贈り、さらに支援することもできる。
そのほかにも、FCRコインはFC RYUKYU SOCIOにおいて、チームの意思決定に関わる投票権を得るための手段や、シーズンパス用のクーポンなどを購入するための決済手段としても用いられている。
トークンパートナーになることで、さまざまな還元を受けられる
ここまで解説した内容だと、ファンやサポーターが一方的にFC琉球を支援するばかりで、FCRコインを保有するメリットをさほど感じられないかもしれないが、実際にはそうでもない。
コミュニティサイトのFC RYUKYU SOCIOでは、「トークンパートナー」という還元の仕組みも用意されている。
FCRコインを一定数以上、規定の判定期間(約6カ月間)保有し続ければ、「プラチナトークンパートナー」もしくは「ゴールドトークンパートナー」になることができ、FCRコインの贈呈をはじめとした、各種ギフトによる還元を受けられる。
仮想通貨FCRコインの価格動向
ここで、FCRコインのこれまでの価格動向を確認しておこう。
2022年5月からの価格動向
FCRコインはIEOを経て2022年5月18日に、GMOコインに上場している。
まずは、上場を果たした2022年5月18日から本記事執筆時点(2023年12月)までの値動きを、FCR/JPY(日本円)チャートでおさらいしていこう。
FCRコインは2022年5月18日に、始値約1.99円で、GMOコインへの上場を果たした。
一時は2.6円程度まで高騰したが、上場したその日の内に暴落してしまい、その後は現在まで目ぼしい値動きがない。
ちなみに、IEOでのFCRコインの販売価格は2.2円だったため、IEOに参加した投資家の内、上場当日の2.2円を超えているわずかな時間に売り抜けられなかった者は、いずれも損失を被ったか、もしくは現在も含み損を抱えたままの状態になっている。
直近1カ月の価格動向
次に、本記事執筆時点(2023年12月14日)から遡って、直近1カ月分の値動きもチェックしておこう。
この1カ月を見ると、特に目立った動きは見せていないことが分かる。
12月9日に一時的な変動を見せたが、上下にヒゲを付けて価格も落ち着いた形だ。
その後は方向性を感じられない値動きが続いているが、12月20日より大手国内取引所DMM Bitcoinでの上場が決まっているので、上場後の動きを追っていきたい。
仮想通貨FCRコインを購入できる取引所
本記事執筆時点(2023年12月)で、FCRコインを取り扱っている仮想通貨取引所はDMM BitcoinとGMOコインだけだ。
ここでは、その2社の基本情報や特徴を紹介していく。
DMM Bitcoin
提供する取引の種類 | 現物取引(販売所・BitMatch注文) レバレッジ取引(販売所・BitMatch注文) |
取り扱う仮想通貨 | 38種類 BTC、ETH、XRP、LINK、MKR、 AVAX、CHZ、TRX、ZPG、LTC、 BCH、XLM、ETC、ENJ、FLR、NIDT、 SAND、ALGO、AXS、OMG、APE、 FCR、HBAR、OAS、SHIB、 BAT、MONA、MATIC、ADA*、DOT*、 IOST*、XTZ*、XEM*、QTUM*、XYM*、 SOL*、ATOM*、DOGE* *レバレッジ取引のみの取り扱い |
最小取引数量 (ビットコインの場合) |
現物取引(販売所):0.0001 BTC 現物取引(BitMatch注文):0.01 BTC レバレッジ取引(販売所):0.01 BTC レバレッジ取引(BitMatch注文):0.1 BTC |
取引手数料 (ビットコインの場合) |
現物取引(販売所):無料、スプレッドあり 現物取引(BitMatch注文):0.001 BTCあたり24円 レバレッジ取引(販売所):無料、スプレッドあり レバレッジ取引(BitMatch注文):0.01 BTCあたり24円 |
仮想通貨の送金手数料 | 無料* *BTC、ETH、XRP以外の入出金には非対応 |
その他のサービス | IEO |
公式サイト | DMM Bitcoin公式サイト |
関連記事 | DMM Bitcoinの評判・口コミ |
DMM Bitcoinは、金融やエンタメ関係のオンラインサービスを数多く手がけているDMMグループ傘下の仮想通貨取引所だ。
現物取引だけでなく、レバレッジ取引のサービスも手がけており、特にレバレッジ取引では国内最多となる34種類もの仮想通貨が揃う。
2023年12月20日よりFCRコインの現物取引に対応することも決まっている。
またDMM Bitcoinは、PC用とスマートフォン用にそれぞれ用意されている、高性能な取引ツールが好評を集めている。
特にスマホアプリ版は、シンプルな取引画面で直感的に操作できる「STモード」と、PC版並みのチャート描画ツールや分析指標が使える「EXモード」を自在に切り替えられることため、初心者からベテランまで幅広い層から支持が厚い。
GMOコイン
提供する取引の種類 | 現物取引(販売所・取引所) レバレッジ取引(販売所・取引所) |
取り扱う仮想通貨 | 26種類 BTC、ETH、BCH、LTC、XRP、 XEM、XLM、BAT、OMG、XTZ、 QTUM、ENJ、DOT、ATOM、XYM、 MONA、ADA、MKR、DAI、LINK、 FCR、DOGE、SOL、CHZ、ASTR、 FIL、SAND |
最小取引数量 (FCRコインの場合) |
現物取引(販売所):取り扱いなし 現物取引(取引所):10 FCR レバレッジ取引(販売所):取り扱いなし レバレッジ取引(取引所):取り扱いなし |
取引手数料 (FCRコインの場合) |
現物取引(販売所):取り扱いなし 現物取引(取引所):Maker -0.03%、Taker 0.09% レバレッジ取引(販売所):取り扱いなし レバレッジ取引(取引所):取り扱いなし |
仮想通貨の送金手数料 | 無料 |
その他のサービス | つみたて暗号資産 貸暗号資産 ステーキング IEO API |
公式サイト | GMOコイン公式サイト |
関連記事 | GMOコインの評判・口コミ |
GMOコインは、国内最多クラスとなる26種類もの銘柄を取り揃えている、GMOインターネットグループ傘下の仮想通貨取引所だ。
取引の種類は、GMOコインとユーザーの間で取引をする「販売所」と、ユーザー同士で取引できる「取引所」の2種類。どちらの取引形式も、自分で選択することができるが、FCRコインについては「取引所」のみの提供となる。
また、裁量取引のサービス以外にも、自動積立やステーキング、レンディングやIEOなど、関連サービスが豊富に揃う。
充実したサービスに対するユーザーからの評価も上々で、オリコンの顧客満足度調査では、多くの競合他社を抑え、2年連続で満足度No.1*に輝いている。*2021年・2022年 オリコン顧客満足度® 調査 暗号資産取引所 現物取引 第1位
仮想通貨FCRコインの購入方法
それでは、DMM BitcoinでFCRコインを購入する方法を、ここで確認していこう。
- DMM Bitcoinで口座を開設する
- 購入資金を口座に入金する
- 値動きを分析する
- 数量などを決めて注文を入れる
DMM Bitcoinで口座を開設する
まずはDMM Bitcoin公式サイトにアクセスして、口座開設を申し込もう。
DMM Bitcoinでの口座開設の手順は以下のとおりだ。申し込みから最短10分で取引を始められる。
- メールアドレスを登録する(アカウント作成)
- 個人情報を登録する
- 本人確認をおこなう
なお、DMM Bitcoinでの口座開設の流れについて、詳しくは次の記事で解説している。DMM Bitcoinの利用を考えている方はそちらも参考にしてみてほしい。
購入資金を口座に入金する
口座開設が完了したら、次はその口座に仮想通貨の購入資金を入金しよう。
DMM Bitcoinでは「銀行振込」「クイック入金」の2種類の入金方法が用意されている。
振込入金 | クイック入金 | |
---|---|---|
受付時間 | 24時間365日 | 24時間365日 |
手数料 | 無料 (振込手数料は自己負担) |
無料 |
最低入金額 | 制限なし | 5,000円以上 |
最高入金額 | 制限なし | 1億円未満 |
所要時間 | 順次反映 | 即時反映 |
どちらを使っても問題はないがコストを抑えたい方は、DMM Bitcoin側から手数料を徴収されず、利用する各金融機関でも振込手数料がかからない、クイック入金を選択することをおすすめする。
値動きを分析する
口座に購入資金を入金すれば、すぐに取引を始められる状態になるが、闇雲に取引をするのではなく、取引ツールに備わっているチャート機能を使って、先にFCRコインの値動きをよく分析しよう。
DMM Bitcoinの取引ツールなら、PC版・アプリ版ともに豊富なテクニカル分析指標を使って、詳細な値動きの分析をおこなうことができる。
数量などを決めて注文を入れる
値動きをよく分析して取引のタイミングを見定めたら、いよいよ実際にFCRコインに投資してみよう。
ストリーミング注文(成行注文)をおこなう場合は、FCR/JPYの通貨ペアで売買方法を「買い」に設定し、注文数量と許容スリッページを決めてから、注文を入れよう。
また、DMM Bitcoinではストリーミング注文以外に、指値注文や逆指値注文などの予約注文も豊富に揃っている。
それらを活用すれば、より有利な価格で取引することも十分に可能だ。
以上、DMM Bitcoinを使って、FCRコインを購入する方法を紹介した。
FCRコインに興味があるなら、この機会にDMM Bitcoinの利用を検討してみるとよいだろう。
仮想通貨FCRコインの今後の見通し・将来性
最後に、FCRコインの将来性について、考察してみよう。
- ユースケースを増やすことで、需要拡大を目指している
- 日本のローカルなチームのファントークンであり、グローバルな需要は乏しい
- IEO時の悪い印象が尾を引いている
ユースケースを増やすことで、需要拡大を目指している
FC琉球は、沖縄県内の飲食店や小売店などで使える地域商品券の発行を計画しており、2022年9月から地域商品券を使える加盟店の募集をおこなっている。
地域商品券は、1FCRコイン=1円換算として購入できる仕様で、2022年12月には、FCRコインによる地域商品券の購入機能がリリースされる予定だ。
そうしたFCRコインのユースケースがこれから増えていけば、需要拡大にもつながっていくかもしれない。
日本のローカルなチームのファントークンであり、グローバルな需要は乏しい
ファントークンの中には、例えばスペインのラ・リーガに所属するプロサッカークラブ・FCバルセロナのような、国際的な人気を誇るビッグクラブが発行しているものもある。
FCバルセロナのファントークン「FCバルセロナ・ファントークン(BAR)」は、BinanceやBybitなど多くの仮想通貨取引所に上場しており、1日あたりの取引高は数億円規模である。
一方、FCRコインは日本のローカルなチームのファントークンであり、その実需はグローバルな人気があるFCバルセロナ・ファントークンと比べると、雲泥の差だと言わざるを得ない。
実需が乏しければ、ビッグクラブのファントークンと比べて、今後の値上がりにもあまり期待が持てないだろう。
そもそも、FCRコインの上場先はGMOコインとDMM Bitcoinだけなのが現状で、活発に取引(購入)されない限り、値上がりを見込めない状態である。
今後、国内の仮想通貨取引所に新規上場をすることはあるかもしれないが、ローカルな存在である以上、海外市場への上場は望み薄であり、そうであれば、取引の場における需要の増加にもあまり期待ができない。
IEO時の悪い印象が尾を引いている
先ほど、FCRコインの値動きの解説で述べたとおり、FCRコインは上場を果たした当日に暴落してしまい、それによってIEOに参加した投資家の多くが損失を被った。
しかし、FCRコインのIEOには、暴落が起きたこと以外にも、大きな問題があった。
その問題とは、GMOコインの操作によって、上場当日に取引制限がしかけられていたことだ。
FCRコインが上場を果たした2022年5月18日、GMOコインにおいて「FCRコインを1日あたり最大で、100万FCRしか取引できない」という取引制限がかけられていることが判明した。
さらに、IEOの当選もこの制限に含まれていたため、100万FCR以上をIEOで購入していた投資家は、上場当日に売却することを一切許されない仕様となっていた。
もちろんこうした制限は、IEOの実施時に一切明かされておらず、上場当日にGMOコイン側から発表されている。
なお、この制限に対して、投資家からの反感を受けたためか、取引開始後から約1時間半が経過した頃に、取引制限が1日あたり100万FCRから2,000万FCRに緩和された。
こうした一連の不審な動きを受けて、多くの投資家が売り抜けたいという感情になり、FCRコインは上場したその日の内に暴落してしまった。
ちなみに、GMOコインは、売買制限をかけていたことを“売却注文の不具合”として後日、売れない状態の中でも売却の操作をしようとしていたユーザーに対しては、損失の補填をおこなっている。
ただし、売ることができないという情報を知って、そもそも上場当日に売ることを諦めていた投資家に対しては、残念ながら補填対応はおこなわれていない。
そして、FCRコインの発行元であるFC琉球も、この一連の騒動について、Twitterを通して謝罪している。
またIEOにあたり、取引所の販売制限の仕様で混乱を招いてしまいましたことを深くお詫び申し上げます。その詳細については、あたらしい経済さまに取材を頂きましたので、こちらをご確認頂けると幸いです。https://t.co/FbzRQ5kOaa
— FC Ryukyu Coin (@fcr_coin) May 20, 2022
ホルダーの皆様のためにも、価値向上に努めていく所存でございます。
しかし、この一連の騒動で被害を被った投資家や、SNSなどを通して騒動の内容を見聞きした投資家の間では、“FCRコインのIEOは、FC琉球が資金を調達するためにおこなった、悪質なはめ込み詐欺である”という認識が根強く残っている。
FC琉球は謝罪の中で、FCRコインの保有者のためにも価値向上に努めていくと述べているが、多くの投資家に残った悪いイメージを払拭していくには、かなりの努力と時間が必要になるだろう。
仮想通貨FCRコインの予想まとめ
今回はFCRコインについて、その特徴や今後の見通しなどを解説した。
- FCRコインは、沖縄県のプロサッカークラブ・FC琉球のファントークンである
- FC琉球のコミュニティサイトで、選手への投げ銭や決済の手段などに用いられている
- 一定期間・一定数以上のFCRコインを保有すると、「トークンパートナー」となって様々な還元を受けられる
- FCRコインは2022年5月の上場初日に暴落が発生、以降は本記事執筆時点まで目ぼしい値動きがない
FCRコインは、沖縄県のプロサッカークラブ・FC琉球が発行・管理しているファントークンだ。
ローカルな通貨であり、ユースケースも限られているため、値上がりを期待する投資対象として、FCRコインはあまり適さない。
一方で、投資が主たる目的ではなく、FC琉球のファンとして純粋に支援をしたい方であれば、FCRコインを購入してみるといいだろう。
なお、FCRコインは12月20日よりDMM Bitcoinでの取り扱いがスタートする。
FCRコインに興味がある方は、この機会にDMM Bitcoinのことも、チェックしてみてほしい。