家庭教師の種類と特徴

家庭教師センター

家庭教師業界のうつり変わり:昔のような「強引な営業」は消えた?

 かつての家庭教師といえば、大学生と個人で契約するのが主流でした。一方で「授業料は安いけれど、数十万円もする高い教材を無理やり売りつける」という営業本位の悪質な会社もあり、強引な契約によるトラブルなどで社会問題になった歴史すらあります。

 こうした流れを大きく変えたのが、最大手の「家庭教師のトライ」です。

 1980年台に富山大学の学生サークルから始まったトライは、生徒と先生の間に「会社」がしっかりと入るシステムを作りました。先生に研修を受けさせて指導の質を一律に高めたり、生徒と先生の相性が合わないときには無料で先生を交代できる体制を整えて、業界に「安心感」を広めました。

 なお家庭教師のトライは、2021年に英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが買収しました。現在はAIを使った最新の学習診断など、新しい技術に力を入れています。

個人契約

 個人契約は、知人の紹介のほか、家庭教師のマッチングサービスなどで教師を探し、家庭と教師が直接やり取りする形です。条件が合えば費用を抑えやすい一方、欠席時の扱い、支払い方法、トラブル時の対応なども当事者同士であらかじめ決めておく必要があります。

「安いから」で決める前に、連絡ルールや契約条件を先に確認しておくと安心です

オンライン家庭教師

 インターネットやスマートフォンの普及で、直接の対面ではなくオンラインによる家庭教師も増えてきました。先生の移動が不要で、忙しい家庭でも時間を合わせやすいのが魅力です。費用も家庭教師に比べると若干安く設定できます。PCやタブレットを使って画面共有で解説することが可能となり、非常に便利です。

 ただ、解答する手元を確認をするためには手元撮影用カメラが必要であり、どのオンラインスクールでも用意されているわけではありません。授業料は安いけれど、教材費や追加費用、解約条件などで、支払総額が膨らんでしまう会社もあるので、「総額」と「途中でやめるときの条件」まで、体験時に確認しておくと安心です

 家庭教師の良さを生かしたいが、自宅での勉強は環境的に難しいという場合は、「個別指導塾」が最適です。個別指導塾は講師一人に対して、生徒が1人~3人程度まで様々なタイプがあります。

【関連記事はこちら】>>個別指導塾の料金相場・平均費用はいくら? 安く抑えるためのコツや選ぶ際の注意点も紹介

家庭教師選びで、チェックすべきポイント

目的をはっきりさせよう

「塾+家庭教師」の併用が増えている

 昨今の中学受験は、親世代のころよりも各科目の学習スピードがはるかに速く、内容も難しくなっています。そのため、今は「塾か家庭教師か」のどちらかを選ぶのではなく、「塾に通いながら、足りない部分を家庭教師に手伝ってもらう」という家庭も多くなっています。

 中学受験の大手進学塾のSAPIXや早稲田アカデミーなどは、授業のスピードがとても速いことで知られています。家庭教師が横について「塾で習ったことの復習」をいっしょにやったり、わからない問題を理解できるようにすることで、塾のクラスアップを目指すのが今の勝ちパターンともいわれます。

 しかし、塾の宿題やテストの解き直しや解説ばかりしてもらっていると、目先の解き方ばかり重視してしまい、何が理解できていなかったのかの弱点に気づきにくくなります。解き直しとともに、弱点や単元の理解度まで分析してサポートしてくれる家庭教師こそ、プロフェッショナルだといえるでしょう。

苦手な科目を強化する

 家庭教師は塾に比べるとどうしても費用が掛かります。全科目を家庭教師で対策するという家庭はあまりおらず、苦手科目だけを家庭教師に習うというケースが大半です。

 特に中学受験の合否を分けるのは、自分一人では解決しにくい「算数」です。東大家庭教師友の会を運営する株式会社トモノカイPersonal Education部門長の増子氏は「中学受験や高校受験対策で、もっともニーズがあるのは算数と数学です」と明言しています。

 つまづきやすい算数の解き方のコツを家庭教師からじっくりと学ぶことで、苦手意識も薄れ、得点源に変わる可能性も高まります。

家庭教師(講師)のチェックポイント

講師の受験経験を確認しよう

 保護者の方が一番やってしまいがちな失敗が、「偏差値の高い大学の先生なら安心」という思い込みです。例えば、同じ難関私立大学生でも学力幅が大きいといわれます。一口に偏差値の高い有名私立大学と言っても、付属校から上がって来ている内部進学組や、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(指定校・公募)、そして一般入試による合格者がいます。

 入試形態による学力の傾向で見ると、「基礎学力」という面では一般入試を突破した学生が最も安定している傾向にあります。

 次に学校推薦型選抜で合格した学生であれば、高校3年間の評定が高かった実績があり「コツコツ取り組む力」を備えていると考えられます。ただし、早期に合格が決まるため、高校3年後半の学習量に差が出やすく、一般入試組と比べると基礎学力の「抜け」が見られるケースがあります。

 つまり、難関私立大学生でも総合選抜から一般入試組みまでいるため、大学名のブランドだけで安心すると失敗する場合も考えられます。

「解ける」と「説明できる」は別

 自分が苦労せずにスラスラ解けてしまう学力が高い先生は、生徒が「なぜ分からないのか」を理解してあげられないことがよくあります。先生が難問を解けても、どう解いていくのかをわかりやすく言語化できるかがポイントになります。

中学受験を経験しているか

 中学受験対策の場合、教えてくれる講師自身が、中学受験を経験しているかどうかはとても大切です。

「中学受験ならではの特殊な解き方や、あの時期特有のプレッシャーを知っている先生は、言葉の重みが違います」(増子氏)。

 特に小学生の算数は、中学生の数学の方程式などを使えば簡単に解けることも少なくありません。しかし、小学生の知識の中で解くとともに、小学生にわかりやすく説明して理解させられるのかが重要になります。

 その点、中学受験を経験していれば、小学生がつまずきやすい問題に対しても自らの体験をもとに説明してくれます。そういう意味で中学受験を経験しているかは中学受験のために家庭教師を選ぶときのポイントの一つです。

料金のチェックポイント

 料金は「授業料」だけでなく、入会金、交通費、管理費、教材費などがかかる場合があります。条件を細かくするほど料金が上がりやすいので、体験授業の段階で「毎月の額」と「途中でやめる場合の条件」まで確認しておくと安心です。「広告」だけで判断せず、複数社を比べるのが失敗しにくいコツです。

 また、家庭教師センターによって、月謝制もあれば、前払い式もあります。授業時間数によって増減する料金設定のところもあります。いずれにしても総額でいくらになるかを確認しておきましょう

目的別|家庭教師の選び方

志望校対策

 中学受験の志望校対策では、塾のペースに遅れないことが最優先です。マンツーマンで指導する家庭教師は「算数のつまずきの解消」や「塾の解き直し」に強く、横で一緒に復習することで理解の穴を塞ぎやすくなります。

 そのためにも小学生の知識で解く道筋を言葉にできるか、そして受験期の負荷を理解して支えられるかも重要なポイントになります。

内申点・評定対策

 家庭教師のニーズは受験対策ばかりではありません。勉強が苦手な生徒に対しては、日々の学習習慣を身に付けるために、個別の学習計画を考えて対応するケースもあります。

 例えば、内申点(評定)対策では、学校での「提出物」「定期テスト」「授業の理解」を丁寧に積み上げることがポイントになります。こうした内申点の向上と基礎学力の底上げに寄り添ってくれるのも家庭教師の役割です。教科ごとの弱点を短いサイクルで回し、学校のワークや過去問の進め方まで一緒に設計できるような先生が向いています。

学校・塾の補習

 学校の授業の補習目的なら、目標は「分からないを持ち越さない」ことです授業でつまずいた単元をその週のうちに解き直し、基本に戻って理解できるまで指導してくれる先生が適任です。説明が丁寧で、子どもの反応を見ながら根気強く指導してくれる先生であれば続きやすくなります。苦手科目や主要科目の中から絞ってみてもらうことからはじめるといいでしょう。

不登校をサポート

 最近は学習を支援するだけでなく、学校になじめない不登校の子どもの「居場所づくり」や「自信回復」のために家庭教師を選ぶケースも増えています。学校以外の学びの場として、柔軟に活用することも検討できます。

 家庭教師は自主学習に寄り添うだけでなく、年齢が近いお兄さんやお姉さん的存在として、心の支えになるケースもあります。

よい家庭教師センターを見極める4つのポイント

指導実績・合格実績

 実績は「合格者数」だけでなく、似たタイプの生徒をどう伸ばしたかを聞くのがコツです。中学受験なら算数のつまずき対応、内申対策なら定期テストの改善など、目的に直結した実績があるかを確認しましょう。

指導方針とカリキュラム

「何を、いつまでに、どれだけやるか」をわかっている講師は家庭教師として有能です。体験授業の中で、授業だけでなく学習計画まで提案してくれるかを見ておくと、入会後のブレが減ります。

子どもとの相性

 家庭教師選びでは、料金や経歴だけでなく、講師と子どもとの相性も大切です。子どもが話しやすく、安心して学べると感じられるかが、継続のカギになります。

 そのため、体験授業を実際に担当する講師が行うかどうかも、よい家庭教師センターを見極めるポイントです。

サポート体制

 家庭教師センターは、先生の選考のほか、先生と学習計画のサポートを行い、生徒や保護者と情報共有する役割をもっています。学習計画の進捗状況などを保護者と共有しながら学習目標や志望校に合格する学力をフォローアップするために、どのような体制を整えているのか聞いてみましょう

 また、生徒と先生の相性が合わないときには、先生を交代できる体制を整えているのか、またその際に費用は発生するのかも確認しておくことも大切です。

家庭教師の料金相場と費用の内訳

料金相場

 家庭教師の料金は、学年、目的(受験か補習か)、講師のタイプ(学生かプロか)、指導形態(訪問かオンラインか)で幅があります。

 費用は授業料に加えて、入会金、交通費、管理費、教材費などが発生する場合があります。とくにオンラインは「授業料は安いが教材費が高い」など、見え方と総額がずれるケースもあるため、契約金額と解約条件まで確認しましょう。以下は、費用の詳細です。

家庭教師センターの費用の目安

項目 金額
入会金 10,000円〜30,000円
管理費・サポート費 1,000円〜10,000円程度/月
交通費

講師の自宅からの実費

(オンラインなら0円)

教材費

0円〜5,000円程度/月

(手持ちの参考書を使う場合は不要なケースも多い)

指導料

生徒の学年、講師ランクで変動

 

大学生講師:2,000円 〜 3,500円/時間

難関大生講師(東大・京大・早慶・医学部など):4,000円 〜 6,500円

プロ講師(中堅〜ベテラン):7,000円 〜 12,000円

トッププロ講師:12,000円 〜 30,000円

※週1回(月4回)、90分授業の場合の時間当たりの料金を想定。

家庭教師のメリットとデメリット

メリット

完全マンツーマンの個別指導

 目の前の子どもだけに合わせて授業を進められるのが家庭教師の強みです。分かったふりを見逃しにくく、つまずきの原因まで戻って説明できます。

個別最適化されたカリキュラム

 目標(志望校、内申、補習)に合わせて、必要な単元だけを優先で指導してもらえます。「今週やること」が毎回決まると、学習がスムーズに回りやすくなります。

時間に融通が利く

 習い事や部活と両立しやすく、移動が難しい家庭でも続けやすいのがメリットです。オンラインなら調整もしやすくなります。

デメリット

教師の指導力にばらつきがある

 自分が苦労せずにスラスラ解けてしまう先生は、生徒が「なぜ分からないのか」を理解してあげられないことがよくあります。

競争意識や緊張感が生まれにくい

 集団塾のようにライバルがすぐ近くにいないため、緊張感が薄くなりがちです。模試など、外部の締め切りのある目標を意識的に設定することで補いやすくなります。

費用が高いことが多い

 条件を細かくすると費用が上がりやすいので、「必要な科目だけ」「受験期だけ」など、期間や範囲を決めて使うと続けやすくなります。

家庭教師が向いている生徒の特徴

集団塾のフォローが必要な生徒

 塾の授業が速く、復習が追いつかないタイプは家庭教師が向いています。とくに算数の「解き直し」から入ると効果が見えやすいです。

他の習い事と両立したい生徒

 移動や時間の制約がある子どもは、家庭教師やオンラインで調整しやすくなります。

家庭学習の習慣が身についていない生徒

「やることが決まらない」状態が続くと、勉強の習慣は途切れがちになります。毎週の計画と振り返りまで一緒に作れる先生が向きます。

競争環境にストレスを感じる生徒

 集団の競争が負担になる子どもには、安心できる環境で家庭教師が寄り添うことで、少しずつ学力を積み上げることで伸びやすくなります。

まとめ|家庭教師選びに迷ったら

失敗しない家庭教師選びの「5つの極意」

  1. 「塾+家庭教師」の二刀流もあり
     今の受験はスピード勝負です。特に中学受験においては、家庭教師を「塾の復習・算数の強化」というピンポイントな武器として活用する家庭が増えています。
  2. 学歴よりも「解説の引き出し」を見る
     先生自身の合格実績だけでなく、「なぜそうなるのか」を子供が納得できる言葉で説明できるかが指導力の鍵です。特に、論理的思考が必要な算数では、先生の「教える技術」が合否を分けます
  3. 「一般入試を勝ち抜いた経験」を重視
     厳しい一般入試を突破した学生やプロ講師は、基礎学力の土台がしっかりしており、受験期の苦しさや粘り方も身をもって知っています。特に生徒の精神的な支えが必要な場合、この経験の差は大きいです。
  4. 「不登校サポート」という新しい選択肢
     最近は学校になじめない子どもの「居場所づくり」や「自信回復」のために家庭教師を選択する家庭もあります。学生の講師であれば年齢が近いため、精神的なサポートもしやすいです。
  5. 体験授業は「自走できるか」を確認
     授業は子ども部屋でやるよりもリビングなど、授業の様子が保護者にも聞こえる場所でしてもらうのも一案です。先生がいない時間も自分で勉強できるイメージを持たせてくれるかどうかが、最終的な判断基準です。