学校の授業で、学習内容は知らないふりをすべきか
小学校教師として、そして親として、このことについてはよく考えます。結論から言うと、「学校の授業で知らないふりをする」ことは必要ありません。そもそも、子どもが知らないふりをするのは難しいのです。
なぜなら、学校での授業は、教師と子どもの間で築かれる「対話」だからです。先生が何か問いかけたとき、子どもたちは「わかった!」という気持ちが自然と湧いてきて、つい発言してしまいます。それを我慢させることは、子どもの学びの芽を摘んでしまうことになりかねません。
また、学校の役割は、知識を詰め込むことだけではありません。子どもたちが「わかった!」「できた!」という小さな成功体験を積み重ね、自信をつけていく場所でもあります。もし、事前に学習したことで自信を持って発言できるのであれば、それはその子にとっての立派な成功体験です。
そして、その子の発言が、クラス全体にいい影響を与えることもあります。例えば、算数の授業でつまずいている子がいたら、先に勉強している子が「こうやったらできるよ」と教えてあげることもあります。そうやって、子どもたち同士で学び合う姿は、教師として本当にうれしいものです。
ですから、塾通いの子どもが、学校の学習内容で知っていることを知らないふりをする必要はないと考えています。
どのような配慮が必要か
授業のテンポを大きく崩してしまったり、他の子が発言する機会を奪ってしまったりすることは、教師として避けなければなりません。事前に学習している子どもたちにも、そうではない子どもたちにも、それぞれが活躍できる場面をつくることを心掛けています。
もし、お子さんが塾で先に学習していて、学校の授業でつい発言してしまうことが非常に多くて心配なようであれば、親子で話し合ってみるのもいいかと思います。例えば、「学校ではみんながわかるように、先生の問いかけにすぐ答えずに少し待ってみようね」とか、「他の子が困っていたら、やさしく教えてあげてね」などと具体的なルールを話し合うことで、学校での立ち居振る舞いを考えるきっかけになるかもしれません。
小学校教師として、そして一人の親として、子どもたちが学校で堂々と学び、成長する姿を応援したいと心から思っています。
友だちや先生に横柄な態度をとる子どもへの教師としての対応
「塾で習ったから知ってるしぃ」「こんなの簡単~」などと授業で自慢げに言う子どもへの対応で心掛けていることがあります。それは、子どもが「塾で習ったから知ってる」「簡単だよ」と自慢げに言う場合、その背景にはさまざまな気持ちが隠されていることです。
子どもが本当に言いたいのは、「先生、自分は塾でも頑張って勉強しているんだよ」という承認欲求だったり、「この勉強、ちゃんとついていけてるよ」という安心感を求めていることだったりします。もちろん、単に友だちに自慢したい気持ちが強い子もいるでしょう。
そんなとき、私は教師として、まず子どもたちの気持ちを受け止めることを心掛けています。具体的な対応を紹介します。親御さんのお役にも立てるかもしれません。
(1)まずは「すごいね!」と認めてあげる
「おー、すごいな! もうそんなところまで勉強してるの!?」と言って驚きます。まずは、子どもの頑張りや先取り学習を素直に褒めるのです。
そうすることで、子どもは「先生は僕の頑張りを見てくれている」と感じ、安心感を覚えます。
(2)相手の気持ちを想像させる
次に、「でも、この教室にはまだ習ってないお友だちもいるよね。もし、自分が知らないことをいきなり『簡単』って言われたら、どんな気持ちになるかな?」と聞きます。このように問いかけることで、相手の立場に立って考えることを促します。
このとき、「言っちゃダメ」と頭ごなしに否定するのではなく、あくまで「どう思う?」と質問形式で投げかけることが重要です。
(3)クラス全体への貢献を促す
最後に、その子の力をクラス全体の学びに活かす方法を伝えます。
「じゃあ、〇〇さんが先生の代わりに、まだ習ってないお友だちにそっと教えてあげるのはどうかな?」
「〇〇さんがやさしく教えてくれたら、きっとみんなももっと楽しく勉強できると思うんだけど、どうかな?」
「先生の『助っ人』になってくれる?」
などと言うことで、自慢げに話す行動を、クラス全体に貢献する前向きな行動へと変えるようにします。そうすることで、その子は「すごい」と褒められるだけでなく、「頼りにされている」という自己肯定感も得られます。
子どもたちは、褒めてもらうこと、認められることが大好きです。大人もです。その承認欲求を否定するのではなく、クラス全体を巻き込む形で満たしてあげることが、教師として、そして親として大切なことだと私は考えています。
学校での授業態度が心配な親御さんへ
塾で頑張っているお子さんが、学校で自慢していないかと心配されているお気持ち、痛いほどよくわかります。私も一人の親として、同じような心配をしたことがあります。そして、頭ごなしに「自慢しちゃダメ」とばかり言うのではなく、子どもの頑張りをまず受け止めてあげることから始めることが大切だと気づきました。
ご家庭でできることを紹介します。参考になればうれしいです。
頑張りを認める
「塾の勉強、頑張ってるんだね。学校でもわかってすごいね!」と、まずは素直に褒めてあげてください。
配慮を伝える
その上で、「でもね、学校の授業はみんなで一緒に学ぶ時間だから、すぐに答えを言っちゃうと、まだ習ってないお友だちが嫌だと思っちゃうかもしれないね」と、相手の気持ちを想像させてあげてください。
具体的なアドバイス
「もし先生が質問したときは、他の子も答えられるように、少しだけ待ってみようか」とか、「もしお友だちが困っていたら、そっと教えてあげるお手伝いをしてみるのはどう?」と、具体的な行動を提案してあげると効果的です。
まとめ
お子さんが塾で頑張っていることは素晴らしいことです。その頑張りが、学校では「みんなで学びを深める力」になるように、ご家庭で少しだけ背中を押していただければうれしいです。
子どもたちは、教師や親御さんが思っている以上に、ちゃんと周りのことを考えています。親御さんがお子さんの頑張りを認め、その上で「人への配慮」を伝えてあげることで、きっと良い方向へ変わっていくはずです。
ご心配な気持ち、本当にわかります。でもその心配は、お子さんを想う愛情の表れです。どうかご安心ください。いつでも学校と連携して、お子さんの成長を見守っていきたいです。(続く)