奈良県の中学受験熱心度ランキング
奈良県の中学受験熱心度ランキングはどうなっているのだろうか。全国的に中学受験への関心が高まるなか、とくに大都市では私立および国立中学校への進学率が年々上昇している。本記事では、全国における奈良県の中学受験熱心度に加え、奈良県内の市区町村別に私立および国立中学校在学率（中学受験熱心度）を分析し、中学受験の実態と変化を詳細に解説していく。
データについては、京都産業大学桐村喬准教授の研究「統計から見た『中受』の地域差」の市区町村別公立中学校在学者比率（学校基本調査による市区町村にある公立中学校の在学者数が、国勢調査による当該市区町村の中学校在学者数に占める割合）を基にして、私立および国立中学校の在学者を推計してランキングを作成した。
12都府県での奈良県の中学受験熱心度は3位
主要12都府県（東京、神奈川、埼玉、千葉、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、奈良、広島、福岡）での比較によると、奈良県の私立・国立中学在学率は11.5%で、12都府県中第3位となっている。
中学受験に熱心な12都府県野でもなかでも上位に位置しており、奈良県では一定数の中学生が私立・国立中学校に通っていることがわかる。上位都府県として奈良県の中学受験への関心の高さがうかがえる。
| 順位 | 都道府県 | 私立・国立中学在学率 |
|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 23.7% |
| 2位 | 神奈川県 | 13.3% |
| 3位 | 奈良県 | 11.5% |
| 4位 | 広島県 | 11.4% |
| 5位 | 京都府 | 10.8% |
| 6位 | 兵庫県 | 8.7% |
| 7位 | 大阪府 | 8.5% |
| 8位 | 千葉県 | 7.4% |
| 9位 | 静岡県 | 6.4% |
| 10位 | 福岡県 | 4.9% |
| 11位 | 埼玉県 | 4.5% |
| 12位 | 愛知県 | 3.8% |
市区町村の中学受験熱心度ランキング（奈良県）
奈良県で中学受験に熱心な市区町村はどこか。以下は、私立・国立中学在学率を推計して、高い順にランキングしたものだ。
このデータは居住地ベースの統計のため、「越境」して中学校に通学している中学生数も含まれている。とくに中学校数が少ないエリアにおいては越境入学者による影響が大きくでるため、中学生数が少ない市区町村は掲載対象外とした。また公立中学校に地域外から越境入学している生徒が多い市区町村は、実際よりも「私立・国立中学在学率」が低く出る傾向があり、本ランキングでは0%以下となる場合は「0%」と表示している。
| 順位 | 市区町村名 (クリックで 近隣塾を検索) |
私立・国立中学在学率 （2020年） |
私立・国立中学在学率 （1990年） |
中学校在学者数 （2020年） |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 天理市 | 23.3% | 20.8% | 1,711人 |
| 2位 | 奈良市 | 18.0% | 10.6% | 8,918人 |
| 3位 | 生駒市 | 16.1% | 10.6% | 3,796人 |
| 4位 | 王寺町 | 12.5% | 6.7% | 592人 |
| 5位 | 広陵町 | 12.2% | 4.7% | 1,060人 |
| 6位 | 三郷町 | 11.2% | 8.3% | 578人 |
| 7位 | 桜井市 | 9.2% | 3.6% | 1,424人 |
| 8位 | 香芝市 | 8.5% | 3.0% | 2,733人 |
| 9位 | 橿原市 | 8.4% | 5.0% | 3,220人 |
| 10位 | 斑鳩町 | 8.0% | 4.0% | 786人 |
| 11位 | 大和高田市 | 7.1% | 3.8% | 1,405人 |
| 12位 | 葛城市 | 7.0% | 3.0% | 1,186人 |
| 13位 | 上牧町 | 5.9% | 1.8% | 561人 |
| 14位 | 田原本町 | 4.8% | 6.3% | 809人 |
| 15位 | 大和郡山市 | 4.7% | 4.4% | 2,132人 |
| 16位 | 宇陀市 | 4.6% | 3.9% | 650人 |
1990年の中学校在学者数は年齢各歳別の人口をもとに算出。
自治体の再編または合併があった市区町村については、編集部で最適な在学者数を推計した。
政令指定都市の区の場合、区を跨いだ通学区域が設定されていることもあるため、「私立・国立中学在籍率」が高くなることがある。
私立・国立中学在学率が高いのは奈良市
奈良県で私立・国立中学在学率が高かったのは奈良市。 上位の奈良市で中学受験が熱心な理由はいくつか考えられる。
まず、県庁所在地であり、教育熱心な家庭が多いことだ。奈良市は、県庁所在地で神社仏閣が多いだけでなく、治安もよく、観光地でありながら文教地区の側面も持つ。教育に多大な投資を行うことが一般的で、私立や国立の中学校への進学を目指す家庭が多いといえる。
市内に名門中学が複数立地していることも理由としてあげられる。奈良市には、東大寺学園中学校、帝塚山中学校など、進学実績があるだけでなく特徴的な教育を実践している中学校が通学圏内にあるため、公立中学以外を選択する家庭が多いのだろう。
上位エリアの有名私立・国立中学校は？
私立および国立中学在学率が上位のエリア（天理市、奈良市、生駒市、王寺町、広陵町、三郷町。リンク先は塾比較ページ）およびその周辺には、多くの名門校が立地している。 そこで主な中学校を紹介する（校名をクリックすると、各学校の塾ランキングにリンク）。
中学受験過熱度ランキング（1990年から2020年までの変化）
1990年から2020年にかけて、どの地域で中学受験熱が高まっていったのか。以下は、私立および国立中学在学率の変化が大きい順のランキングだ。
過熱度がもっとも高かったのは広陵町で7.5%の増加となっている。
| 順位 | 市区町村名 | 私立・国立中学在学増加率 （30年前比） |
|---|---|---|
| 1位 | 広陵町 | +7.5% |
| 2位 | 奈良市 | +7.4% |
| 3位 | 王寺町 | +5.8% |
| 4位 | 桜井市 | +5.6% |
| 5位 | 香芝市 | +5.5% |
これらの地域では、関西圏のベッドタウンとしての発展、県庁所在地として富裕層が集まっているほか、交通利便性の向上などが中学受験熱の高まりにつながっている。特に奈良市では、大阪・京都方面への通勤利便性と住環境の良さから教育意識の高いファミリー層が集積し、市内の東大寺学園中学校や帝塚山中学校をはじめとする有名私立中学校への進学を目指す家庭が増加したことが数値に表れているのだろう。
