英検2級試験で得点が足りなくても、準1級試験で合格する

 もっともメジャーである「英検®」こと実用英語技能検定ですが、やはり、対策はしやすいです。日本の中学や高校のカリキュラムに沿った内容なので、ちゃんと学校の勉強をやっていれば、それが対策になっていきます。

5級から1級まで順々に取得していけるので、対策がしやすいのが魅力です」(トフルゼミナール 企画業務部長 加藤さん)

 3級から受験するケースもありますが、中学生ならば5級は基礎の基礎を固めるのにいいので、ぜひ受けたいテストです。中学1年で5級、中学2年で4級、中学3年で3級、高校1年で準2級、高校2年で2級、高校3年で準1級というふうにとっていけば、理想といえそうです。

 3級と2級の間には2年くらいの学習が必要とされ、そのため、準2級と2級の間に「準2級プラス」という級ができました。3級をとった後に2級は無理かなと思っても、準2級や準2級プラスを受験すればいいわけです。

 また、英検2級と準1級の違いは単語の量で、文法は差がありません。ですから、もし、塾に通うなら2級対策までに通った方がいいでしょう。文法は塾で教わった方が伸びやすいですが、単語の暗記は自習でどうにかなりますので。

 さて、この準1級対策では単語集はどれを使えばいいかという問題が勃発しました。従来、王道と呼ばれた市販の教材が改訂して「これを勉強しても合格できない」と評判になりました。そこで今、評価が高いのはジャパンタイムス出版『出る順で最短合格! 英検準1級単熟語EX 第2版』です。準1級合格者の多くがこれを利用していました。

英検の裏技を紹介

 さて、英検はちょっとした裏技があります。英検を受験して不合格でもスコアがでます。そして、そのスコアが受験の際は使用できます。

 英検2級と準1級のテストを受験したとしましょう。合格のスコアは2級が1980点以上、準1級が2304点以上。満点が2級は2600点、準1級は3000点。準1級の方が満点の点数が大きいので、スコアが高く出ることがしばしばあります。

 つまり、2級と準1級の両方を同時期に受験すると、2級のテストでスコアが1970点でギリギリ不合格だったとしても、準1級のテストでは1980点ぐらいが出る可能性があります。そうなると、英検2級相当のスコアを獲得したことになるのです。

 この場合、明治学院大学のように出願条件に「英検2級合格またはCSEスコア1980点以上」とあれば、出願ができます。

IELTSの人気が高まっている

 次に、今、注目の英語資格試験がIELTSです。「聞いたことないぞ」と思われる方も多いでしょう。私も取材するまで、こんなに高校生の間で人気資格になっているとは思いませんでした。

 総合型選抜や公募制を狙う「推薦入試戦士」の間でIELTSの人気が高まっています。私立高校や推薦塾の中にはIELTSを生徒に受験するよう推奨しているところも増えてきました。なぜ、そんなに人気なのでしょうか。

 IELTSはイギリスの組織が主催する英語資格試験で、イギリス、カナダ、オーストラリアなどの大学への留学に利用できます。大学への留学で利用する英語資格試験でTOEFLがアメリカのテストなら、こちらはイギリスのテストです。

 TOEFLも英検もライティング問題はまず長めの英文を読んでから記述をしていきます。この場合、英文が読めないとアウトなのですが、IELTSのライティングは、問題に長めの英文が出ないので、リーディングが苦手でもライティングが得意な英語資格試験なら点数がとれます。

 もう一つ、IELTSの魅力があります。試験の回数が多く、結果が一週間後に出るので、総合型選抜などの出願の直前まで受験ができます。英検は夏の試験のスコアまでしか出願に使えませんが、IELTSなら秋まで粘ることができます。実際に、夏の試験で英検準1級は残念だった生徒がIELTSの問題集で学習をし秋の出願ギリギリにIELTSを受験し4・5(英検準1級相当)のスコアをとったという例もあります。

 こう書くといいことずくめのIELTSですが、受験料が約2万5000円ほどと高いのがネック。私立校ですと割引で受験もできることもあるようなので、英語の先生に相談してみてもいいでしょう。

 対策の教材も市販されているのでそれで勉強をしてもいいでしょう。実際、地方の高校生たちは教材で対策をして、希望のスコアを出しています。IELTSには2種類のテストがありますが、総合型選抜や公募制で使うのは「アカデミック・モジュール」というテストです。

英語資格が大学受験で武器になる

 他の英語資格試験に関しても、『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法 総合型選抜から指定校推薦まで』(青春出版社)では詳細に解説している。

 推薦入試だけではなく、一般選抜でも英語資格試験が利用できるようになってきた。英語の試験の代わりに英語資格試験のスコアを点数化する大学も増えてきた。今後、大学受験を目指すなら、まず英語資格試験の対策を心掛けるべきだろう。

 中学1年で英検5級、2年で4級、3年で3級を取って、高校以降は準2級、2級、準1級と取っていけば受験では武器になろう。

大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法
(杉浦由美子 著・青春出版社)

推薦入試において、面接でのプレゼン能力や留学経験が有利という従来の常識は誤り!?

本書では、早稲田塾などの推薦塾や高校・大学教授、合格者57人への徹底取材を通じて、評価される志望理由や活動実績などのポイントを明らかにしている。

華やかな活動実績がなくても合格を勝ち取るための志望理由書の書き方や英語資格試験の狙い目、指定校推薦の最新データなど、具体的な合格戦略を余すところなく紹介する一冊である。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。