筑波大学附属駒場について

 筑波大学附属駒場中・高等学校は、東京都世田谷区にある国立の中高一貫校だ。国立高校としては唯一の男子校で、国立のトップ校として高い偏差値と人気を誇っている。「自由・闊達の校風のもと、挑戦し、創造し、貢献する生き方をめざす」を学校目標に掲げ、生徒の自主性を尊重している点も人気の理由になっているようだ。大学進学においても、東京大学などの国公立をはじめ、早慶などの最難関大学にも合格者を多数輩出しており、保護者としてもぜひ通わせたい学校だろう。

筑波大学附属駒場の合格者が一番多い塾は?5塾を過去5年のデータで徹底比較!

 塾選びにおいて、「筑波大学附属駒場への合格実績がある」というのは非常に重要なことだ。なぜなら、合格実績があるということは、合格までのノウハウや受験の情報を持っているからである。では、筑波大学附属駒場の合格者が一番多い塾はどこなのか。塾5社を取り上げて比較する。

【2023年入試】筑波大学附属駒場の合格者が最も多いのはSAPIX

 上にあるグラフから分かるように、筑波大学附属駒場の合格者が多いのはSAPIXで81人。SAPIXは、合格実績2位の早稲田アカデミーと比較すると、2019〜2021年は2倍、2022年は3倍と合格者数が多く、2位以下と大きく差をつけている。なお、塾を掛け持ちしている生徒もいるため、ダブルカウントになっていることがある点には注意。

 2位は早稲田アカデミーの42人、3位は四谷大塚の23人で、その後には日能研が14人、栄光ゼミナールが11人で続いている。*栄光ゼミナールの合格者数にはZ会エクタスも含まれる。

 以下が、主要5塾の過去5年分の合格者のデータである。

主要塾の筑波大学附属駒場の合格者推移

筑波大学附属駒場の塾別合格者数の推移・傾向

 2023年の合格実績では、筑波大学附属駒場への合格シェア率の63%*1がSAPIX生と、ダントツの成績を誇っている。ここ5年の合格者数を見ても、定員120名の学校に70名から100名以上が合格しているという圧倒的な合格実績だ。元々SAPIXは難関校を受験する生徒向けの塾であり、やはり難関校に強い塾ということがわかる。

 SAPIX小学部では、「学校別サピックスオープン筑駒」という模試を実施しており、筑波大学附属駒場の試験問題を分析して指導に生かしている。また、志望校別対策講座「SS特訓」という最難関校向け講座を実施しており、「SS特訓」では、男子校の最難関である筑駒と開成の対策ができる。「SS特訓」では、「筑駒・開成」の志望校別講座と単科講座を2講座受講することになり、ハイレベルな授業を受けられるのが魅力だ。

 SAPIXに続いて合格者が多いのは早稲田アカデミーで、2023年の合格シェア率は33%*2になっている。ここ5年のデータでは、40名前後の合格者を出している。元々高校受験で有名な塾だったが、中学受験でもメキメキと成長し、難関校の合格実績も十分にある。

 早稲田アカデミーでは「筑駒中オープン模試」を実施しており、入試問題研究に基づいた授業が受けられることが筑波大学附属駒場の合格者が多い理由だろう。保護者向けにも「筑駒中入試状況・問題分析保護者会」を実施しており、親子で受験に向けた対策を考えることができるのも特徴だ。早稲田アカデミーの志望校別対策講座「NN志望校別コース」に筑波大学附属駒場のコースはないが、御三家や早慶などのクラスがあり、早稲田アカデミーでもハイレベルな授業が受けられる。

 早稲田アカデミーに続いて合格者が多いのが、四谷大塚である。四谷大塚の合格シェア率は18%*3。ここ5年のデータでは、25名前後の合格者を出している。

 四谷大塚では、「筑波大学附属駒場中学校対策講座」を開講しており、過去問演習と解説を通じて合格を目指すことができる。算数は速く解く力、国語は読解力・思考力・表現力を鍛えることができ、他校と比較して試験時間の短い筑波大学附属駒場の対策ができるようになっている。早稲田アカデミーで使用しているテキストは、四谷大塚と同じ『予習シリーズ』であり、このテキストは中学受験のバイブルとなっている。

 ここ5年では、この3社でほとんどの合格シェアを占めており、筑波大学附属駒場を目指す塾としての環境が整っていると言えるだろう。

 その他の塾としては、日能研、栄光ゼミナールが、多い年で10名程度の合格者を出している。一昔前は、中学受験をする家庭にとって日能研に通っていることがステータスという時代もあったが、現在では中堅〜難関を目指す子どものための面倒見のいい塾になっているのが現状だ。

 栄光ゼミナールは、一人ひとりに合った指導を目指す、面倒見のいい塾という評判がある。「最難関選抜ゼミ」というゼミも開講しているが、全体としては中堅から難関校を受験する子ども向けといった雰囲気があり、筑波大学附属駒場についてはグループのZ会エクタスとの棲み分けができているようだ。

 その、Z会エクタスは、ここ5年で合格者数は栄光ゼミナールと合わせても、10名前後で推移しており、合格者数は少なく感じるだろう。確かに、首都圏に6校しかない塾のため人数としては少ないが、2023年の筑波大学附属駒場の合格率は41%(一般合格率は約25%)*4と、塾生の合格率は非常に高い。

 今回は上位5塾のみを紹介したが、ランキング完全版では【全18塾・過去5年分】のデータも掲載している。

 関西発の希学園や個別指導のTOMASは毎年何名の合格者を出しているのか。ぜひランキング完全版をチェックしてみてほしい。

*1 81÷128(SAPIX生合格者数÷筑波大学附属駒場合格者数)で算出
*2 42÷128(早稲田アカデミー生合格者数÷筑波大学附属駒場合格者数)で算出
*3 23÷128(四谷大塚生合格者数÷筑波大学附属駒場合格者数)で算出
*4 Z会エクタス「合格実績