併願校選びが難しい一橋大学・ソーシャルデータサイエンス学部

 文系の1つ目に挙げられたのが、一橋大学・ソーシャルデータサイエンス学部。同学部について、内容自体は「めっちゃいい」と中橋さん、小林さんともに評価します。

 一方で、中橋さんは、ここ一本で熱望しているなら反対しないけれども、「なんとなく」の志望では薦めにくい、と述べます。入試制度の問題として指摘したのは、英語・数学(ⅠA・ⅡBC)・国語・総合問題(統計)という二次試験の科目についてです。

 この二次試験の科目は、文系学部としてはかなり特殊な構成で、同じ二次科目で受験できる大学がほとんどなく、併願校選びの難しさが懸念されます。逆に、理系サイドから比較選択して同学部に至るのは問題ない、という見立ても示されました。

入試問題が特殊なICU(国際基督教大学)

 文系の2つ目には、ICU(国際基督教大学)の名が挙がりました。ICUについては、入試問題があまりにも独特だという、中橋さん。教科ごとではなくリベラルアーツ型の総合問題が中心で、他大学の一般的な入試問題との親和性がかなり低いと指摘します。強く熱望しているか、過去問との相性が明らかにいいという受験生以外には、推奨しにくい、と語ります。

進路の選択肢が多すぎる北海道大学・総合入試理系

北海道大学総合理系
北海道大学・総合理系が危険な理由とは?

 カリキュラム・システムの問題から、理系の1つ目に示されたのは、北海道大学・総合理系。北海道大学の総合理系は進振り(進学振り分け)の幅が非常に広く、「いろんなところに行けすぎる」のが理由だと、中橋さんは述べます。

 他大学では「ある程度出口が狭まっている」のに比較して、北海道大学は「まとめて集める」構造が強く、目的が曖昧なまま入ると入学後に迷走しやすい、と懸念を示します。

3年次編入枠が大きい技術科学大学(豊橋・長岡)

 理系の2つ目には技術科学大学(豊橋・長岡)が提示されました。技術科学大学は「めちゃくちゃいい」と評価しつつ、中橋さんは、3年次編入(高専からの受け入れ)枠が大きいことを懸念点として伝えます。

 3年次編入は1年次入学の4倍以上の募集数があり、学内の雰囲気が3年生以降で一気に変わるイメージが強い、とのこと。また、高専出身の学生は技術力が高く、1年次入学者は2年間でのキャッチアップの負荷が重い可能性がある、と慎重な姿勢を促します。就職実績の良さだけで「なんとなく」選ぶのは薦めない、カリキュラムに納得し自分がやり切れると確認したうえで臨んでほしい、と助言しました。

カリキュラムの特殊性が強い国際医療福祉大学

 医学部でまず挙げられたのは、国際医療福祉大学。中橋さんは、ポジティブな面として、USMLE(米国医師国家試験)取得が可能になったことや、英語を含め勉強の厳しさが以前より緩和傾向にあることなど、内部から聞いた声を紹介します。

 その上で、カリキュラムの特殊性は依然として強く、一時的なモチベーションの上昇だけで選ぶのは危うい、と指摘。費用面や話題性に引かれて決めるのではなく、しっかりと考えた上で選ぶ必要がある、と述べます。

相性の問題が大きい寮制の大学

 医学部では、寮制の大学も注意すべきだと、中橋さんはいいます。「めちゃくちゃ良かった」という卒業生がいる一方で、途中でやめる人もいるなど、合う・合わないの差が大きい点を指摘。スポーツに熱心に取り組んで元々寮生活をしていたり、上下関係が得意だったりする人以外には、薦めにくい、とのことです。

 また、防衛医科大学校は、「ガチガチ」と表現され、一般的な大学・寮とは環境が大きく異なる点に触れられました。中橋さんは、途中で別大学へ入り直した事例を多く見聞きしており、覚悟が固まらないままの進学は後悔につながりやすい、と語ります。

枠は固定ではないという指定校推薦の落とし穴

 最後に、小林さんから入試制度の心配点として言及されたのは、指定校推薦についてです。「なんとなく」先輩が使えたから自分も使えると、思い込むのは危険。年度によって枠が変動したり、同学年に“オール5”の生徒がいたり、特に枠が1~2名の難関大学の指定校推薦は、制度上「そもそも入れない」ケースも起こり得る、と注意を促しました。

まとめ

 今回取り上げられたのは、「内部のカリキュラム・システム」や「入試制度」の問題から、「なんとなく」の志望ではよい結果を生まない危険性がある大学・学部です。人気の大学・学部だから、となんとなく志望するのではなく、「内部のカリキュラム・システム」や「入試制度」の丁寧な確認が、入試の結果や入学後の充実にもつながることが示唆されました。(次ページに解説動画あり)