上位2%の錯覚と現実的な難しさ

東京一工
上位2%の現実的な難易度とは?

 最初に取り上げられたのは、偏差値70のライン・上位2%という、東京一科(東京一工)のレベルです。中橋さんは2%という数字を、ガチャを例に「当たりそう」「ワンチャン行けそう」と、勘違いしがちだといいます。

※ 東京大学、京都大学、一橋大学、東京科学大学(旧東京工業大学)

 ただし、それは何度も引ける前提から生まれるもの、と中橋さんは指摘。上位国公立大学の受験は、基本的に1回勝負で、ガチャのように100回試すことはできない、と現実的な難しさを語ります。

 また、大学受験は、巨大な母集団での競争の中で、クジのように誰かが必ず当たる仕組みではないため、体感としての難度は想像以上に高い、と示されます。さらに、東京大学だけで合格者が2分の1を超える上位校もあるなど、確率は高校によって異なるもの。実際には、まったく確率の違うガチャを引いているような状態だと説明します。

 一方、小林さんが例示したのは年収や職業。年収の上位2%を2000万円と仮定し、年収2000万円を得られる人はYouTuberや人気予備校講師、プロ野球選手など、身近にいると錯覚しがちでも、日常生活では周囲になかなかいない、と難しさを表現します。

コツコツ型が届きやすい地方旧帝大

 次に取り上げられたのは、偏差値65程度・上位2%~7%という、地方旧帝大+αのレベルです。中橋さんは、高校から挽回可能なラインであると示しつつ、それには高校1年生から先取りしての逆転を意識するのが非常に重要だといいます。

※ 北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学 + 神戸大学、筑波大学、東京外国語大学上位・国際教養大学など

 小林さんも、国公立大学の科目数の多さを指摘。早慶のように得意科目だけで逆転を起こしにくい反面、コツコツ型が勝ちやすい大学群であり、早めの勉強スタートが大事だと示唆されました。

地方国公立大学の層をどう見るか

 話題はそれ以外の国公立大学に移り、上位から、金岡千広やTOCKYの一部※1(偏差値60~65・上位7~16%)、続いて5S※2(偏差値55~60・上位16~30%)、さらにSTARS※3(偏差値50~55・上位30~50%)と整理。

※1 金沢大学、岡山大学、千葉大学、広島大学 + 筑波大学、横浜国立大学、千葉大学など
※2 埼玉大学、信州大学、静岡大学、滋賀大学、新潟大学
※3 佐賀大学、鳥取大学、秋田大学、琉球大学、島根大学

 中橋さんは、このレベルは高校2年生・3年生からでも、自分の現状と大学の入試科目・配点の相性から目指す大学を見つけやすいとし、だからこそ受験戦略や志望校選定が重要だと説きます。

 小林さんが重要だと挙げたポイントは2つです。1つ目は、科目数の差が大きいため、出願戦略にはこの視点が欠かせないということ。そして、2つ目には、就職まで見据えた志望校選びをするなら、5Sが分かれ目になる、という見解を示します。地元で学び地元で就職するならSTARSもよい選択肢になる一方、将来首都圏や大都市で働きたい場合は難しいことも多い、と指摘。世間体や校内評価だけでなく、立地の利便性や就職実績まで含めて選ぶ視野が求められる、と述べます。

まとめ

 国公立大学の上位「2%」は、一発勝負だからこそ、想像以上に険しい現実があります。一方で、大学群によっては、早期からの努力や出願戦略で結果が変わる可能性も。偏差値や確率の錯覚に惑わされず、自分に合う勝ち筋を計画していくことが大切だと示されました。(次ページに解説動画あり)