子どもの精神年齢が幼い場合
最初の特徴として、天童さんは「子どもの精神年齢が幼い場合」を挙げます。精神年齢が幼いとは、大学受験や将来が「自分ごと」になっていない状態だと説明。自分の将来を直視できず、他人ごとのまま受験期を迎えると、確実に苦労する可能性が高いと指摘します。
高校3年生の4月時点で、まだ大学受験が自分ごとになっていないなら「かなり危険なサイン」。一方で、高校1・2年生の段階から自分で大学や受験方式を調べている子は、それだけで有利な条件を持っていると評価します。
オープンキャンパスに行く、あるいは保護者が大学や進路の情報を伝えるなどして、「早いうちから大学進学を自分ごとにする」「子どもの幼さを解消する」ことが、受験において最も大切だと語ります。
親の焦りや認識不足が生む空気
次に挙げる特徴は、「親だけが異常に焦っている」という家庭です。子どもの精神年齢が幼いケースともつながりますが、本人はのんびりしているのに親だけが受験に過度に焦っている状況は、家庭の雰囲気として最悪のパターンだと天童さんはいいます。
親子が同じ方向を向いて焦るならまだしも、親だけがヒステリックに「勉強しなさい」「受験はどうなっているの」と詰め寄ると、子どもは精神的に大人になりにくく、家の空気が一層重くなると指摘。天童さんは、地獄の雰囲気は、実は子どもではなく親が作っているのではないかと述べ、穏やかな雰囲気づくりの重要性を強調します。
また、3つ目には、受験期までに「子どもの学力を親が把握していない」ことも特徴として挙げます。模試の結果を聞かれても、子どもは親を心配させたくないがために「大丈夫」と答えたり、時には判定を偽って伝えたりすることがある、という天童さん。その言葉を鵜呑みにして、実力以上の大学ばかりを受験すると、合格を信じていた大学に次々と落ち、「地獄到来」というケースになりやすい、と警鐘を鳴らします。
子どもの本当の学力を知るためには、もし塾に通っている場合は、塾の先生に直接聞いたり、11〜12月ごろに三者面談をしたりなどして、現実的なラインを共有しておくことが大切だと示します。
さらに、4つ目に挙げたのが「地獄を見る心づもりをせずに受験期に突入する」こと。保護者の世代と比べて、今の受験は、家庭を巻き込み、精神的に疲弊させるものになっています。これを自覚しているだけでも違う、と天童さんはいいます。
こだわりが大学・学部選びの視野を狭くする
5つ目の特徴は、親も子も大学や学部へのこだわりが強すぎる場合です。天童さんは、こだわり自体が悪いわけではないと前置きしつつ、特定の大学や学部、立地条件に捉われすぎると、自分に合いそうな大学や入りやすい選択肢を見逃してしまう、と指摘します。
上位の大学群に入っていなくても良い大学は存在し、学部・学科名も少し検索の仕方を変えるだけで興味深い分野が見つかる可能性がある、と天童さん。場所についても、少し範囲を広げれば、現実的に「受かりやすい大学」が見つかるかもしれないとし、「狭い視野は単純に合格の可能性を下げてしまう」と注意を促します。
子どもの内面が実力と大学レベルにズレを生む
6つ目と7つ目の特徴は、子どもの内面に関するもの。1つは「努力していないのにプライドが高いタイプ」です。難関大学に合格する生徒は、中学生や高校1年生の頃から地道な努力を積み重ねています。しかし、このタイプは、積み重ねの重要性を実感していないために、自分の努力量と目標のレベルが釣り合っていないのです。天童さんは、あまり勉強していないのに「早稲田や東大に行きたい」というのなら、要注意だと指摘します。
もう1つは「大学受験そのものを甘く見ている場合」です。天童さんは、滑り止めを受けなかったり、滑り止めにレベルの高すぎる大学を設定したりするケースを紹介。自分の実力と大学のレベル感がずれていると、結果として“地獄”に近づきやすいと示唆します。
親子の思い込みが地獄のリスクを高める
8つ目の特徴として、天童さんは「親も子も逆転合格を信じている」場合を挙げます。偏差値50の生徒が難関私大に合格するといった逆転合格のエピソードは世の中にあふれているものの、可能性はゼロではないというだけで実際にはほとんど起こらない、と説明。「うちの子もなんとか…」と逆転合格に期待を膨らませすぎると、叶わなかったときの落差が大きく、家庭の雰囲気をさらに悪くしてしまう、と語ります。
もっとも、偏差値よりかなり上の大学を受けてはいけないという意味ではなく、受験するのは自由、ただ「過剰な夢を抱き過ぎないように」と注意を促します。
9つ目の特徴は、「塾の先生の言う通りに受験しない場合」です。天童さんによれば、最終的に子どもの学力を最も的確に把握しているのは、日常的に指導している塾の先生。多くの先生は、非常に現実的な受験プランを提案するといいます。それでも親子が「先生の勧める大学には行きたくない」と、実力相応校や滑り止め校を外してしまい、上位校ばかりを受けた結果、全滅してしまう大地獄の例を多く見てきた、と述べます。
天童さんや所属する塾の方針としては、「上の大学はどこを受けても構わないが、実力相応校と滑り止めは強く勧める」というスタンス。何より避けたいのは全滅であり、そのために先生は受験校を提案している、と説明します。塾の先生の提案をすべて鵜呑みにする必要はないものの、「必ず参考にした方がよい」と結びます。
まとめ
天童さんの今回の動画では、「大学受験で地獄を見る親子の特徴」を9つ紹介。大学受験そのものが、親子にとって想像以上に精神的な負荷をもたらす時期であることを前提にしつつ、受験による「地獄」を避けるために、踏まえておくべき考え方や向き合い方を伝えています。(次ページに解説動画あり)
