滑り止め大学を受けるメリット
まず天童さんは、滑り止め大学を受けるメリットを4つ挙げていきます。
精神安定剤になる(ただし逆もある)
1つ目のメリットは、合格が「精神安定剤になる」ことです。大学受験の日程は、偏差値が低めの大学ほど早く、高めの大学ほど後になるのが一般的。そのため、滑り止めの合格が先に出ると、安心した状態で第一志望に臨みやすい、というのが理由です。
一方で逆もあるとし、滑り止めで不合格になると大きく動揺し、その動揺が本命での失敗につながる可能性を示します。だからこそ大切なのは、滑り止めでしっかり「滑り止まる」こととし、大学の選び方・受け方が重要だとしています。
第一志望を受ける前の練習になる
2つ目のメリットは、本命前の練習になることです。緊張しがちな大学入試で、初めての受験が第一志望だと緊張もより大きくなりやすい、と天童さんは述べます。したがって、第一志望の前に複数校を受験し、試験の空気や手順に慣れてから本命を迎えるのが理想。滑り止め受験は、受験慣れの場として機能するという説明です。
浪人前に学力を正確に把握できる
3つ目のメリットは、浪人する場合に自分の実力の把握に役立つことです。本命しか受けずに落ちて浪人へ進むと、本命に届かなかったことは分かっても、どのレベルなら合格できたのかが把握しづらい、と天童さんは解説します。レベルが不明なまま浪人すると、予備校のクラス選択などでも実力と噛み合わず、学習効率が落ちる可能性があると指摘。現役時の学力を測れるような受験をしておくのが重要だと述べます。
浪人回避のセーフティネットになる
4つ目は、浪人したくないという気持ちに変わった時のセーフティネットになることです。受験生の心は揺れ動き、結果が思うように出ないと受験そのものがトラウマになることも…。当初は浪人するつもりでも「もう1年勉強したくない」と思い始めることがある、と天童さんはいいます。その場合、滑り止め合格があると「お守り」のように進学の選択肢が残り、3月頃の自分が救われる可能性がある、と説明。あらためて滑り止め受験の価値を伝えています。
滑り止め大学の選び方・受け方6選
続いて天童さんは、滑り止めでしっかり「滑り止まる」ための大学の選び方・受け方を6つ挙げます。
模試の結果より10以上低い偏差値の大学
まず1つ目は、志望校基準ではなく、模擬試験の偏差値基準で選ぶことです。よくいわれる「志望校より二段下」ではなく、自分が受けた模擬試験の結果から「偏差値が10以上低い大学」を目安にするべきだと天童さんは述べます。志望校の難易度と自分の学力は必ずしも一致しません。それよりは自分の学力を模試などの結果で測る必要があるという考え方です。
2校(回)以上の受験をする
2つ目は、滑り止めだからこそ2校以上受けることです。滑り止めは「滑り止まらないと意味がない」ため、1校だけでは不測の事態に備えられない、と天童さんは指摘します。例えば、当日に体調を崩して受験できない可能性もあるため、最低でも2校程度の保険をかけるべきだという主張です。
もっとも受かりやすい受験方式で受験する
3つ目は、もっとも受かりやすい受験方式で受けることです。滑り止め大学では、受験の負担を減らすために、共通テスト利用や全学部日程などの定員が少ない方式を選びがち。しかし、滑り止めは確実性が最優先であり、軽視しない、甘く見ないことが大切だという天童さん。その大学のメインの入試方式、定員が多い方式で受けるのが適切だと説きます。
第一志望の大学と同じ科目で受験できる大学
4つ目は、志望校と同じ入試科目で受けられる大学を選ぶことです。第一志望と異なる科目で滑り止めを受けようとすると、あまり勉強していない科目で落ちる可能性が高まり、さらに余計な学習負担も増えるのがデメリット。少なくとも、普段勉強している科目の組み合わせで受験できる大学を選ぶべきだと天童さんは述べます。
偏差値だけでなく自分のやりたいことを重視
5つ目に挙げるのは、偏差値だけでなく、やりたいことを重視した選択です。偏差値のみで選ぶと、もし滑り止め大学へ進学することになった時に自己肯定感を持ちづらく、退学や仮面浪人につながるケースがある、と天童さんは語ります。だからこそ、滑り止めでも学べる内容をしっかりと確認し、納得できる大学を選ぶべきだという助言です。
子どもが受けたくない大学は受けさせない
6つ目は、保護者を対象に、子どもが「行きたくない大学」は受けさせないことを挙げています。
最近の子どもは行きたくない大学は受けたがらない傾向があります。ですから、本人が「行ってもいいから受けよう」となるように提案する必要がある、と天童さんは述べます。
例として、ある塾の先生のやり方を紹介。子どものプライドも踏まえ「ここなら良い」と思える大学を見つけ、良さを「プレゼン」するのだそう。保護者の言葉が届きにくい場合は、塾の先生など第三者の言葉を借りるのも一案だとアドバイスしています。
まとめ
天童さんは、出願校を検討している受験生・家族に、滑り止め大学を受けるメリットを4つ挙げ、「絶対に受けるべき」と強調します。また、滑り止めだからこそ、確実に「滑り止まる」大学の選び方・受け方が大切だと主張。保護者にも子どもにも共有して、出願をもう一度考えてほしいと呼びかけています。(次ページに解説動画あり)
