早稲田高等学院中学部について
大隈重信により設立された歴史を持ち、早稲田大学唯一の附属中学として人気です。早稲田大学へ進学することを前提にした「早稲田の一貫教育」を通じて、健やかな心身、高い知性、豊かな感性を育み、社会に有益な人材を育成することを目指しています。早稲田大学には、政治経済学部110名、法学部66名、基幹理工学部56名など、全員が主要学部を中心に進学しています(2024年実績)。
学校生活では、宿泊研修や学習発表会、校外学習の機会を通じ、その成果をプレゼン形式で発表することで知的探求力を培っています。中学部は1クラス30人の少人数クラスで、ネイティブによる語学の授業などではクラスを2つに分けて15名ずつで受講するほか、スピーチコンテストで実践的な英語習得に取り組んでいます。同時に、第二外国語の必修により、英語圏以外のグローバルな視点を養うのも同校の特色です。
また、各生徒たちが関心のあるテーマを研究するための助成支援制度を整え、伸び伸びとした環境の中で多彩な学術研究・探求活動を奨励しています。(松井誠:TOMAS教務企画局 教務本部)
区分 | 私立 |
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男女校種別 | 男子校 |
入試日 | 2/1 |
住所 |
〒177-0044 東京都練馬区上石神井3-31-1 |
アクセス |
〈電車〉
〈バス〉 ■JR中央線 |
公式HP | 早稲田高等学院中学部のHP |
※参照: 早稲田高等学院中学部のHP
早稲田高等学院中学部の入試分析
国語の入試分析
傾向:大人びたテーマの文章が多い
例年、説明的文章1題、文学的文章1題の構成となっている。哲学や科学など抽象的なテーマの論説文や、テキストなどでよく見かけるやや古めの物語文が多い。選択肢問題、記述問題だけでなく、語句問題や空欄補充、抜き出し、脱文補充など様々な形式の設問が出題されている。記述問題のレベルはかなり高い。
出題:気持ちの細かい読み取りが必要
説明文は市橋伯一「増えるものたちの進化生物学」。人間以外の動物の命についての考察。本文の語句の意味を様々な形式で問う問題が多い印象。選択問題も難しめ。小説はヘルマン=ヘッセ「中断された授業時間」。少年の内面の葛藤を描いたもので、人物の気持ちの細かい読み取りで差がつく問題だった。
対策:ちょっと背伸びをした読書をしよう
哲学や科学、文化など抽象的な論説文に読み慣れておくと、難解そうな言葉が出てきても臆せず類推して内容をつかむことができる。読解の勉強では、段落ごとに要点を押さえるだけでなく、「同じことを言い換えている箇所」に注意し、印をつける習慣をつけておくこと。部分的な理解だけでなく、文章全体のテーマや論の組み立てを意識して読む練習をしよう。また、漢字や語句の出題も多めなので、しっかりと対策しておきたい。
読解問題 頻出テーマ ベスト3:
1位 文化と学問
2位 自然と人間
3位 父母
算数の入試分析
傾向:複雑で長い条件を効率よく処理する
大問数は4題で分野は多岐にわたる。文章題だけでなく、図形にも長い条件が付いていて、整理に時間がかかるものが多いのが本校の特徴である。例年、答えだけでなく式や考え方を書かせる問題が2問ほど出される。解法の傾向として比を使うものが多く、速さや図形の比による解法は高難度になる場合もある。
出題:空間的感覚を働かせよう
全体的な難易度は例年通り。大問1の小問集合は迅速に処理すべき。大問2の分数列は、グループ分けが示されており比較的わかりやすかった。大問3の点の移動は、3点の移動で(2)は時間がかかったかもしれない。大問4の立体図形は、正四角すいの位置関係が複雑で移動させるので、空間的感覚が問われる難問だった。
対策:持っている知識をどう活かすか
後半の大問は長い条件がつくことが多い。長い条件や思いがけない条件がつくと未知の問題に出会ったような気になるかもしれないが、慌てないでしっかり条件を整理していくこと。自分の持っている知識で何とかなるはずである。そのためには日頃の勉強で、長い条件がついた問題や初見の問題で訓練することによって、条件の整理の仕方や自分の知識の活かし方を養っていくことが大切だ。様々なパターンを経験し、対応力をつけよう。
算数 頻出テーマ ベスト3:
1位 立体図形
2位 場合の数・条件整理
3位 数の性質・規則性
社会の入試分析
傾向:質・量ともにハードな問題
例年大問5題ないし6題の構成で、地理・歴史・公民・現代社会など幅広い分野にわたって出題される。知識問題が多く、問われている内容はテキストなどにあまり扱われていない事項も含まれ、注意が必要である。普段考えもしないような問題が出題されることもあり、現場思考力を鍛えておく必要がある。
出題:例年通りのハイレベルな出題
大問6問構成で、問題の難易度は昨年と変わらず難しい。また、全体量も多い。閉鎖性海域に関する大問2と児童手当に関する大問6とが特にやっかいな問題だが、歴史分野の出題である大問3と4はそれほど難しくなく、ここで確実に得点したかった。3問出題の記述問題は、2問が現場思考の非典型問題で難しかった。
対策:知識問題に十分な対策を
例年ハードな問題が出題される本校だが、メインは知識問題なので、その対策にまず注力したい。テキストには十分触れられていないやや細かな知識事項も出題されるので、難度が高めの問題演習などで知識事項を補っておく必要がある。未知の思考・記述問題については、過去問や模試、同様の出題傾向の学校の問題などで慣れておくとよい。本年出題されたジェンダー差別など、実社会で問題になっている事項についての理解も深めておきたい。
社会 頻出テーマ ベスト3:
1位 近代・現代(明治~令和)
2位 中世・近世(鎌倉~江戸)
3位 原始・古代(旧石器~平安)
理科の入試分析
傾向:正確な知識と思考力・計算力が必要
例年、生物・地学・物理・化学の4分野からバランスよく出題される。生物・地学分野では正確な知識を問う出題が中心である。物理・化学分野は思考力・計算力を必要とする問題が中心であるが、基本的な解法が理解できていれば十分に対応可能な、オーソドックスな出題が中心である。難問奇問はほぼ見られない。
出題:学習の成果が発揮しやすい出題
大問1:湿度と雨雪判別図および川の流れの働き。大問2:振り子の運動についての計算。大問3:金属の燃焼について、計算中心。大問4:昆虫とプランクトンについての知識。大問1「雨雪判別図」以外はオーソドックスであり、日頃の学習の成果を発揮しやすい出題であった。計算力と知識量で明暗が分かれたであろう。
対策:正確な知識と実戦演習の積み重ね
4分野すべてにおいて正確な知識を身につけることが本校攻略のための第一歩となる。特に生物・地学分野においては、時事的な内容を含めた知識の吸収を貪欲に行っていただきたい。天体や気象の知識については、「理屈」の論理的な理解をしっかり行うことが重要となる。化学・物理分野では計算問題や実験や観察の結果について考察するタイプの問題の演習に時間をかけて欲しい。多少難しい問題の演習にもチャレンジすること。
理科 頻出テーマ ベスト3:
1位 物の燃え方
2位 昆虫
3位 気体の発生と性質
早稲田高等学院中学部の進路・入試情報
早稲田高等学院中学部の進路情報
早稲田高等学院中学部は、中高一貫の早稲田大学附属校であるため、ここでは2024年度の早稲田大学への学部学科別進学者数を掲載しています。
学部・学科・専攻専修名 | 進学者数 | |
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政治経済学部 | 政治学科 | 38 |
経済学科 | 50 | |
国際政治経済学科 | 22 | |
法学部 | 66 | |
文化構想学部 | 27 | |
文学部 | 21 | |
教育学部 | 教育学科教育学専修 | 6 |
教育学科生涯教育学専修 | 1 | |
教育学科教育心理学専修 | 2 | |
教育学科初等教育学専攻 | 1 | |
国語国文学科 | 3 | |
英語英文学科 | 1 | |
社会科地理歴史専修 | 2 | |
社会科公共市民学専修 | 5 | |
理学科生物学専修 | 2 | |
数学科 | 4 | |
複合文化学科 | 2 | |
商学部 | 50 | |
基幹理工学部 | 学系Ⅰ(数学科、応用数理学科) | 3 |
学系Ⅱ (応用数理学科、機械科学・航空学科、 電子物理システム学科、情報理工学科、情報通信学科) |
43 | |
学系Ⅲ (情報理工学科、情報通信学科、表現工学科) |
10 | |
創造理工学部 | 建築学科 | 10 |
総合機械工学科 | 2 | |
経営システム工学科 | 16 | |
社会環境工学科 | 8 | |
環境資源工学科 | 2 | |
先進理工学部 | 物理学科 | 3 |
応用物理学科 | 3 | |
応用化学科 | 1 | |
生命医科学科 | 6 | |
電気・情報生命工学科 | 11 | |
社会科学部 | 30 | |
国際教養学部 | 3 |
※参照: 早稲田高等学院のHP
早稲田高等学院中学部の入試情報
早稲田高等学院中学部の入試日程・科目
偏差値 |
65 ※参照: 四谷大塚 |
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入試日程 (2025年度) |
<募集人数>
<受験票・宛名票の印刷開始> 2025年1月10日(金)以降
<郵送出願期間> 2025年1月17日(金)~2025年1月19日(日)
<入試日程> 2025年2月1日(土)
|
入試科目 (2025年度) |
4教科(合計360点) 国語(50分/100点) 算数(50分/100点) 理科(40分/80点) 社会(40分/80点) |
※参照: 早稲田高等学院中学部のHP
早稲田高等学院中学部の受験者数・合格者数
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
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募集人員(人) | 120 | 120 | 120 | 120 |
出願者(人) | 448 | 470 | 465 | 416 |
受験者(人) | 407 | 438 | 433 | 380 |
合格者(人) | 134 | 133 | 131 | 115 |
実質倍率(倍) | 3.0 | 3.3 | 3.3 | 3.3 |
※森上教育研究所作成資料より
編集協力=福崎剛・フリーライター