他大学でも追従の動き、年内の受験生争奪戦が激化
「基礎学力テスト型」実施の発表を受けて、真っ先に衝撃を受けたのは当然、他大学の入試担当者だった。都内のある私立大学の職員はこう語る。
「東洋大学の合格通知をもらってしまえば、本学のような東洋大学より入試難度の低い大学を受験する必要はなくなる。募集定員に対してどのぐらいの人数を合格させる計画なのか分からないが、これまで本学を志願していた中間学力層の受験生は、年明けには一人も残っていないのではないか」
すでに追随する動きを見せた大学もある。例えば、大東文化大学が基礎学力テスト型の学校推薦型選抜を、清泉女子大学が基礎学力1教科と口頭試問による総合型選抜(いずれも併願可)を年内入試として実施する旨を公表した。中間学力層が受験する中小規模大学にとって、東洋大学のような志願者数10万人超のマンモス大学の一挙手一投足は、まさに死活問題といえるだろう。
東洋大学では、25年度入試の募集定員総計7375人のうち、基礎学力テスト型の募集定員を578人としているが、進学予備校の入試情報担当者は、「数万人」の志願者を集め、「数千人」の合格者を出すと見ている。前述のように、年内入試の受験生の割合が増加している状況下で大学入試カレンダーは前倒しになりつつあるが、これがさらに加速し、年内の受験生争奪戦が激化するのは必至と言えるだろう。