「基礎学力テスト型」がドミノ倒し的に広がる!?
東洋大学では、今回の施策の趣旨を「より多様な学生を獲得するため」と説明しているが、本格的な18歳人口減少期を迎えた今、「(東洋大学と同レベルとされる)『日駒専』以下の大学には受験生を一人も渡したくない」というのが本音ではないだろうか。
首都圏のとある「地域二番手の進学校」の公立高校の教員は、「基礎学力テスト型の年内入試を導入する大学が一気に拡大し受験生が殺到する、そんなドミノ倒しが起きそうな危機感がある」と語る。
「滑り止めとして受けたがる生徒や保護者が増えるのは間違いない。そして、『年内に東洋大学合格を確保して、年明けに余裕をもってMARCHを受験』などと言いつつ、結局、東洋大学に落ち着くというケースが続出するのは目に見えている。大学側の『狙い』もそこにあるのではないか。今は、より入試難度の高い大学に挑戦させたいという保護者は少数派で、大学受験でわが子に苦労させたくないという声をよく聞くようになった。26年度以降は、学力試験のみの年内入試を導入する大学が増えるのは確実で、むしろそれが、今後は大学入試のスタンダードになっていくかもしれない」
人気上昇中の東洋大学であっても、少子化が進むにつれて3月入試で志願者を集めることは次第に難しくなる。他大学に先駆けて「受けやすい年内入試」で志願者を確保する方針にかじを切ったと見るべきだろう。
実は、学力試験のみを行う年内入試は、西日本、特に近畿圏ではすでに「常識」となっている。年内に本命より難度の低い大学を学力試験で受験し、合格を確保して年明けに近畿圏のトップ私立大学である関関同立(関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学)に挑戦するというスタイルが、受験生の間で定着している。
25年度入試は新しい学習指導要領による初めての大学入試で、どんな受験地図が描かれるのか見えない部分も多い。これに東洋大学の新しい入試も加わって、受験地図はより斬新に塗り替えられていくだろう。