高校教員の2026年度入試動向予測を「短観」に集約
現在、2026年度入学者の総合型選抜と学校推薦型選抜、いわゆる「年内入試」が、全国の大学で実施されている。年明けからは共通テストや一般選抜も始まり、いよいよ大学入試も佳境に……という時期だが、今どきの大学受験は、現受験生の保護者の時代と比べてどうだろうか。
2~3月の天王山を目指して“一流大学”合格に心血を注ぐ仁義なき受験戦争のイメージは、もはや過去の話。少子化の影響で受験生の母数が減っているにせよ、昨今は、私立大学生の6割が年内入試で大学に入る(※1)時代だから、昔と比べて年明け入試(一般選抜)が“静かに”行われている気がするのは、筆者だけではないと思う。
だが、一口に「年内入試で6割」と言っても、その影響はどこまで及んでいるのだろう。大学によって、年内入試と年明け入試の受験者数や合格者数にどれほどの差が生じるのか。入試が多様化する中で、高校の教育現場からは「年内入試は難易度を測る指標がないため、受験計画が立てにくい」という声も聞かれる。確かに、年内入試は模擬テストの合格判定とは無縁であり、事前に傾向を予測するための材料は極めて少ない。
であれば、「高校の先生に、主要な私立大学の年内入試と年明け入試について、志願する生徒が増えると思うか減ると思うかを直接聞いてみよう!」と考えたアロー教育総合研究所は25年8~9月、全国の高校で主に進路指導を担当する教員を対象にアンケートを実施。その結果を「アロー短観」(※2)として公表した。
文字通り、日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の「業況判断D.I.」から知恵を拝借した、教育現場からの情報に基づく受験動向予測である。生徒への進路希望調査や進路面談での反応などから、教員の皆さんにそれぞれの実感で「年内入試志願者数の増える・減る大学」「年明け入試(一般選抜)志願者数の増える・減る大学」を答えてもらった(3ページと5ページにグラフ掲載)。
今回が初の調査であり、認知度不足で回答者母数が少ないためどこまで正確な動向を反映できるかは課題だが、調査や集計の方法に改善を加えながら、今後も継続的に実施していきたいと思う。
※1「令和6年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」(文部科学省)
※2 ◆調査期間/2025年8月20~9月20日 ◆調査方法/Googleフォームによるアンケート ◆調査対象/全国の国公私立の高等学校教員2197人。有効回答者数100人(国公立高校42人、私立58人)◆回答方法/年内入試と年明け入試について「増えそう」「減りそう」「変わらない、わからない」から1つ選択。「増えそう」の回答者数割合から「減りそう」の回答者数割合を減じて算出。「変わらない、わからない」は回答に含まない。
