「探究」で問われるもの
同じ理科でも、医進・サイエンスコースの導入以来、理系志望の女子生徒の人気が高まっている広尾学園(東京・港区)では、生物を学んできた木村健太先生が、生徒が主体的になって行う「研究」の手助けをしている。例えば再生能力に優れたプラナリアという生物を医療に応用できないか、といった世界の誰も答えを知らない問題にアプローチさせていく。「理数探究」の究極の姿を先取りしているかもしれない。
数学の探究では、「数学は思考トレーニング」という聖学院(東京・北区)の児浦良裕先生が、ロジックゲームを多用した教育実践を語った。学校の数学を社会での実践につなぐために、例えば「カンボジアでビジネスを立ち上げるにはどうしたらいいのか」と問いかける。
神奈川を代表する男子中高一貫校の聖光学院からは、「探究では質問力を重視する」という名塩隆史先生が、数学の公式や数式をレゴにより表現する華麗な技も披露した。手を使って問題を可視化することで、立体的に把握することができる。
探究オリンピックの指導・監修も行っている2人が、一連のショートレクチャーを見た後に総括的な講評を行った。
明生小の細水保宏校長は、「やる前はワクワク感があり、見通しを立てて取り組んだ後には楽しいのが探究」とした後で、やってみたくなるような実例として、折り紙では長方形でも鶴が折れること、その形状はさまざまになることを示した。
最後に東京学芸大の西村圭一教授は、3人の娘をもつ保護者の立場から、問題を見出す力について語った。プラナリアの研究を例に、新しい学問の体系という思考の枠組みを提示、持続可能性、長期的な評価、多様な教科の横断により、発展的な学びができるとした。