コロナ禍で緩和傾向にある学校

 最後に、コロナ禍の2年間で受験者数が概ね緩和傾向にある学校を見ていこう。20年前後にピークを迎えて21~22年は低下気味で逆Vの字を描く「山の字型」には、「隔年型」に次いで多くの学校が該当している。

 20年の受験者数がピークとなる男子校の典型は世田谷学園(1次)だろう。191 人(2.17倍)、223人(2.72倍)、316人(3.95倍)、196人(2.39倍)、199人(2.46倍)ときれいに山の形を描いており、受験者数は5年前に戻っている。城北(第1回),巣鴨(I期)、成城(第1回)も同様の傾向で、いずれも併願先として人気の学校である。

 共学校では、開智日本橋学園(第1回)が20年ピーク型で、133人(2.83倍)、173人(4.02倍)、275人(3.02倍)、139人(3.48倍)、142人(3.55倍)となっているが、合格者数を絞る傾向にあるのか、実倍率は緩和していない点に注意が必要となる。

 校内では男女別学を取り、総合選抜ではなく男女別選抜である国学院大学久我山(第1回)も同様の傾向にある。185人(3.14倍)、164人(3.22倍)、201人(3.79倍)、193人(3.78倍)、183人(3.66倍)とこちらも受験者数は5年前に戻っているが、実倍率は高止まりしており、大変厳しい入試が継続している。

 明治大学付属中野(第1回)は、778人(2.89倍)、995人(3.75倍)、868人(3.38倍)、881人(3.38倍)、890人(3.30倍)となっている。受験者数は19年がピークで、その後停滞気味とはいえ、実倍率が3.3倍程度を維持していることもあり、競争は厳しい。23年から、2回とも入試を受ける熱意ある受験生への優遇措置を講じることになった。

 3日の栄光学園も19年をピークに受験者数は逓減状態にある。711人(2.49倍)、845人(3.21倍)、780人(2.97倍)、776 人(3.06倍)、685人(2.69倍)から分かることは、実倍率が3倍を超えると翌年は2倍台に戻る隔年減少があることだ。この流れからすると、23年は受験者数が増加して、実倍率も3倍超えとなるのだが、いかがだろう。

 19年がピークだった男子校としてもう1校、3日の筑波大学附属駒場(第2次)を挙げておきたい。554人(4.33倍)、624人(4.84倍)、563人(4.33倍)、561人(4.28倍)、479人(3.71倍)と、20年から逓減傾向が続いている。

 次に取り上げる「低減型」では開成が典型だが、コロナ禍で学力が十分に付かず、難関校を諦める傾向も見られており、それがこうした受験者減を招いているようだ。