実倍率が上向きの共学校と「逓増型」
2020、21年と緩和したが、22年に盛り返した例として、1日午後の東京都市大学付属(第1回II類)が挙げられる。18年から順に受験者数(実倍率)を見ると、476人(1.22倍)、602人(1.45倍)、559人(1.46倍)、477人(1.36倍)、634人(1.51倍)と隔年現象が見られる。この並びでいくと、23年は減少することになる。1日午前入試への初参入もあるが、こちらは第一志望の受験生を集めるためI類の定員を厚くしているので、1日午後入試への影響は限定的となるかもしれない。
このII類は難関国公立大コースであり、1日午前の難関校の併願先としての需要が強い。なお、実倍率の方は受験者数の増減と少しズレが見られる。各校とも、実際に入学する経験値を加味して合格者を出しているからだ。いずれにせよ、3人に2人は合格を得られるという意味で、受験者にとっては貴重な1日午後入試であることに変わりはないだろう。
変わったところでは、受験者数は「安定型」に近いものの、実倍率の振れ幅が大きい1日午前の桐朋(第1回)のような例もある。366人(2.39倍)、354人(2.21倍)、366人(2.30倍)、369人(2.49倍)、299人(1.99倍)と、22年の落ち込み方が激しい。23年は人気化するはずなのだが。
「隔年型」の共学校は、1日午前の法政大学(第1回)など、いずれも大学の付属校が該当している。21年から女子受験生も加わった1日午前の芝浦工業大学附属(第1回)は、369人(3.80倍)、331人(3.38倍)、428人(4.28倍)、422人(6.03倍)、347(5.18倍)といった具合で、受験者数が減っても実倍率は上昇気味である。東京電機大学(第1回)も似たような傾向で、82人(1.46倍)、151人(2.56倍)、140人(2.41倍)、136人(2.47倍)、159人(2.94倍)で、実倍率がほぼ3倍という厳しい入試になっている。中央大学附属横浜(第1回)も、受験者数の増減と実倍率の動きにズレが見られる。
この5年間、概ね増加傾向が続いている「逓増型」を次に見てみよう。
男子校では、海城(一般〈1〉)が典型例で、428人(2.52倍)、457人(2.82倍)、472人(2.83倍)、481人(2.92倍)、489(3.00倍)と、毎年着実に増やしていき、実倍率も3倍に到達している。聖学院(第1回一般)も、18年の107人(1.70倍)から22年140人(1.87倍)へと地道に伸ばしてきた。23年も引き続き増加するのだろうか。
共学校の「逓増型」では、成蹊(一般第1回)が、144人(2.06倍)、171人(2.67倍)、172人(2.53倍)、191人(2.69倍)、201人(2.79倍)ときれいに伸ばしている。母数は小さいものの、日本工業大学駒場(第1回)は76人(1.23倍)から164人(1.44倍)と、この5年間で受験者数を倍増させている。立正大学付属立正(第1回午前)と淑徳巣鴨(第1回一般)も同様である。