「低減型」二つの傾向

 共学校で2019年がピークだった「山の字型」には、2日の青山学院が該当する。361人(3.11倍)、423人(3.30倍)、396人(3.33倍)、353人(2.99倍)、360人(3.21倍)という状況で、22年は下げ止まり、「隔年型」に移行する雰囲気も見られる。ただ、19年の頂が高く、実倍率も高めということもあって、23年の動向はまだ読めない。

 21年がピークで22年に急落した学校についても触れておこう。男子校では、駒場東邦が目立つ。500人(1.76倍)、527人(1.79倍)、576人(1.99倍)、623人(2.19倍)、555人(1.90倍)という具合だ。受験者数もさることながら、実倍率2倍超えで受験生がさっと引く様子がうかがえて興味深い。

 同じような流れで来たのが日本大学豊山(第1回)である。299人(2.20倍)、286 人(2.17倍)、366人(3.00倍)、482 人(4.23倍)、446人(3.78倍)となっており、こちらは実倍率4倍超で受験生が1割ほど減ることになった。とはいえ、すべての入試回で年々受験者数を積み増してきた人気校だけに、23年も緩和するかは保証の限りではない。

 共学校では、振り幅は大きくない明治学院(第1回)が当てはまりそうだ。163 人(1.70倍)、189人(2.12倍)、221人(2.91倍)、234人(2.82倍)、226人(2.72倍)と、毎年こつこつと受験生を増やしてきたが、実倍率が3倍に近づいたところで調整が入った様子がうかがえる。このまま受験者数も低減していくか、23年の注目点だろう。

 最後に、概ね緩和傾向が続く「低減型」を見ておきたい。

 その半分は3日の公立中高一貫校で、東京都立の小石川や白鷗、南多摩は実倍率が、人気付属校並みの4倍になるまで緩和してきた。もう1校、川崎市立川崎も同様の動きをしている。

 私立校では、難関校が目に付く。先述したように、開成の受験者数は1171人、1159人、1188人、1051人、1050人と、隔年型の要素も見られるが、概ね受験者数を減らしている。実倍率の方も、3.02倍、2.93倍、2.99倍、2.64倍、2.52倍と、コロナ禍以前の3倍弱からコロナ禍の21年と22年は大きく緩和している。現況でどこまで受験生に実力が付いているかに左右されそうなこともあって、23年入試がコロナ禍の影響なく実施されるとしても、大きく回復することは望めないかもしれない。

 共学校では、渋谷教育学園渋谷(第1回)が該当する。170人(3.54倍)、168 人(3.29倍)、125 人(3.05倍)、122 人(2.77倍)、136人(2.52倍)と、受験者数は22年に少し戻したが、実倍率は引き続き緩和している。女子受験生の方は「隔年型」で、22年には実倍率が4倍を超えたこともあり、流れとしては緩和傾向だろう。広尾学園(第1回)も同様で、21年から姉妹校の広尾学園小石川(こちらは「急増型」)に流れているきらいもある。

 次回は女子受験生について、同様に取り上げる予定である。7月の四模試の様子は、9月になればある程度見えてくる。引き続き、各校の人気状況を探っていきたい。