オープンイノベーションは、ゼミ以外でも実施されている。24年1月には、SDGs部の生徒がJTBパブリッシングの協力を得て「るるぶ品川区SDGs」を制作、区内の小中学校や児童センターなどに配布した。青稜が立地する地域への貢献とローカリゼーションを意識した取り組みである。この他にも、東急電鉄とのコラボで東急世田谷線を貸し切って、同校オリジナルのラッピングをした車両内で特別授業を展開したり、三菱鉛筆のCSRに賛同してリサイクルできる使用済み鉛筆を集めたりと、さまざまなプロジェクトに取り組んだ。

JTBパブリッシングとコラボし、SDGs部が「るるぶ品川区SDGs」を制作。このフリーペーパーの制作は地元地域への貢献にもつながっている

「コラボする企業の方々にお願いしているのは、生徒たちに考える機会を多くつくってほしいということ。外部や地域の“大人たち”と協働することで、生徒たちは大きく成長します。一人の生徒の経験を他の生徒が共有することで、集団としての経験値の底上げが図られることも実感しています。生徒たちは、非認知能力のスキルを楽しみながら身に付けることで、社会に出ていくための自信を得ていると感じています」(青田校長)

「オイシックス・ラ・大地」とのコラボで「SDGs丼」を商品化。写真は、文化祭で試食会をしたときの様子

 学校行事でも積極的に校外へ出ていく。青稜の修学旅行は、平和学習を通して人間性を育み、社会的な視野を広げることをテーマにしている。中学生の訪問先は「広島・京都」、高校生は「沖縄」と「ポーランド・アウシュビッツ」からの選択になる。アウシュビッツ訪問では、歴史や文化、地理的背景が複雑に絡み合った惨劇を事前学習で学び、現地でひもとくという流れになっている。簡単に答えが見いだせない問題に直面することで、生徒たちは学問に対する意欲を高め、人間的に成長していくのだ。