学力のベースとなる
地道な学習サポート

 大学合格実績に合わせて中学入試の人気も上昇している。入試募集部の石田修一教諭は、「2年連続で500人以上の実出願者数で、過去最高水準となりました。適性検査型受験生からの入学率が30%台と高いのも、本校の特徴です。公立中高一貫校と同様に、国公立大を目指す環境があることが保護者の方々に浸透しているのだと思います」と話す。

桜丘中学・高等学校 入試募集部
石田修一教諭

 きめ細やかで、丁寧な教育で知られる桜丘。学力のベースは地道な学習サポートで培われる。その代表例が「SSノート(Self-Study Notes)」と「カテガク(家庭学習帳)」。

画像左:毎日の学習習慣を確立するための「カテガク(家庭学習帳)」。日記を書くため、担任とのコミュニケーションの場にもなっている。

画像右:明確に目標設定した上で学習を行う。そのためのツールが「SSノート」。保護者も内容を確認。学校と家庭の懸け橋にもなっている

 前者は目標設定を明確に記すノートで、後者は自学自習力を育てるノート。両者ともPDCAサイクルの学習習慣を定着させることが目的で、教員とのコミュニケーションツールでもある。この二つのノートを通じて、担任は生徒の学習状況や生活を知ることができ、生徒一人一人に合わせた的確なアドバイスが可能になる。5教科のバランスの取れた学力を地道にコツコツ積み上げる、その集大成が大学合格実績に結び付いているのだ。

 そうした日々の学習に加え、23年度からスタートしたのが、東京都のプログラムに採択されたアントレプレナーシップ(起業家精神)教育。生徒たちは少人数の班に分かれて“会社”をつくり、創立100周年記念グッズを制作し販売する。

中学2年生が取り組んでいるアントレプレナーシッププログラムでは、35社に分かれて起業。利益率や銀行融資、返済計画を立て、実際に銀行員にプレゼンテーションをした

「起業家の方を招いての講演会や、銀行の融資担当者の前でのプレゼン、仮想の通貨を作って黒字化を目指すなど、かなり本格的に取り組んでいます。24年度は実際に記念グッズを制作し、ウェブ上で疑似販売を行います。生徒たちは一つの商品を作り上げる経験を通して、組織の役割分担を知り、社会に対する新たな視点を持てるようになります」。そう話すのは、広報戦略室の中野優教諭だ。

桜丘中学・高等学校 広報戦略室
中野 優教諭

 高校は、最難関大学合格を目指す「スーパーアカデミックコース」、広い選択肢から難関大学合格を目指す「アカデミックコース」、英語力に力を入れるグローバル探究の「グローバルスタディーズコース」、実体験を中心とした探究活動に取り組む「キャリアデザインコース」の4コースが設置されている。24年度からキャリア教育の一環として、高校進学時のコース選択のプレゼンを(保護者向けに)生徒が実施する。中3の段階で、“なんとなく”ではなく、将来を見据えた意思決定をしっかり行うことになる。「自分の将来のイメージを少しでも明確に持たせることが目的で、起業家精神教育を含めて“何をしたいのかは自分で探す”姿勢を身に付けてほしいと考えています」(中野教諭)。