創立100周年を前に、学校の足跡をたどろうと、福田英二校長は古い資料に目を通したという。
「成立学園の前身は、明治時代、私の曽祖父が自宅を開放し、寄宿制塾『汎愛塾』を開いたところまでさかのぼります。この塾の設立趣旨が載った当時の資料を読むうち、時代や表現は違えど、今のわが校の『面倒見の良さ』につながる源流があったと、気付きました」
長年培った経験から、2023年に始まったのが「れいわ汎愛塾」だ。夏季休暇や定期試験前、中学生が高校生から1対1で勉強を教わる。勉強だけでなく、部活動や学校生活について話せる時間もある。「先輩から教わり、後輩に教える。そんな場から生まれる波及効果を実感しています。この経験から、教員を目指す生徒も出てきました」と福田校長。
生徒同士の学び合いはさらに広がる。東京大学などの難関を目指す生徒が切磋琢磨する部活動「赤門倶楽部(クラブ)」も設立された。24年3月には、東京大学大学院の研究室を直接訪ね、大学院生に研究分野を解説してもらった。福田校長は生徒同士で取り組む意義を説く。「隣で頑張る仲間から触発されて『強さ』が生まれてくる。教員が言葉を並べるよりも、これが一番生徒のヤル気を刺激すると思います」。