生徒一人一人の面倒を徹底的に見る
BC州教員

 15年度に始まった文杉のDDコース。なぜBC州の教育を採用したのか。

 青井校長は、「当初は国際バカロレア(IB)を検討していましたが、従来からBC州にはホームステイを通してなじみがあったこと、同州の教育システムが暗記に頼らない探究型の授業を展開していること、カナダは移民が多く非英語圏の人に向けた教育システムが整っていること、などの理由があり、採用しました」と説明する。

二つの異なる文化のカリキュラムを学びながら、複眼的・多角的な思考を養う

 BC州の教育の特徴は、人間の多様性を尊重するインクルーシブな教育にある。生徒のマイナス面を指摘するのではなく、良い部分を見つけて褒める。そして実践的な学びを重視する。例えば物理で「加速度」を学ぶ際は、皆で遊園地に行きジェットコースターの加速度を計算する。生物でも授業の多くは校庭や公園に出掛けて行う。机上の学びではなく、実生活に密着したスタイルは、生徒の好奇心を駆り立てて学ぶ意欲を育てる。

「カナダの教員は24年度17人が在籍し、全員がBC州の教員免許を持っています。いずれも優秀な教員で、生徒一人一人の面倒を徹底的に見てくれます。生徒をやる気にさせるコーチング能力に優れており、海外大学の進路指導でも的確なアドバイスをしてくれます」と青井校長。

DDコースでは単位認定のため、高1の夏休みにBC州への5週間短期留学を行う

 DDコースは高校からだが、中学でも生徒のレベルに合わせて、ネイティブスピーカー主導型のDDの準備コースを設置している。注目すべきは圧倒的な英語授業時間数。一般的な私立中学の年間210時間に対して、準備コースは595時間を確保している。授業では「間違ってもよいので発話してみる」という姿勢を大切にしており、生徒たちの英語力は飛躍的に向上する。

「24年度は中学の卒業生107人のうち、約半数の48人がDDコースに進学しました。入学時は英語初心者でもネイティブ教員主導型の授業で英語力を伸ばし、高校のDDコースへ進んで、海外大学へ進学する生徒も多いのです」と青井校長は解説する。