開成中学校の塾別合格者数の推移・傾向
開成中学校への合格者は、SAPIXが圧倒的で占有率は約65.4%にも及ぶ。その要因のひとつに、学校別対策の充実が挙げられる。「開成1」「開成2」などの学校別特訓コース(数字が小さい方が上位クラス)や「学校別サピックスオープン開成」という模試など、学校別対策が豊富だ。また、宿題の量が多いこともSAPIXの特徴だ。さらに、SAPIXは開成中学校以外の難関校にも多数の合格者を輩出しており、優秀な生徒が多数集まりやすくなっているのも大きな要因だろう。
SAPIXに続くのが、早稲田アカデミーと四谷大塚。この2塾は、東進ハイスクールで有名なナガセ系列の塾だ。どちらも中学受験のバイブルとして名高い『予習シリーズ』というテキストを使用している。
早稲田アカデミーは、学校別対策の「NN開成」というクラス以外にも、「開成・聖光対策講座」「灘・筑駒・開成『スーパー算数』」など、ハイレベルな講座が複数用意されている。早稲田アカデミーの公表によると、「NN開成」からの開成合格率が51.5%*1であり、高い合格率を誇っている。
四谷大塚は、お茶の水校舎と横浜校舎で「開成コース」を開講している。入試問題を研究・分析し、完全オリジナルの教材を用いた授業をしている。
開成中学校合格実績4番手の塾は日能研。日能研の志望校別特別講座には開成中学校の講座はない*2ものの、合格力完成教室や日能研入試問題研究特別講座などの授業で得点力をつける指導をしている。日能研は、難関校への合格実績もあるが、比較的中堅校に強い塾と言える。
このように、上記の大手4塾で開成中学校の合格者の大多数を占めている。他の塾にも合格者はいるが、塾の規模や受験者層、メインとなる志望校の違いなどから、大手4塾ほどの実績は出せていない。また、ここ数年の合格者数が、どの塾もほぼ横ばいで推移していることも特徴的だ。今後もしばらくはSAPIXの独り勝ちに対して、早稲田アカデミー・四谷大塚・日能研が追いかける状態が続くだろう。
なお、開成中学校が公表している合格者数に対して、塾の公表している合格者数が多くなっているのは、先述の通り人数がダブルカウントされているのが主な原因だ。例えば、四谷大塚に通っている生徒が、補習塾として四谷大塚準拠塾の早稲田アカデミーの個別指導教室にも通っていることがある。このような生徒が開成中学校に合格した場合、四谷大塚でも早稲田アカデミーでも合格者としてカウントされる。そのため、塾の公表している合格者数が実際の合格者数よりも多いという現象が起きる点には留意しておくべきだろう。
*1 早稲田アカデミー公式サイト
*2 2023年度の対象校は、栄光学園、聖光学院、浅野、筑波大学附属駒場、渋谷教育学園幕張、明治大学付属明治、豊島岡女子学園、市川、東邦大学付属東邦
まとめ|開成中学校の合格者が一番多い塾はどこ?
開成中学校の合格者が一番多い塾はSAPIXだ。SAPIXは、難関校合格を目指す生徒が集まっており、塾生全体のレベルが高い。そのため、首都圏の塾選びでは、必ずと言っていいほど第一候補になる塾である。ただ、宿題の量が多いことや授業で使用するプリントの整理など、親のサポートが欠かせない点には注意が必要だ。
SAPIXに続く塾としては、早稲田アカデミー・四谷大塚・日能研が挙げられる。子どもの学力や志望校に合わせた塾選びが大切だが、開成中学校を目指すなら、まずは合格へのノウハウを持っている大手塾を検討するのがよいだろう。