心構え|子どもの気持ちに寄り添う

 テストの結果が良くなかったときにがっかりしているのは親だけではありません。当然テストを受けた本人もがっかりしています。一見普段と変わらないように見えていても、実は心の中で「怒られたらどうしよう」「お母さん(お父さん)を悲しませてしまうかもしれない」と思っていることがほとんどです。

 ですから、まず心掛けていただきたいのは、思うような結果が返ってこなかったとしても、お子さんの前で叱ったりあからさまに落胆したような態度を見せたりしないということです。そうした態度をとってしまうと、本人のつらい気持ちに追い打ちをかけることになる上に、また叱られたり悲しまれたりするのを恐れるあまり、その後の学習で「わからない」「できない」の意思表示を正しく行えなくなる可能性もあります。

 本来「バツ(間違い)は宝物」であり、わからないをわかるにすることが成績アップへの道ですから、上記のようになってしまうと成績を上げるのは難しくなってしまいます。決して感情的にならず、まずは子どもの気持ちに寄り添うようにしてください。

 ただし、接し方として「頑張ったのだから仕方ない」というような慰めの言葉は、時としてモチベーションを下げることになるので注意が必要です。報われなかった努力を褒められることで、かえって自分の無力さを認識してしまうことがあるからです。

 一番のオススメは「そっか、残念だったね」といった共感の言葉です。まずは共感の言葉で「あなたの味方だよ」という立ち位置を明確にして、共に改善に向けて取り組む姿勢を見せてあげると、本人も頑張ろうという気持ちになるでしょう。

分析|間違いやミスのタイプを知る

 さて、次はテスト結果の分析です。一緒にテストを分析するときは、どのような間違い方をしているかをしっかり確認することが大事です。問題の間違い方やミスの仕方にはいろいろなタイプがあります。

  • 全くわからなくて間違えた(あるいは空白で出した)
  • わかってはいたけれど、ケアレスミスをした(計算間違い、写し間違い、漢字間違いなど)
  • 時間が足りなくなって焦ってしまった
  • 字が汚くて採点者が読めなかった など

 まだまだありますが、失点の原因は本当に様々です。これをお子さんにヒアリングしてみてください。そして、本来の力が発揮されていたならば、あと何点とれたのか計算してみましょう。

「本当はもっと良い点がとれる」ということを確認するのはとても大切なことです。ここでも、決して責めるような口調で言うのではなく、本人の悔しい気持ちに寄り添うことを意識してください。

「惜しい間違いがいっぱいある。本当はこんなに力があるのにもったいない。

今度のテストでは、このすごい力を十分発揮できるように準備しようね。」

といった形で、未来の良い姿をイメージできるような声かけをしてあげましょう。

 その言葉で本人の気持ちは救われますし、課題点の克服に向けて前向きな気持ちになることができます。

対策|判明した課題を克服する

 分析ができたらあとは対策です。分析から判明した課題を克服するためにはどうすればよいか、具体的な行動を親子で一緒に考えましょう。これも一方的に「やれ」と伝えるより、お子さんと一緒に考えて決めた方が良いということは、「内発的動機付け」という観点からも重要です。

 分析した結果、おおむね実力通りの点数だったのなら、「弱点分野が明らかになったので、そこを順番に補強していこう」と声をかけ、過去のテキストや問題集を使ってさかのぼり学習をしましょう。

 塾で教えられた解法が実は理解できていなかった、あるいはカリキュラムや進め方が合っていなかったなどということがわかれば、そこは率直に塾に相談するべきです。授業中のノートのとり方を改める、宿題の量を削ってやる問題を絞り込む、など、普段のルーティン学習を見直すことで、いいサイクルに入れる可能性があります。

 一方、ミスが多かった場合は、テスト時のミスを減らすための工夫を普段から意識するとよいでしょう。

  • 問題文をこれまでより少し時間をかけて読むようにする
  • 何をどんな形式で答えなくてはいけないか注意して解答する
  • (主に算数で)1問1問解いた直後にサッと計算過程を見直す

というような工夫です。

 時間がなくて焦ってミスをしたという場合には、時間配分も普段から意識するとよいでしょう。例えば5年生以下の算数のテストなら、初見の状態から考えて解く問題は最後の方だけです。

 ほとんどの問題はテキストに載っているものとよく似た問題で、解法を知っているかどうかが勝負です。そうした典型問題は、1分考えて解法が思いつかない、もしくは3分考えても答えが出せなければ、飛ばしてしまった方が賢明です。普段の宿題や小テストもこうしたルールを決めて解くことで、テスト本番で結果を出しやすくなるでしょう。

まとめ|悪かったテストの結果を次に活かすために

 今回はテスト結果が悪かったときの対応についてのお話でした。ポイントは以下の2点です。

  • 親は子どもを応援し、子どもに寄り添う立場にいること
  • きちんと状況を分析し、前向きに改善に取り組むこと

 振るわなかったテスト結果を前にして落ち着くのはなかなか難しいものですが、結果は結果として冷静に受け止めて対応するのはとても大事なことです。わざと悪い点を取ってくる子どもなんていないのですから、子どもを信頼して、前向きな声かけをしてあげましょう。

 そのためには、日頃からちょっとした子どもの良いところを褒めるなど、親としても子どもの褒めポイントを探す訓練をしておくと良いですね。テスト結果が悪かったときこそ、ぜひ、親子で成長のチャンスにしていってくださいね。