「イメージ力」を活かして覚えよう

 今回お伝えするコツというのは、「イメージ」で覚えることです。

 人は実在しないものでも遠く離れたところにあるものでも、それをあたかも目の前にあるかのように、映像を頭の中で創り出す力を持っています。この力をここでは「イメージ力」と呼ぼうと思います。このイメージ力を、私たちは日常的に使っています。

 例えば「竜座」という言葉を見たとします。あなたの頭には何が思い浮かびましたか? おそらく緑色の巨大な生物である「竜」を想像したんじゃないかと思います。もしかしたらお友達の「リュウ君」の顔もチラッとよぎったかもしれません(笑)。

 では「六分儀座」という言葉を見た場合はどうでしょうか? 何が思い浮かびますか? おそらく何も思い浮かばなかったのではないでしょうか。そもそもどう読むのかすら自信がなかったかもしれません。

 これは「ろくぶんぎざ」と読む春の星座です。六分儀とは、航海や天体観測に使う測量器具の1つです。そう説明されてもやっぱり、言葉の意味はわかっても、どんな器具なのか具体的な映像は頭に思い浮かびませんよね。この2つの状況で、実は記憶への残り方が違います。

学んだ内容に関するイメージを作ろう

 人の記憶は、「言葉」よりも「イメージ(映像)」の方が忘れにくいことが認知心理学の世界では知られています。これは「画像優位性効果」と呼ばれます。

 写真やスケッチ画を見せられてそれを覚える場合と、それを文字で見せられて覚える場合とでは、前者の方がたくさん覚えられるのですね。ですから、学習した内容を忘れないようにするためには、その内容に関してのイメージをしっかりと作ることが大切です。

 例えば、「ピーマンの生産量が多いのは宮崎県」を覚えるときには、この場所が多いというのを日本地図の中のイメージで覚えましょう。そうでないと、「宮城県だっけ? 宮崎県だっけ?」といった混乱が起こりやすくなるのですね。

子どもに「イメージ力を働かせる」ことが記憶するためのコツだと教えよう

 この「イメージで覚える」ことを、多くの子どもはしていません。「前九年の役」「後三年の役」といった言葉だけ覚えて、誰と誰が?どんな理由で?どこで?戦ったのかをイメージしていない。そんな子が多いのは想像できますよね。

 めんどくさいから、イメージの方が覚えやすいと知らないから、あるいは「六分儀」のようにそもそも知らなくてイメージできないから。理由は様々ですが、そのせいでせっかく勉強したことを忘れてしまいます。もったいないですよね。

 まずはお子さんに「イメージ力を働かせる」ことが何回も繰り返さなくても楽に記憶できるようになるコツだと教えてあげてください。そして、イメージできるようになるために、面倒でも1つ1つの内容を理解していくようにしていきましょう。

 そうすれば、頑張って勉強したことがしっかり記憶に定着していきますよ。勉強時間を成績アップにつなげていきましょう!