目標は高い方が良いは嘘!

 以前セミナーで、参加者の方から「高い目標を決めて、そこに向かって自分を追い込んでいくのが私は楽しかったんですが、子どもにもそういった楽しさを与えていくことをどう思いますか?」と質問をされました。

 きっと同じように「目標は高い方が良い」と考える親御さんは多いと思います。大学受験などで成功体験がある方は特にその傾向があります。一方で、「そんな限界まで追い込まなくても……」と考える方も多いのではないでしょうか。夫婦で意見が衝突しやすい場面ですね。質問をされた方のご家庭でも、やはり夫婦で考え方が違っていたようで、私に意見を求めたそうです。

 この質問に対しての、私たち講師陣の見解はこんな感じです。

「難しいゲームを楽しめるのは上級者だけ」

 これ、わかりやすい絶妙な表現だと思いませんか。上級者ほど、クリアするのが困難なミッションを喜びます。クリアできてあたりまえなステージは面白くありません。

 では、ゲームを始めたての初心者がいきなりクリア困難なミッションをやらされたらどうなるでしょうか。 諦める確率が極めて高くなるはずです。頑張ってクリアしようと思うほど、まだそのゲームにハマっていないのですから当然ですね。  

お子さんのレベルに合わせた目標設定が大切

子どもに勉強を教える親の画像
出典: pixta

 これはお子さんの勉強でも同じことが言えます。小学校低学年のうちから、もっと言えば保育園・幼稚園のうちから勉強で成功体験を積み重ねてレベルアップしている上級者の子は、困難な高い目標を持って頑張る方が楽しめるかもしれません。

 一方で「塾に通い始めて1~2年です」といった初心者は、困難な目標は諦めてしまうことの方が多いでしょう。大変さの裏に、それを上回る楽しさを見出していかないといけないんですね。

 まずは成功体験を積ませて、「勉強はやったら成果が出る! 楽しい!」と思わせるところからスタートです。質問をされた方もそのことに気付いてくれて「いきなりハードモードはダメってことですね」と笑顔で納得していました。多くの方がやってしまいがちな失敗に気付けて良かったです。

 では、ここで考えてみてください。「あなたのお子さんはどうですか? 上級者ですか? 中級者ですか? それとも初心者?」

 お子さんのレベルに合わせて、目標の高さを変えてあげてくださいね。それができないと、絶妙なゲームバランスを設計している本物のゲームにお子さんの興味を持って行かれてしまいますよ。勉強でも、お子さんが楽しめるちょうどいい難易度に設定していきましょう。