避けるべき1つ目の失敗は、不合格の「連鎖」を作ってしまうこと
中学受験の不合格自体に関しては、親がどうこうできることではない、避けようがないものが大半です。第一志望の学校なんて、だいたいの子はチャレンジングな選択をしているでしょうから、当然失敗するリスクも高くなります。
でも、わかってはいても、いざその不合格が現実になると心が乱れるものです。そして、気持ちを立て直せないまま進んでしまうと、持っている力を発揮できずに、本来合格できるはずの学校にも連鎖的に不合格になってしまうことがあります。
入試日程が3回ある第一志望校で、2月1日の1回目の入試で不合格になった。そして、2日にある2回目の入試でも不合格。合格できるだろうと思っていた午後入試でも、まさかの不合格。
そして、そこでメンタルが乱れてしまって、2月3日、4日、5日と、不合格が続いてしまった子が実際にいました。また、そうした状況に心が折れて、「もう受験をしたくない」と言って、受験から逃げてしまった子もいました。こうした事態は、親御さんが上手にサポートをして、回避したいものですよね。
子どもの気持ちに寄り添おう
では、どうすればよいのかというと、まずは子どもの気持ちを受け止めてあげましょう。「悲しんだって仕方ない」といった声かけをして、気持ちを落ち着かせようとしても、それはうまくいきません。あるいは「ちゃんと勉強しなかったのがいけないんでしょ」といった声かけで反省させようとするのも、タイミングがよくありません。
まずは「悲しいよね。気持ちはわかるよ」とか、「私も同じ気持ちだよ」といった共感的な声かけをして、感情を受け止めることから始めましょう。寄り添ってあげることで、子どもは自分のなかのネガティブな感情に対処しやすくなります。
状況に応じて臨機応変な受験プランを
また、これも親の役割としてとても重要ですが、受験プランを慎重に選択するようにしましょう。
気持ちを立て直す最良の薬は「合格」です。合格するはずだった併願校で不合格という状況になってしまった場合、連続して第一志望校の受験にチャレンジするのではなく、いったん安全な受験プランで合格をつかむほう方が、トータルの受験結果がよくなる場合が多いようです。
第一志望校の貴重な受験日程を断念して、安全策を取るのはとても勇気がいることです。
しかし、メンタルが万全ではない状態で第一志望校に再チャレンジをしても、勝算は薄いでしょう。ここで、堅実に併願校の合格を取りにいくという、冷静な判断ができるかどうかが大切です。
もちろん必ずしも安全策がよいというわけではなく、子どもの心がまったく折れていない場合もあります。親だけが動転してしまっているというケースも、たびたび見かけます。そうした場合には、再チャレンジを試みるほうがよいでしょう。
ですから、まずは一人で悩まずに、通っている塾の先生にすぐに報告して、相談に乗ってもらうようにしてくださいね。
2つ目の避けるべき失敗は、受験後に子どもが勉強しなくなること
子どもたちはこれまで、受験勉強で大変な思いをしてきました。その苦労が実って、無事に志望校に合格できたとします。そうすると「ちょっとくらいは息抜きをしてもよいかな」と思ってしまうのも当然です。
では、勉強しないで毎日遊んでいるのを、いつまで笑って見ていることができますか? 3日がたち、1週間がたち、1カ月がたち……毎日毎日ダラダラと、ゲームやYouTube三昧。まぁ遅かれ早かれ、親御さんの怒りが爆発するんじゃないでしょうか。
こうしたことが毎年多くのご家庭で起こっています。ひどい場合には、そのぐうたらな姿勢のまま入学し、最初の中間テストを迎え、いきなり大惨敗するというケースも。そして、「受験を終えて一区切り」と言っていたはずなのに、すぐに塾の中学生コースに舞い戻る生徒もいます。
正直に言えば、あまりうれしい復帰の仕方ではないですよね。できれば「ひどい成績をなんとかするため」ではなく、「トップクラスの成績を取り、維持するため」に通ってほしいものです。
毎日勉強する習慣を消さない
こうした事態を避けるためにも、毎日勉強する習慣が消えないように、受験が終わってすぐに中学校の勉強の準備をするのがおすすめです。各塾でもそうした講座が行われると思います。ぜひこれらを活用してください。
そして、そうした中学準備に意識を向けるために最後の受験を終え、結果が出たら、受験の総括を親子で行いましょう。これまでしてきた勉強で何がよい成果につながったのか、もしもう一度最初からやり直すとしたら、やっておきたいと思うことは何か。そうしたことを確認してみてください。
中学校での目標や取り組みたいことを子どもと確認しよう
それから、中学校に入ったらどんなことに取り組みたいか、部活・勉強・それ以外のことについてそれぞれまた確認していきましょう。遊びほうけるだけなら、中学受験をしなくてもできます。わざわざ受験をしたのは、その中学校に入ってチャレンジしてみたいことがいろいろとあったからですよね? それを再確認しておきましょう。
こうしたステップを踏むことで、「解放された!」「遊べる! 遊びたい!」と今目の前のことに向いてしまっている意識を、未来に向けさせることができます。未来を見据えて、できる限り早く新たなスタートを切ってくださいね。
以上、この時期にありがちな失敗のお話でした。
不合格になって落ち込めば失敗につながりますし、合格して浮かれてもその後の失敗につながります。冷静な判断力を持って、失敗を回避してくださいね。
皆さんのお子さんの合格と、中学に向けたスタートダッシュを応援しています。