親子ゲンカを避けられる? 子どものモチベーションを上げる方法とは?

 中学受験は学校が終わった後に塾で長時間の授業を受け、それに加えて宿題も出され、日々勉強に追われます。これは大人が想像する以上に、子どもにとってはハードです。

 当然疲れもたまりますから、家庭学習のときにエネルギー切れを起こし、ついつい勉強を始めるのが遅くなったり、いざ始めてもすぐに集中力が切れてスピードが遅くなったりと、一言で言えば「ダラダラ」しているように見えてしまいがちです。

 そんな姿を見ていると、ついつい一言言いたくなってしまいませんか。でも言ったところで、「わかったよ」とすぐ改善してくれることはまずありません。子どもがへそを曲げたり、親子ゲンカになったりと、状況は悪化することが多いです。

 果たしてどうすれば、子どもを気持ちよく勉強させることができるのでしょうか。その方法が今回のテーマです。

褒める力で子どものやる気を引き出そう!

 子どものやる気を引き出すために最も効果的な手段は、子どもの良い行動を「褒める」ことです。

 でも、

何を褒めたら良いんだろう?
こんなにダラダラ勉強する姿を見せられて、いったいどうしろと?
褒めるところなんかありゃしないじゃないか!

と、いざ褒めようと思っても、褒めるのが苦手な親御さんも多いのではないでしょうか。

 そう感じてしまう方のために、Amazonの「家庭教育」ジャンルでベストセラーになった『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(小川大介著・KADOKAWA刊)の一節をご紹介しようと思います。

「当たり前のこと」をどんどんほめる。たとえば子どもが「宿題終わったよ」と報告してきたとき。確かに宿題は、大人の考えではやって当たり前のことです。でもそこで「そんなの当たり前でしょう。いちいち報告しなくていいよ」と答えてしまうと、やっぱり子どもはしょんぼりします。

 そこを「宿題お疲れさま。えらかったね」という声かけに変えることで、子どもは「当たり前のことを当たり前にできる子」に育っていくのです。

「そんなことでほめていいんですか?」と驚く親御さんもいます。いいんです。どんどんほめてあげてください。小さなことをほめられてきた子は、大きなチャレンジができるようになります。

 余談ですが、学校現場や塾業界は「ダメ出しぐせ」のついた大人が非常に多い業界です。ですから私が設立した個別指導塾では、「×の中に○を見つける力」を講師たちに求めてきました。

「×」になった問題を、「できてないじゃないか。もう一度やり直し!」と言うのは誰にでもできます。しかし、「結果的に×になったけれど、ほら見てごらん、出だしの式は立てられているよね、次の計算も合っているでしょ。問題の考え方は理解できている証拠だよね」とほめたうえで、「この続きをもう一度考えてごらん」と、そっと促してあげられるかどうかは、人によって大きく差があります。
※『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(小川大介著・KADOKAWA刊)より引用

 私はこの本を読んだとき、「当たり前を褒める」「×の中にある○を見つけて褒める」という2点にとても共感しました。この意識を持てば、褒めるべきところはいくらでも見つかります。

 例えば先ほどの「子どもがダラダラ勉強している」という姿は、毎日学校に行って授業を受け、その後塾で長時間授業があって、その上で家庭学習に取り組んでいるわけですよね。例えるなら、お子さんがマラソン大会で数キロ走ってきて疲れ切ってしまい、ゴール前で歩いてしまっているような状態です。それでも立ち止まらずに、少しずつですが歩いてゴールを目指しているわけです。

 果たしてここは「最後までちゃんと走りなさい!」と叱る場面でしょうか。これは「ここまでよく頑張って走ってきてえらいね! あとちょっとだから頑張れ!」と頑張りを認めて、褒めて、応援するシーンですよね。

子どもの頑張りを見逃さない! 褒めるポイントとタイミング

 勉強でも同じで、「頑張って塾で勉強してきてえらいね!」と、頑張りを認めて褒めるところから始めるのがオススメです。または「授業の時間が長かったし疲れたよね」と、共感的なメッセージを伝えるのも効果的です。その上で、「あとちょっと頑張ろう!」と応援しましょう。

 あえて「今日は無理せず休む?」といった提案を優しく伝えてみるのも有効です。「ちゃんとやりなさい」と言うと反発されますが、「無理せず休む?」と言うと逆に頑張ってくれることが多いです。やらなければいけないことは本人もちゃんとわかっています。ただ、人は「やれ」と言われてやるのが嫌いな生き物というだけなんですよね。

 まとめると、「塾に行って授業を受ける」という当たり前のことを褒める。「宿題をやる」という当たり前のことを褒める。「集中してテキパキ勉強できていない」という×(バツ)の中にも「疲れている中で、それでも着手している」という○(マル)を褒める。宿題に着手できていない状況であれば、「塾に行って長時間授業を受けている」ことを褒めてあげれば良いでしょう。

「塾に行って長時間授業を受けている」。それだけでも十分大変なことで、褒めてあげたいポイントです。このように、お子さんに対して色んな視点から褒めてみてください。

 そうすれば、「お母さん、お父さんは大変さをわかってくれている」と感じ、子どもからの信頼度が高まります。そして、認められ、褒められたうれしさから、「もう少し頑張ろう」となっていきます。

 大変な受験生活を有意義なものにするために、お子さんを上手に褒めて、やる気を引き出してあげてくださいね。