低学年でしか培えない「学校の勉強よりも大切なもの」とは何か?

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西村則康(にしむら・のりやす)
中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員。40年以上難関中学受験指導をしてきたカリスマ家庭教師。これまで開成、麻布、桜蔭などの最難関中学に2500人以上を合格させてきた。新著『中学受験成功への鍵は「親メンタル!」 「受験で勝てる子」の育て方』(日経BP)。

 低学年は成長段階でいうと「生活知識を蓄える時期」です。

 1年生になって学校の勉強が始まると、「理解し、納得する」という頭の働きを使うようになります。それは「新しく学んだ知識が、過去に学んだ知識と結びつく」作用です。ところが子どもは過去に学んだ知識が非常に少ないので、新しい知識が入ってくると身体感覚と結びつきます。その時に「なるほど!」という快感が湧き起こり、それが学習へのモチベーションになっていくのですが、その身体感覚はお子さんの今までの生活知識です。

 ところが生活の体験量自体が少ないと、新しい知識が入ってきても結びつく先がありません。ですから小学校低学年の時期は、勉強よりもまずはいろいろな経験をさせてほしいと親御さんには伝えています。

 博物館や動物園に行くといった家族のイベントでももちろん効果はありますが、普段の家庭での体験もとても大きく影響します。一緒にお料理を作ったり、配善を手伝ってもらったりするなど、日常生活の中で子どもたちがさまざまな工夫をしながら失敗を重ねていく体験が、とても大切な年齢だということを理解しておいてほしいと思います。

 さまざまな体験をする中でお子さんが失敗を繰り返すと、親はついつい手助けをしてしまいがちですが、ぐっとこらえて見守りましょう。失敗するたびに親が手助けをしていると、子どもは親からの指示を待つ癖がついてしまいます。たとえ失敗したことにさえ気づかなかったとしても、それで構わないという意識で、焦らず付き合ってあげてください。