第二の島、サイエンスアイランド
鎗田 ここからはサイエンスアイランド(SI)です。4号館の継続実験室と、校庭の下にある5号館の2フロア、および屋外実験場から成る、本校では一番大きなエリアです。
――短大の校舎だったとはいえ、科学技術系と生命系の継続研究室は、大学の研究室のような雰囲気ですね。
鎗田 ルネサンスのときに外部からも人材を求め、担当教員がこれまで耕してきた分野を自分たちで育ててきた感じがあります。いろいろな大学に行って支援先も探しました。
西川 スタートから、高大連携の先駆けとなったといえるのではないかと思います。
――継続研究室ということは、先輩から後輩へと研究が受け継がれていくわけですか。
鎗田 中学3年の希望者が参加する「科学研究チャレンジプログラム」では、ロボット・パソコン・生物という三つの研究グループから自分の好きなものを選びます。普段は昼休みや放課後に活動しています。特に生物グループは、マングローブの研究を先輩から後輩へと代々受け継いで行ってきました。
「科チャレ」の生徒は、「西表島野生生物調査隊」にクラス全員で取り組みます。このフィールドワークで観察することの大切さを学ぶのですが、この調査は琉球大学の協力を得て行っており、マングローブの植生もカヌーで調査します。
――調査結果の写真が、壁一面に張られていますね。
鎗田 マングローブの研究を4年間続ける生徒もいて、その中の2人は今年の3月に「第132 回日本森林学会大会」で特別賞を受賞しました。該当の生徒たちは、まさか自分が理科系に進むとは、入学時には夢にも思っていなかったそうです。横たわっている細長いマングローブの種がどのようにしてまっすぐ着床するか、高校生ならではの発想で実験・観察したものです。
――こちらにはエビのリポートがありますね。
鎗田 ミナミヌマエビが色を感知するのか実験しています。大学の先生は「エビに色は分からない」とおっしゃるのですが(笑)、いろいろな条件下でエビの反応を観察することで、実際はどうなのかを研究しています。
――実はエビにも色覚がある、となったら大発見ですね(笑)。
鎗田 こうした実験では、観察対象を目視で数えることが多いのですが、画像をプログラミングで解析して、その結果をエクセルに落とし込むような実験方法も考えています。
――こちらの水槽では何を。
鎗田 中学3年では、金魚のウロコの再生をテーマにした実験観察も行っています。剥がしてもウロコは再生するのですが、エサの量や温度、露光量などさまざまな条件を設定して仮説を立て、それを検証するための観察データを積み重ねていきます。
――こちらにはミジンコなどの観察図がありますね。
鎗田 屋外実験場の池から採取してきたプランクトンを顕微鏡で観察して描いています。絵に描くことでいろいろな気付きがあります。観察することを重視しています。