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【座談会メンバー】
加藤氏(仮名):50代前半。私立中高一貫校(共学校)管理職。入試広報を総括
田中氏(仮名):40代前半。私立中高一貫校(女子校)教諭兼募集広報部マネジャー
栗原氏(仮名):40代後半。私立中高一貫校(共学校)教諭兼入試対策室メンバー

直前期の説明会では
合格に近づく情報を公開

──学校説明会の内容は開催時期によってどのように変えていますか?

加藤 私の学校は、1回目が5月下旬の平日で、保護者向けに教育方針や進学実績など学校の基本情報を説明します。次に6月の土日に親子対象。子ども向けの構成で、生徒による学校説明も盛り込んでいます。最後は11~12月ごろ。受験を想定した募集要項や入試問題の確認をしてもらいます。

田中 うちは前半の説明会は学校を知ってもらう、後半は小6の家庭限定で合格に近づく情報を出すというようにコンセプトを変えています。11月には入試問題もある程度できてくるので、出題の傾向など参加したらお得になるような情報を出していますね。

栗原 学校説明会に関しては、大体皆さんと同じです。体育祭や文化祭なども学校を知ってもらう大事な機会なので、私たちもかなり気合いを入れます。

──基本情報は学校のホームページでも入手できますが、学校説明会に足を運ぶメリットは何でしょうか?

加藤 一番は、校長の話をじかに聞けることです。校長は学校の顔。校長の話を聞くことで学校のカラーをよりよく知ることができると思います。

田中 校長が話す内容は立場的に学校の理念や沿革など大きい話になりますが、それに加えて「最近はこういうカリキュラムを導入して、こういう成果がありました」など、現場の話もできる校長は信頼できます。

栗原 学校内に目配りができていて、なおかつ職員室との風通しの良さも伝わってきます。現場を知らない校長はICTとか生成AIとか、やたら世の中の流行りを出してきたりしますね。

加藤 内容が「私の教育論」になってしまって、長々と語る人も困りもの。学校説明会ですから、学校の取り組みを語らなければだめですよね。保護者が知りたいのはそこだから。

田中 そういう人はワンマンな校長の可能性がありますね。

栗原 説明会の運営にも学校の長所・短所が出る。保護者のことをきちんと考えているかが随所に表れます。

加藤 例えば受付はスムーズか。長い列ができて待たせていないか……。

田中 説明会のウェブ予約開始時間もそうです。うちはだいたい土曜日の午後ですが、平日の日中とか、サイトの初期設定のまま夜中の0時スタート、先着順という学校もありました。予約を取る側の状況を何も考えていないですよね。そういう不手際は、入学してからもさまざまな場面で表れます。

栗原 じかに話を聞けるという点では、個別相談も説明会のメリット。授業、学校生活、寄付金など、気になることを教員に質問する絶好の機会です。

田中「いじめがあった場合、どう対応されますか?」と質問をした保護者がいました。いじめの有無よりも学校は何をやってくれるかを率直に聞く。質問の切り口が上手だなと思いました。

加藤 校内見学も学校チェックに大いに活用してほしい。先生と生徒の様子や校内の活気、展示物や来校者への対応など、わが子にしっくりくる場か、親の眼力で見極めてください。