一般入試以外の選抜方法を
選ぶ学生たちが増加
国公立大学の2次試験や私立大学の入試も「思考力」や「学びに向かう力」を測る傾向が強まっている。23年の慶應義塾大学経済学部の英語の問題では、介護問題に関する日本語の長文の論評を読み、英語の設問に解答するという一風変わったものがあった。
「英語力だけでなく読解力、介護問題に関する理解度も含めた総合力が求められる問題です。世の中にあふれている複雑な課題を解決するには、科目横断的な知識が必要。これは数学?国語?といった問題はすでに出されていますし、今後増えてくるでしょう」
2次試験を課す国公立大学では小論文や記述式問題など「書かせる問題」に比重を置く大学が増えている。どういう手順で論理を展開しているか、どう文章で他者に見せることができるか。学生の思考力や表現力を測る目的だ。
さらに大学に入学するルートとして近年増加傾向なのが、総合型選抜(旧AO入試)、学校推薦型選抜(旧推薦入試)。23年度はこの2つによる入学者数の割合が、全入学者の50%を超えた。
表に3つの選抜の概要をまとめた。
大学は少子化が急速に進む中、1点刻みの得点で決まる一般選抜よりも、早めに確実に欲しい生徒を囲い込みたい。受験生も高校3年間を通しての成績や学業以外の活動・経験の評価で早めに合格を獲得したい。こうした時代の流れが、入学者数増加を後押ししているといえる。
「文科省の働きかけもあり、国公立大学も一般選抜以外の入学者枠を広げつつあります。東大は100人枠で学校推薦型選抜を実施していますし、大阪大は総合型選抜と学校推薦型選抜は全学部が対象です。またお茶の水女子大は、新フンボルト入試と名付けた総合型選抜を行い、大学の授業を体験してレポートを提出させるなど、ユニークな入試を実施しています」
受験するなら、志望大学の志望学部が求める学生像や選考の考え方を示した「アドミッション・ポリシー」をよく理解しておく必要がある。
受験者数を伸ばしている総合型選抜入試での選抜方式は大学によってさまざま。英語のスコアや平均評定、志望理由書の評価と、面接や小論文、グループディスカッションなどの試験の評価を総合的に判断するというのが一般的だ。
「評定平均の基準を設けず、志望理由書と英語のスコアだけという大学もあります。問われるのは強い志望動機と多様な校内外の活動経験です。この2つがしっかりしていれば、ワンランク上の大学に行けるチャンスもある」
全国から優秀な学生を集めるために地域枠を設ける大学も多い。
大学入試の変化は当然、中学・高校での学びにも影響を与える。
「変化していく大学入試を恐れるのではなく、子どもの力を伸ばすためにうまく活用してほしい」(清水氏)