学校が求める生徒像は入試問題に表れる

 冒頭で触れたように、今の私立中高一貫校は、多様な個性を持つ生徒を求めている。ただし、どのようなタイプの生徒の入学を期待するかは学校によって違うことを理解しておきたい。

学校が求める生徒像は入試問題に表れます」と鈴木氏は説明する。

 基礎的な問題で60点取れば合格点に達する基礎学力重視の学校もあれば、記述問題で論理性や深い思考力を問う学校もある。また、グループワーク型入試や思考力型入試を実施する学校は、受験生の発想力や創造力、リーダーシップやコミュニケーション能力を評価する傾向が強い。

 さらに、入試問題には、学校が大切にしている価値観(例:創立者の理念)やメッセージが込められていることが多いので、受験生と学校の「相性」を見極める意味でも、過去問題の傾向を確認する作業は必須だ。

 その一つの手法として、首都圏中学模試センターでは、独自開発の「思考コード」(※2)を同社が実施する「首都圏模試」の成績票に記載し、受験生の得意・不得意分野、理解力や思考の深さなどを可視化している。

 これを、各中学校の入試問題で「思考力をどのレベルまで問う問題が、何%の割合で出題されているか」という学校側の「思考コード」(3ページの図、※3)と照合することで、受験生と学校の「相性」の分析が可能となる。

※2  参考「思考コードの記事一覧」(首都圏中学模試センター)
※3 『首都圏 中学受験案内』(晶文社)に掲載