保護者にしかできない「子どもと学校の相性」の見極め
入試問題の傾向分析のほかにも、受験生と中学校の「相性」を把握する上で、保護者が考えるべきことがいくつかある。鈴木氏は次の点を指摘する。
1 上昇志向派か自己肯定感派か
上昇志向が強く競争することが好きな子どもと、自分の好きなことに満足を感じる子どもとでは、受験校の選択方法が異なる。偏差値が同程度の学校であれば、前者なら少し難易度の高い学校を選ぶ方が、後者なら少し偏差値を下げて80%くらいの力で合格できるような学校を選ぶ方が伸びる可能性が高い。
2 得意科目があるか
近年、従来の2科目、4科目入試に加えてさまざまな入試形態が登場している。特に、午後入試では算数・国語いずれかの1科目入試が増加している。
また、英語資格入試も急速に拡大している。あらかじめ取得した英語検定など外部検定の点数を得点換算したり加点対象にしたりするものだ。「首都圏のおよそ300校の私立中学校のうち、25年度は124校が英語資格入試を実施しました。この数年で30校ぐらい増えています」(鈴木氏)
一方、正解のない課題にグループで取り組む入試やアクティブラーニング型入試など、ユニークな思考力型・グループワーク型入試を実施する学校もある。こうした入試で入学する生徒は、学校を気に入って受験するケースが多く、偏差値の影響をあまり受けていないため入学後の伸びしろが大きいという。
3 学校説明会には入試直前でも参加する
学校の雰囲気は、実際に足を運んでみないと分からない。受験したいが一度も説明会に行ったことがない中学校があれば、入試直前まで説明会を実施している学校も多い(※4)ので、必ず訪問しておこう。
4 模試の判定はあくまで参考に
模擬試験では、さまざまな難易度の問題から合格判定を算出する。中堅・中位校の実際の入試では、基礎的な問題ができていれば合格できる学校も少なくない。これまでの模試の判定は参考程度にし、志望する学校に特化した対策を取ることで合格を目指したい。
5 子どもが「行きたい」と思える学校を見つける
最も重要なのは、子ども自身が「この学校に行きたい」と思えるかどうかだ。偏差値を指標にしつつ、子どもの性格や適性、得意科目、興味・関心などを総合的に勘案して、本人に合った学校を選ぶことが、学校生活はもちろんその後の人生の幸せにもつながる。
※4 参考「中高一貫校・高校 新着トピックス」(ダイヤモンド・オンライン 教育Labo)
