社内ベンチャーから始まった新しい個別指導塾
大学受験ディアロは、Z会ホールディングス内の社内ベンチャーとして始まった。栄光ゼミナールの大学受験専門塾「大学受験ナビオ」で指導していたメンバーを中心に、本格的な展開がスタートしたという。
ディアロ運営課課長の武田優士氏は、「対話式トレーニング」という指導方法が生まれた背景について次のように話す。
「大学受験ナビオで指導する中で、同じ授業を受けても、成績が伸びる生徒と伸びない生徒がいました。その違いは、授業を聞いてメモを取っただけで満足するのか、それとも、学んだことを自分で説明し、演習を重ね、知識を使える状態になるまで練習するのかにあるのではないかと考えました」(武田氏)
そこで、授業後に生徒を集め、問題を解かせたうえで、「なぜその答えになったのか」を一問ずつ口頭で説明させる指導を試験的に行った。
ちょうど定期テストが近い時期に実践したところ、目に見える効果があったという。その経験をもとに、生徒自身が答えにたどり着くまでの過程を説明する塾として、大学受験ディアロが立ち上げられた。
基礎を重視した「新演習」を使用
授業で使用する主な教材は、『新演習シリーズ』(エデュケーショナルネットワーク)だ。基礎的な内容を重視し、解説が丁寧な教材として知られている。
以前は最難関大学向けの教材を使用していたが、2026年から『新演習シリーズ』を導入した。生徒の学習状況や志望校に応じて、ほかの教材や問題集も適宜使用する。
難易度の高い問題に取り組むことだけを目的とせず、まずは基本的な内容を理解し、自分の言葉で説明できる状態を目指す。
授業は予習から始まる
大学受験ディアロの授業は、予習を前提としている。
「まず、生徒が一人で予習をします。そのうえで授業では、講師からの『どのように答えにたどり着いたのか』といった問いに対して、生徒が説明していくスタイルです」(武田氏)
ただし、生徒に自己流で予習をさせるわけではない。学習効率を高めるための予習方法を指導する。
予習時には、生徒が授業までに「できるようになること」を明確にしたチェックリストが用意される。
例えば、英語で文型を学ぶ場合は、「第1文型を取る動詞には、どのようなものがあるか説明できる」といった項目が設定される。生徒はチェックリストに沿って、『新演習』の指定されたページを解き、内容を理解してノートにまとめる。
理解するために使う手段は自由だ。参考書を調べても、インターネットで検索しても構わない。予習にAI学習アプリ「atama+」を活用できるオプションも用意されている。
AI学習アプリを使って生徒が一人で学習する場合、進捗を自己管理しにくいという側面もある。しかし、大学受験ディアロでは、個別指導の講師が学習状況を確認しながらサポートするため、より計画的に進めやすい。
「何を理解すればよいのか」を明確にしたうえで予習し、授業では理解した内容を説明するという流れが、対話式トレーニングの土台となる。
日本史・世界史も流れや関係性を説明する
暗記科目と思われがちな日本史や世界史でも、出来事を単独で覚えるだけではなく、時代背景や歴史の流れ、出来事同士の関係を理解することが求められる。
新浦安駅前校教室責任者の加藤貴士氏は、次のように説明する。
「日本史や世界史は、単純な暗記科目と思われがちですが、時代背景や歴史の流れ、出来事同士の関係性を理解する必要があります。ディアロでは、予習内容を樹形図のような形でノートにまとめさせ、授業ではホワイトボードを使いながら、ノートを見ずに自分の言葉で説明させています」(加藤氏)
60分の授業は3段階で進む
大学受験ディアロでは、授業を「トレーニング」、講師を「トレーナー」と呼ぶ。授業は完全1対1のマンツーマン形式で、60分間のトレーニングは大きく三つの段階に分かれている。
最初に、提出済みの予習内容をトレーナーと一緒に確認し、その日の授業で達成すべきテーマを設定する。
次に、対話とアウトプットを中心としたトレーニングに入る。トレーナーが「15分で今日の内容を説明してください」と制限時間を設け、生徒に発表させることもある。
単に答えを口にするのではなく、答えに至った考え方や根拠まで説明する必要があるため、学習内容の理解に加えて、物事を整理して伝えるプレゼンテーション能力の向上にもつながる。
最後に、その日の学習内容を振り返り、次回のトレーニングまでに復習する課題と予習する内容を確認する。あわせて、次回までの1週間の学習スケジュールも立てる。
予習、説明、振り返り、次回までの学習計画を一つのサイクルとして繰り返すのが、大学受験ディアロの基本的な授業形式だ。
口頭試問やプレゼンテーション対策にもつながる
学校推薦型選抜や総合型選抜で口頭試問を受けた生徒からは、「入試本番よりも普段のトレーニングのほうが難しかった」という声も多いという。
特に、東京理科大学や芝浦工業大学などの理系学部に合格した生徒から、対話式トレーニングの効果を実感したという声が寄せられている。
卒業生を中心に講師を採用し、指導方法を標準化
トレーナーは、大学受験ディアロに通っていた卒業生を積極的に採用している。
採用後は、2.5時間の本部研修を2回受講し、各教室で模擬授業を行う。その後、トレーナーとして授業を担当するための社内試験「卒業検定」に合格してから、実際の授業を担当する。
指導がトレーナー個人の自己流にならないよう、研修を通じて指導方法を統一している。
どの教室のどのトレーナーが担当しても、一定の質で対話式トレーニングを行える体制づくりを進めているという。
「atama+」で学習するデジタル教材コース
大学受験ディアロには、AI学習アプリ「atama+」を中心に学習するデジタル教材コースも用意されている。
「atama+」は、生徒一人ひとりの理解度に合わせた学習カリキュラムを自動生成するAIラーニングシステムだ。知識や技能を効率的に身につけることを目的としている。
進捗管理に不安がある場合は、「1:1学習進捗管理オプション」を利用できる。月2回、各60分の時間を設け、トレーナーが学習状況を確認しながらサポートする。
学校推薦型選抜・総合型選抜にも対応
通常のトレーニングでも、生徒が自分の考えを説明し、アウトプットする機会が多い。そのため、学校推薦型選抜や総合型選抜で行われる面接やプレゼンテーションの対策にもつながる。
特別講座の「学校推薦型選抜・総合型選抜対策講座」では、自己分析、志望理由書の作成、面接対策などを行っている。
武田氏は、推薦・総合型選抜を利用するメリットについて次のように話す。
「併願可能な学校推薦型選抜や総合型選抜も増えています。そうした入試で一つ合格を確保しておくと、一般選抜の受験プランも立てやすくなります」(武田氏)
また、通常のトレーニングで学校の定期テスト対策を行い、学校推薦型選抜などで必要となる評定平均値の向上を目指すこともできる。
大学受験ディアロが向いている生徒、向いていない生徒
対話とアウトプットを中心とするトレーニングを受けるためには、授業前に予習する必要がある。
そのため、講師から一方的に説明を受けたい生徒や、予習に取り組むこと自体に強い抵抗がある生徒には合わない可能性がある。
また、集団授業の中で仲間と競い合ったり、一緒に勉強したりすることでモチベーションが高まる生徒にも、完全1対1の授業形式は合わない場合があるだろう。
一方、一人で予習することに抵抗がなく、予習から復習までの学習をトレーナーに伴走してもらいたい生徒には適している。
学んだ内容を自分の言葉で説明することに挑戦したい生徒や、知識を覚えるだけでなく、実際に使える状態まで理解を深めたい生徒にも向いているといえる。
大学受験ディアロの基本情報
| 校舎数 | 15校 |
|---|---|
| 授業料 |
【個別指導コース】 ・1:1対話式トレーニングコース 1講座:35,200円(税込)/月 ※複数講座受講の場合は割引あり
【デジタル教材コース】 ・AIトレーニングコース 1科目:13,200円(税込)/月 そのほか、コースや希望に応じて以下の費用がかかる。 ・入会金 |
| 自習室の有無 | あり。校舎の開室時間中はいつでも利用可能 |
| 質問対応 | 授業の前後や自習室の利用時に個別対応 |
| 授業の生徒数 | 個別指導コースは講師1人に対して生徒1人 |


