希学園(首都圏)は「面倒見がいい塾」
希学園首都圏は、「保護者の役割は生徒の健康やメンタルケアで、学習については基本的に塾がすべて面倒を見る」という方針の塾だ。
それと同時に首都圏でも難関校への合格実績が高い。首都圏の教室全体で2023年卒業生男子93名、女子48名のうち、開成9名、麻布5名、駒東5名、桜蔭3名、女子学院3名、豊島岡8名となっている。
首都圏の塾は「難関校への合格実績が高いか」「面倒見がいいか」の二択になっているが、希学園はその両方を兼ね備えている。
テキストは毎年リニューアル
授業は、オリジナル教材を中心に授業を行っている。小学校4年生で一通り中学受験の内容をやって、5年生ではその内容のレベルアップし、6年生ではさらに深くまで復習をしていく。復習を繰り返すたびに、視点を変え、レベルの高い問題に挑戦をする「スパイラル方式」のカリキュラムだ。
テキストは講座名がついたものとなる。基礎を学ぶ講座は「ベーシック」で、小学5年生以降は追加の講座として「最高レベル演習」「実戦レベル演習」が用意されている。それぞれの講座用のテキストが配布される。
首都圏と関西では中学受験の傾向も違うので、首都圏で使うテキストは、首都圏で授業をしている講師達が作成している。毎年、内容をリニューアルし、常に”今の受験傾向”に合わせ、授業に最適な内容のテキストが生徒に手渡される。
テキストは解説がきめ細かいのが特徴だ。「問題編」と「解答編」に分かれているが、解説が丁寧なので、「解答編」のテキストの方が厚くなることもある。関西の中学は入試に社会を出さない学校もあるが、首都圏は基本的に必須なので、社会のテキストもカラーを取り入れ、分かりやすい内容になっている。
ちなみに、学年ごとに一冊の冊子として印刷しているので、テキストの整理が煩雑になることはない。
授業は保護者に公開
首都圏の中学受験塾では生徒が自由に自分の考えを発言することを推奨するせいか、授業が騒がしいところも多い。学力が高いクラスほど、そうなる傾向がある。結果、「落ちついて授業を受けられないのは辛い」とやめてしまう生徒も出てくる。
一方、関西系の塾では良い意味で「しつけ」をする。関西を発祥の地とする希学園首都圏では入塾してきた低学年に対して、「四つの約束」を読み上げさせる。
「1 先生の指示に従います。2 授業中はおしゃべりをしません。3 質問は、だまって静かに手をあげます。4 廊下や階段を走りません」
社会一般でのルールをキチンと教えていく。結果、全員の生徒が落ち着いて授業を受けることができる。おしゃべりは禁止だが、講師からの問いかけには積極的に答えていくので活気がある授業だ。
そして、希学園は面倒見の良い塾であると同時に、難関校への合格実績が高い。難関校の受験対策のための授業が優れているからだ。
難関校の算数の問題を解くためには、解法の丸暗記では通用しない。そのため、低学年の計算問題も単純に解き方を教えるのではなく、「なぜそうなるのか」を論理的に考えさせていく。
学年があがっていくと、ひとつの問題を数多くの視点から解いていく。旅人算を解く時に、オーソドックスに線分図で解いていったり、はたまた、ダイヤグラムで図形のように解いていったりなど複数の解き方を思いつくだろう。そうやって多視点から問題を解くことで、応用力を鍛えていくことが難問対策となっていく。
「生徒が思いついた解法が正しくないこともあります。その時にやみくもに否定はせず、本人や他の生徒が納得するように”正解”に導くようにしていきます。その行程を他の生徒も共有していきます」(希学園首都圏 理事長 算数科講師 前田卓郎さん)
なお、希学園は、保護者が授業を見ることができる。実際、土曜日に目黒教室を訪れると、保護者達が授業を見ていた。授業を公開している塾は実は少数であり、それだけ希学園が授業に自信がある証拠でもあろう。
半年以上研修をした専任講師が担当
塾も浮き沈みがあり、一世を風靡した塾も隆盛が長くは続かないことが多々ある。衰退する原因のひとつとして、教室を増やして、講師の数をやみくもに増やした結果、人材の質が低下し、指導のレベルが落ちていくからだ。
希学園は講師の質を保つために、やみくもに教室を増やすことをしない。首都圏では4教室(目黒教室、二子玉川教室、みなと芝浦教室、横浜教室)のみになっている。
講師は採用後、半年以上の間、研修をする。先輩講師の授業にアシスタント講師として参加し、授業の補助をしながら学んでいく。それから先輩講師達の前で模擬授業をし、そこで認められたらようやく教壇に立つことができる。
よりよい授業を行うためには、教える技術だけではなく、生徒達が落ちついて勉強をするように指導する必要がある。
「講師には統率力が必要だと考えています」(先出 前田さん)
生徒に尊敬され、慕われる人間力も必要になってくるというわけだ。大学生の講師も起用しているが、彼らも長い期間の研修を経てから講師としてデビューできる。
「非常勤講師でも、専任講師と同じクオリティの指導ができないと教壇に立てません」(前田さん)
講師の質が高く、かつ、揃っているのが希学園の魅力のひとつだ。
豊富なフォロー体制
関西で中学受験塾を取材していると、「三位一体」という言葉を耳にする。生徒、保護者、塾がお互いを信頼しあい、一体となって、中学受験に挑んでいくという考え方だ。そのため、塾は生徒の顔色など健康面にも配慮し、生徒の情報を保護者と共有していく。
関西が発祥の地である希学園首都圏も「三位一体」で受験対策をしていく。首都圏では保護者と塾のコミュニケーションにはデジタル化し、MicrosoftのTeamsを使用(一部学年のみ)。これによりいつでも保護者は塾側と連絡が取り合える。
「生徒の能力を引き出すのが私達の仕事です。そのためには、講師がひとりひとりの生徒と向き合うことが大切です」(前田さん)
6年生になると、ひとりの講師が生徒の担当チューターとして、生徒の学習のフォローをきめ細かくしていく。たとえば、算数科の講師がチューターならば、算数に問題が発生すれば直接の指導を行うが、その生徒が理科を苦手とするならば、担当チューターが理科の講師に連絡をして、個別に対応をさせることもある。
宿題は専用の「宿題プリント」を配るが、すべて講師がチェックをし、コメントを書いて返却をする。
授業がない日にも、「自習室」での自習ができる。その時間、教室で生徒が自習するのを講師が見守って、分からない問題があれば質問に対応をする。希学園の「自習室」は講師が生徒の質問を受ける質問受け授業と位置付けている。
この自習室のサービスが月2200円で利用できる。これを利用すれば自宅で学習がしにくい生徒も塾で宿題を済ませることができるわけだ。
希学園では、個別指導塾「polick」も運営している。完全1対1の指導で、「スタンダードコース」(小学3年生~小学6年生)、「エクセレントコース」(小学6年生)があり、時間や費用が異なる。首都圏では目黒教室と二子玉川教室に併設されている。
向いている生徒は?
とにかく手厚く生徒や保護者をフォローしていく。たとえば、生徒が急に塞ぎ込んでいたら、保護者に「元気がないのですが、なにかありましたか?」と連絡をすることもある。
そういう手厚さを「不要だ」「過剰だ」と拒否反応を示す家庭とは合わないだろう。反対に「親身になってくれてありがたい」「なんでも相談ができるのが助かる」と感じる家庭には最適だろう。
「私達を信頼してくださるならば、徹底して生徒さんの受験のために尽力をします」(前田さん)
その信頼感を持てるか否か、で合うか合わないかが決まるだろう。
どんな評判の塾か
希学園 (首都圏)の基本データ
校舎数 | 4校 |
---|---|
生徒数 | 1000人 |
授業料 |
ベーシックコース
その他、以下の費用がかかる。 |
自習室の有無 | あり |
質問対応 | 授業前や自習時間で対応。また電話の質問受けも可能。 |
授業の生徒数 | 学年、クラスによって異なる。10~20名程度。 |
専任講師の比率 | - |
生徒の男女比 | 男子6:女子4 |
※2023年6月時点