令和の受験は情報偏差値が決め手
教育業界は学習指導要領の変化に伴い、戦後最大の教育改革と言われた大改革が行われています。今までのセンター試験は2021年に共通テストへと名前を変えました。さらに2025年入試からは新課程の入試に変わります。「知識」の習得から「思考力」へと入試問題も変化を続けています。
しかし実はそれだけでなく、その他の面でも近年の大学受験は親の時代の受験とは別物と言っていいほど変化しています。
一つの大きな変化は入試の多様化です。大学受験では選抜方式は大きく分けて、一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜の3種類があります。これらが国公立、私立でも大きく異なり、さらに大学ごとに詳細の制度が異なります。
私立においては一般選抜の中にも、前期・中期・後期の学部別入試、全学部統一入試、共通テスト利用・併用、英語外部検定利用など、大学側も学生を確保するために試行錯誤を繰り返し、様々な入試方式が採用されています。
このように受験が多様化し複雑になったことで、大学の情報を正しく把握する力が求められます。従来求められた、英語、数学のような問題に正解できる「科目力」以外にも「情報力」が受験で成功するための大きな要素になりました。
今では自ら探しに行けば多くの情報は開示されています。しかしそれを高校生や受験生が自分で調べられるかというとそうではありません。つまり親の情報収集力次第で、受験の合否に大きく影響を与えることができる時代になったのです。
科目偏差値が高い人でもこの情報偏差値が低いため、大学に不合格になることがあります。逆にいうと情報偏差値次第でライバルとの差を大幅に縮めることができます。3科目で受験できる国公立、内申点を必要としない推薦、英検の活用、学習の手順や勉強法など様々な有益な情報があります。
大学入試の選抜方法について
東大生とそうでない学生との差は「科目外努力」
私は職業柄、多くの受験生や、東大生をはじめとする難関大の学生と接する機会があります。その中で、東大生と一般の学生との差が能力にあるのではなく、この「情報力」を中心とした「科目以外の努力」にあることがわかってきました。
大学受験は「試験日」という期限が決まっているため、時間が有限です。そのため、単に現在の成績から、積み上げ式の勉強で時間数を増やしても簡単には合格できません。
実は、成績を上げることはとても簡単です。今の自分に焦点を当て、勉強時間を増やして、できない問題をできるようにしたら自然と点数は取れるようになります。
でも「点数が取れる」ようになっても「大学に合格できる」こととイコールにはなりません。多くの場合、時間が足りず、志望校のレベルまで成績が伸び切らずに試験日を迎えます。
「試験日までに大学の設定するゴールを突破できるか」に焦点を当てて勉強しないと的外れの努力に終わってしまいます。出題されない問題や配点の低い科目を勉強する時間はおそらくないはずです。
受験校や受験方式の選定、配点比重や試験傾向からの対策、受験戦略を綿密に立てることで、数百時間の勉強を省くことができます。さらに科目ごとにある特徴を掴み、教材の特徴を理解し、学習計画を立てることで、学習効率を数段高めることができます。
このような情報はほとんどの場合、インターネット上に開示されています。しかし情報収集には多くの時間と知識が必要になるため、多くの高校生は現実には効率の悪い勉強方法を取っている傾向にあります。
東大生と話してみると、受験校や試験の情報を持ち、戦略を立て、教材への試行錯誤を繰り返す中で、自分の勝ちパターンを持っている人が圧倒的に多いことがわかります。勉強するメリットを理解し、様々なことを天秤にかけ、当たり前のように勉強時間を取っています。
難関大に合格した人の中で、勉強時間が少ない人はまずいません。知らない数字や文字の羅列を覚えることに東大生もそうでない学生も大きな差はありません。難関大に合格する人とそうでない人の差はこの情報を掴んで、ゴールまでの道筋を立てられるかどうかが大きく影響していると思ってます。
東大生のような周りから天才と言われる人たちは、他の人よりも必要なことにいち早く気づくことができ、情報を入手し、適切なアプローチで時間を短縮できる人たちだと私は考えています。
東大、早稲田大、法政大の文系の入試科目を比較してみましょう。東京大学の場合、共通テストで5教科8科目、個別試験で4教科の受験が必要です。他の有名私立大学と比べても、その科目数は多く、いかに東大生が適切なアプローチによって効率よく勉強しているかが分かります。
また、私立の文系は入試科目数が少なく、法政大の経営学部の「英語外部試験利用」なら、英検2級以上(出願資格)があれば、なんと国語または数学の1科目受験となっています。この例からは入試は情報戦であるという意味が分かるのではないでしょうか。
一般入試 出題科目と配点の例
子どもをサポートできるのは親の情報収集力
子どもが自分で情報を仕入れ、アプローチできれば問題ありませんが、多くの高校生を見てきた経験ではほとんどの高校生にはできていません。また、学校や塾・予備校で子どもに合わせて情報を提示し、導いてくれることがあれば成功に近づけますが、こちらも経験上、ほとんどの教育機関で実現されることはありません。
子どもが自分で適切なアプローチが取れない、周りの環境からも指導されない場合、どうしたら良いのでしょうか?
その時は親が力を発揮するしかありません。親の数だけ様々な教育方針があり、子どもに自分で気づかせたいという場合もあるでしょう。ただ、多くの場合、子どもは将来に向かってもがいています。今、勉強していない子どもも何かしらの理由があって苦しんでいるのかもしれません。どんな子でも親だからこそできるサポートがあります。
今回の連載の中で、受験について悩んでいる学生とその親の力になれるように様々な情報をお伝えしていきます。