“変すぎる”ホテルにあった、外国人観光客を呼び込む「ヒント」戦国時代をイメージしたカプセルホテルの内部

 近年、着実に増えている外国人観光客。観光庁のデータをみても、それは顕著だ。2011年は東日本大震災の影響で前年からその数を減らしているものの、それ以降は毎年確実に増加を続けている。それぞれ前年と比較した場合、12年は34.4%、13年は24%、14年は29.4%の伸び率を記録。15年に至っては、47.1%と大きくその数を増やしている。

 そうした影響を受けてか、近年は神社仏閣などはもちろん、漫画やアニメグッズが手に入る店や、忍者パフォーマンスが見られる場所など、「クールジャパン」に触れられるスポットが人気を集めている。

 横浜市中区にあるカプセルホテル「ビジネスイン ニューシティー」もそのひとつ。ここに今年4月に登場したのが、「クールジャパンフロア」だ。施設の一部をリニューアルし、「アニメ」「戦国」「忍者」「花魁」の4つのコンセプトで内装を施したという。 

 外観は普通のカプセルホテルだが、支配人の藤井純一さんに案内されてそのフロアへと進むと、思わず周りを見回してしまう部屋ばかりだった。

 最初に入った「戦国」をイメージしたという部屋は、左右にずらりと並ぶ個室のすだれに、戦国武将の家紋が描かれている。その家紋はひとつひとつ異なっており、外国人観光客はお気に入りの家紋の個室を選ぶのだとか。ちなみに1番人気は、宮本武蔵の「九曜巴(くようともえ)」。しかし人で家紋を選んでいるというよりは、模様自体のインパクトで選んでいる様子だという。

 続いて訪れた「忍者」をイメージした部屋は、予約の時点では人気ナンバーワン。個室は赤と黒で統一されており、すだれには手裏剣が描かれている。忍びというと地味なイメージがあるが、ロッカーには忍者のシルエットや「忍」「NINJA」といった文字が躍り、壁には華やかな桜の柄もあしらわれている。部屋だけでなく、個室の中にも忍者の影が記されていたりと、細部にまでこだわりが見える。

 次に案内された「花魁」の部屋は、もっとも最近に完成したもの。それだけに、「戦国」や「忍者」の部屋でのノウハウが生かされた部屋だという。「4つの中ではもっとも完成度が高い部屋だと思います」と藤井さんは自負する。

 確かに、花魁の部屋は全体にカラフルで、これまで以上に華やかな印象だ。色とりどりのすだれには蝶の柄があしらわれ、ロッカーには桜をバックに立つ花魁の姿が描かれている。「戦国」「忍者」「花魁」の部屋はすべて床が畳になっているのが特徴なのだが、ここの畳にだけ、縁に鮮やかな柄が描かれているという特徴も。