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エコカー大戦争!

電気自動車で先を行く日産を追う
トヨタとホンダの歯切れが悪い「裏事情」

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第62回】 2010年11月22日
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 2010年11月17日(水)午後2時50分~午後3時15分、米LAオートショー(カリフォルニアのロサンゼルス・コンベンション・センター)の報道陣向けトヨタ自動車発表会――。

11月開催の米LAオートショーで世界初披露となったトヨタの「Rav4 EV by TESLA」。写真下の人物は、トヨタ・モーター・セールスのジム・レンツ社長。写真スクリーン上には、トヨタの豊田章男社長とテスラ・モーターズのイーロン・マスク社長の姿も

 電気自動車の量産車、トヨタ「RAV4 EV by TESLA」の世界初披露の直後、壇上に日米欧中のメディアが殺到した。彼らの狙いは、TMS(トヨタ・モーター・セールス:米国におけるトヨタの事業を牽引する実質的な中核会社)のジム・レンツ社長と、電気自動車ベンチャーのテスラ・モーターズのイーロン・マスク社長だ。マスク氏との間を、巨漢のデトロイトの記者に阻まれた筆者は、彼の右肩越しにボイスレコーダーを突っ込んだ。

 筆者の右には、日本テレビのロサンゼルス支局の女性カメラマン。左には、小型カメラを持つNHKのニューヨーク支局記者。すぐ後方には、時事通信のシリコンバレー支局記者が聞き耳を立てていた。しかも筆者の頭上には、テレビ収録用マイクやボイスレコーダーが数本差し出されていた。こうした“おしくらまんじゅう”が約10分間続いた。

 なぜメディアはここまで必死になるのか。それは「超大手のトヨタがなぜ、関係のなかった新興企業のテスラと組む必要があったのか」「これから2社は一体どうしていくつもりなのか」という素朴な疑問があるからだ。

「フィットEV」発表直後、日本のテレビ取材に応じるホンダの伊東孝紳社長

 時計の針をやや巻き戻した同日午後1時45分過ぎには、メディアの輪はホンダのブース壇上にあった。輪の中心に居たのは、ホンダの伊東孝紳社長。しかし、群がるジャーナリストの数はトヨタ・テスラほどではなかった。

 それでも、この日以降の日本では、「電気自動車で先行する日産をトヨタとホンダが追撃」「トヨタ、ホンダ、日産が電気自動車で揃い踏み」「電気自動車が量産に向けて本格始動」という報道が目立つようになった。果たしてそれは正しい情勢分析なのか。というのも、筆者がその場(=ぶらさがり会見)で感じた空気はむしろ「トヨタとホンダの歯切れの悪さ」だったからだ。

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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