連載第16回と第17回では、女性社員から見た男性フリーライダーをテーマに、「粘土層」のオジサン社員を中心に採り上げた。では逆に、男性社員が「女性フリーライダー」と感じるタイプはいないのかと言うと、そういうわけではない。
そこで公平を期するために、今回は男性から見た女性フリーライダーについて述べることにする。
昔からいる「腰かけ」を決め込むタイプ
しかし経済環境の変化で数が減少中?
女性フリーライダーの典型として思い出されるのが、「腰かけタイプ」である。結婚するまでの「腰かけ期間」と自ら割り切って会社勤めをしているタイプだ。したがって、仕事はいい加減な場合が多い。拙著『フリーライダー――あなたの隣のただのり社員』の中では、その仕事ぶりから「アガリ」型に分類した。
これは、ある情報産業関係の職場での話。男性社員が、部署の中で補助業務を担当する女性(20代前半)に、資料のコピーと製本をお願いしたときのことだ。
その女性から返ってきた言葉は、「え~! お金とりますよ~」だったそうである。パソコンに向かいながら、女性雑誌をめくっていた彼女から、そんな言葉が返ってきたのだから、びっくりである。
「えっ、それが仕事で会社から給料もらっているんじゃないの?」依頼者は、思わず口からそう言葉が出かかったのを我慢して、「あ~、いい、いい。自分でやるから」と答えたそうだ。
他の社員も、彼女と「仕事」というものについて話し合うこと自体に虚しさと疲れを感じ、仕事を頼まなくなっていく。それは彼女にとっては好循環で、ますます余裕ぶりを見せながらアガッていられる。
この話に登場するのは、絵に描いたような腰かけタイプの女性である。こういったタイプは、大企業の中にはまだいるようである。しかし、著書を執筆する際のインタビュー、そして、その後行なった「フリーライダー」を話題にした企業人とのトークの中身から感じる実感値としては、この手の女性社員はあまり目立たなくなっているようだ。